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プロローグ
「天は二物を与えず」という言葉を知った小学生だった僕は、自分はきっと神様に認められた特別な存在なんだと思った。
足も速いし、球技なんてもってこい、それに勉強もできてテストなんかいつも高得点、何もかも完璧で僕こそが完全無欠少年に相応しくて、いつか時代の先頭に立つ男になるんだろうと幼い心で思っていた。
小学校を卒業し、中学に入学しても、その思いは変わらなかった。僕より頭のいい奴にもスポーツなら負けなかったし、スポーツで負けても勉強で負けることはなかった。だから間違いなく、時代の頂点に立つ人間なのだと思っていた。
彼女に会うまでは…。