そのにじゅういち コンタ29歳 お姫様の近衛兵
「コタ!お帰りなさい!」
俺の顔を見るなり、満面の笑顔で飛びついてくる、
ふわふわ金髪柔らかい小さな子供。
「あらあら、はしたないですよ、ティア様」
あきれ半分で注意するお嬢様。
苦笑いがもう許してる。
お姫様には、甘々なお嬢様。
その優しい笑顔をたまにはツルッパゲにもしてあげて。
最近、妻が冷たいんだって、背中に哀愁漂わせ、デスクの山盛り書類をこなすツルッパゲ。
大国リオンのブレインだ。
働く姿が素敵すぎて、にやけるのを我慢してたら超絶美女なだけに冷たくみえるだけなんて、
そんなノロケ誰のためにもならないよ?
エリザベス・パーマーは、ついにハゲの呪縛から逃げた。
なんて、噂、王宮どころか、アークレッドを越えた先の国まで届いてた。
アークレッドを素通りして、ね。
俺、なんの調査に行ったんだろ。
アークレッド素通りする時、南大陸特有の褐色の肌を見かけたけど、
ランドル公国のヤツかな?
たまに忘れそうだけど、マリアはアレでもランドル公国の皇女。
しかも、アークレッドを除いた世界で一番の大天才。
(アークレッドは、クソガキ五人組が規格外)
しかも本人勘違いしてるが正妃の娘。
末っ子が可愛くて仕方ないから、しょっちゅう手紙を持って使者がきている。
本人だけが、その意味わかってないけれど。
実は学び舎のらまわりには、公国からの護衛が沢山。
ただし、毎回、リオンの辺境から通ってる。
俺の素性なんか、とっくに筒抜け。
ランドル公国からのふっといクギを差しにツルッパゲに書簡が来たらしい。
マリアは、まったく知らないけれど。
30何番目でも、皇女は皇女。
いずれランドル公国に帰国する。
「どうしたの?コタ、寂しそう」
小さな手が抱き上げた俺の頭をぽんぽんする。
寂しいか。
「まさか。可愛い俺の大好きなお姫様にまた会えて俺はいま嬉しいですよ?」
にっこり笑って見せたなら、
「ティアも大好きよ、コタ!」
ふわふわ笑顔の緑の瞳。
俺の天使をみてる視界の隅で
「うっとおしいから、落ち込むなら、他所でしてください」
お嬢様が王様、足蹴にしてた。
相変わらず、つよいお嬢様。
相変わらず、超絶美人。
で、
「少しはポマス様のお仕事を減らして下さい。毎日、帰りが遅くて.ちっとも夫婦でゆっくりできません!働いて下さい、王様」
相変わらず、ツルッパゲひとすじ。




