突然パーティーを追放されたので他の人とパーティーを新しく組みました
「お前はここでクビな」
クエストを終え報酬を分けようとした時"アタッカー"のリョウが突然僕にそう告げてきた。
「そんな...どうして?」
「どうして...って、そんなことも言われなくちゃ分からないんですの?」
僕の質問に"魔導師"のカイラがいつもよりも少し怒ったような口調で聞き返してきた。
「確かに僕はアタックスキルを持ってないから戦いには貢献できてなかったかもしれない...けど!僕は僕にできることをしてきたつもりだよ!」
すると"タンク"のガイルがため息をつきながら諭すように話し始めた。
「確かにお前さんは攻撃はてんでダメだったなぁ、けどそれは最初からお前さんには"サポーター"をしてもらうって話でこのパーティーを組んだだろ?実際お前さんのサポートスキルには何度も助けられた。」
「だったらどうして!」
僕がそう聞くとガイルの言葉を引き継ぐようにリョウが口を開いた。
「そういう問題じゃねぇんだよ、問題は報酬の分け方だよ!お前全体報酬の何割手に入れてる?」
「なんだよ!僕の取り分が多いって言いたいのか!?報酬は全員で4等分するって最初に決めただろ!」
「そうだよな?お前が攻撃に参加出来ない分めんどくさい手続きもするって言うからクエストの完了手続きをお前が終わらせてギルドから受け取った報酬を4人で等分にするって話だったよな?」
「そうだよ!それが気に食わないとでも言いたいのか!?」
「じゃあなんで持ち帰った報酬が毎回泥に姿を変えてるんだ?」
「は?どういうことさ!それと僕がクビになるのになんの関係があるのさ!?」
「考えてみればおかしかったんですわ。そこまで難易度の高くないクエストでしたのに報酬がやけに多かったんですもの。大体相場の4倍くらいに。」
「まぁ要するにな?お前さんが報酬を俺たちも知らなかったスキルで一時的に増えたように見せかけてるんじゃないのか、って言いたいんだ。」
「そんな...ちがっ...僕は何も...」
「違うって言うならここにある4分の3をお前にやるからお前が取り分だって言って先にとった方を俺らに寄越せよ、お前からしたら報酬が3倍に増えるんだから文句はねぇだろ?退職金代わりだよ」
「すまんな?ただ俺たちにだって生活があるからさすがにタダ働きって訳にはいかないのさ。」
「くそ...!」
僕は何も言えずにその場を去るしかなかった。
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「...フフッ...あーあ、追放されちゃったぁ」
パーティーを追放され家に帰る途中、僕は笑いを抑えることが出来なくなってしまっていた。
「僕が報酬を4倍にして本物だけを取り分として受け取ってる、かぁ」
僕が想像していたよりも彼らの頭が良くて少し驚いてしまった。
「でも残念ながらあいつらに見せてた分は全部泥なんだなぁ」
僕はギルドから受け取った報酬を全て空間収納スキルで隠し、ダミーを泥で4倍の量になるように作っていた。
「バレるのが思ってたより早かったけど念には念を入れといたおかげで最後まで報酬を奪い取れたぁ」
「さて、どうしよっかなぁ、しばらく遊んで暮らせるだけの金貨はあるけど...」
と、少し離れたところに3人組を見つけた。見た感じ"アタッカー"と"魔導師"それに"サポーター"だろうか。よし、
「おーい!僕"タンク"が得意なんですけどパーティーに入れてくれませんかー!」
何となく続きそうに感じるかもしれませんがこの物語のその後は皆さんの想像にお任せします。
私が続きを書くことは神に誓って絶対にありません。