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そのにじゅうなな コンタ35歳 キミとずっと。


ウィル・フィルの名前が世界中に駆け巡ってから数日。


俺はお姫様の近衛兵を卒業した。


とりあえず、アークレッドの姉ちゃんの家に居候。


ずっと、リオンで、なんだかんだで、ツルッパゲの下で働いていた俺だけど、


平和ボケなアークレッドでは無職。


俺に向いてる職業ってなんだろう。


とりあえず、ウィルにリオンの法律やお姫様の婿としての常識叩きこむ?


いや、まて。


ウィルに常識叩き込む?


ー俺には、無理です、お嬢様。


ツルッパゲでも、無理な気がする。


ひとりでジタバタしていたら、マリアが帰国すると言い出した。


ウィルたちが卒業するなら、マリアは祖国で見合いだと?


まあ、予想はしていたけど、ちょっと、待て。


ウィルに頼んだ例のやつ、羽虫に乗って行ったきり、


未だにかえってこないぞ?


ちょっと、どうしたら、いい?


こーゆー時は、ツルッパゲ。


ツルッパゲはツルッパゲ。


とっても、頼りになるツルッパゲ。


「んー、僕には無理かなあ。エリザベスの方がいいと思うよ?」


あっさり、見捨てたツルッパゲ。


恨むぞ、おい。


だって、一生に一度の(そうであってほしい)晴れ舞台。


そのあとは絶対女が主役だから別にして、ここは男の正念場。


だけど、まあ、相手はマリア。


あのマリア・フォン・ランドル。


稀代の大天才にして、アークレッドにすんなりなじむヤツ。


ツルッパゲの意見素直に聴こう、うん。


ウィルのダイナマイトでも学んだし。


ツルッパゲの意見、だいじ。


うん、これ、俺の教訓一箇条。


お嬢様にたずねたら、やっぱり正攻法で行けと、


「あのマリア様よ?変化球では絶対空振り、ど真ん中のストレートでも、さんしんかもよ?」


お嬢様は、最近ウィルの兄が異世界がら持って帰ってきたヤキューにはまってる。


ツルッパゲがバンバン三振とるからカッコいいらしい。


エースでヨバン。


なんか、なんでもできるな、ツルッパゲ。


髪ないけど神様みたいなツルッパゲ。


「コタ、これ、あげる。頑張ってね」


えっ?コレ、なんで?


「ウィル王子様、ドワーフから色々頼まれて、まだ帰れないみたいなの。ベルが急ぎで持ってきてくれたわ。これ、コタのでしょ?」


アイツ、わかってだけど、バカだった。


俺、ちゃんと、頼んだ時にお姫様に知られないようにしろって言ったのに。


いや、アイツ、コレの意味さえわかってないのか?


「大丈夫よ、コタ。私ね、そういうウィル王子様が大好きなの」


ふんわり笑うお姫様。


「頑張って、大丈夫よ。コンタは私とポマス様が育てた男よ?まあ、ポマス様には敵わないけど、アイツには勝てるわ」


アイツの娘の前で相変わらずなお嬢様。


結局、最後までツルッパゲに持って行かれた俺の自慢のお嬢様。


「ー寂しくなるわね」


優しすぎる笑顔に、泣きそうだ、俺が。


「頑張れ、コンタ」


ポンっと背中をおされたなら、勇気100倍。アン○○マン。


まあるい頭のジャ○おじさんー、ツルッパゲからもらった立派なお手紙胸にして、


まだ寝てるはずのマリアの家まで、羽虫じゃないや、ゴールドドラゴンに送ってもらおう、


ーきみの家まで。


真っ赤なバラを両手いっぱい持ったなら、家を出てきた君に、ひざまずく。


俺の名前はコルネリアンスター・リグリアス・グリア・イアリス・マカドア。


その後、やっぱりマリアは、


マリア・リグアス・グリア・イアリス・マカドア。


なんて、名前覚えるはずなかった。


まあ、アークレッドでは、マリアとコンタで通じるし。


俺の職業、未来の大国リオンの王配育成。


ーコレってたぶん、ツルッパゲより難しい仕事じゃね?


ちなみにウィルは、ドワーフたちに太陽石の存在教えられ、


世界でも、ほんと珍しいその石を火山爆発地帯にいる火竜の王からもらって、


ちゃんと姫様に指輪を渡したらしい。


ー相変わらずだな、俺の甥っ子。


アークレッドで一番変なヤツ。






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