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魔力、気絶、&同行

「"晴れろ"」


 僕の手から放たれた言霊は空へと昇り、雲を霧散させる。

「は、晴れ……ました」

 さっきとは打って変わって完璧な晴天になった。

 本当にすごいな、この『言霊』は。


「い……今のも神宮寺さんの魔法です、か?」

 ネアさんが不思議そうに訊いてきた。

「あー、これって魔法なの?」

「魔力が使われているのでたぶん魔法かと……」

 なるほど、言霊は魔力を使うのか。

 魔力が減っている感覚ってどんな感じだろうか。もし、大事な時に魔力切れとかになったら大変だからな、理解しておいたほうがいい。

「魔力ってどうやってわかるの?」

「魔力です、か?

 えっと……自分の内側にある力を見る感じで……。こう、スパーっとくるやつを……」

 うん、わからん。というか、説明に擬音が出てくる時点でおかしい。……ネアさんは説明が下手なのか。

 うーん、でも理解はしておきたいし……あ、そうだ。


「"僕は魔力を理解している"」


 手から放たれた言霊が、僕に吸い込まれるように消えていくと同時に、僕の頭の中に魔力の情報がインプットされる。

 うおっ、気持ち悪いな。いきなり大量の情報が脳に入るとこんな感じなのか。

 というかこんな細かい知識いらないし。なんだ、魔力を虹色に光らせる方法って。いらんわ、そんなもん。


「自分の血液の流れを見るようにして……」


 まだ説明していてくれたのか。なんか申し訳ないな。

「えーと、もう大丈夫。わかるようになったよ」

「あ、ほ、本当ですか……よかった、です」

 ついでに言えば、周りの魔力もわかるようになったし。木とか地面にも魔力ってあるんだな。


 ……魔力について理解したからには、魔法も使ってみたいよな。

 これもできるかな?


 「"僕はすべての魔法を理解し、使用することができる"」


 言霊が僕に吸い込まれるように消えていき、魔法の知識が僕の頭に――





 そこで、僕の意識は途切れた。









「あ、あの……大丈夫です……か?」

「うわっ」


 既視感のある声によって僕は目が覚めた。

 どうやら、情報量が膨大過ぎて気絶してしまったようだ。

 使い方は気を付けないといけないな。毎回毎回気絶してたらいつか死ぬ。

 あ、でも魔法はしっかりと覚えられてる。

「大丈夫、ですか?」

 ネアさんが心配そうにこちらを見てくる。なんか既視感。

 えーと、なんて言おう。あ、そうだ。


「あ……ごめんごめん。よく気絶しちゃうんだ」

 なんだその体質。自分でも意味わからん。

「そ、そうなんですか……よかった、です」

 何がよかったんだ。なぜ信じられるんだ。

「いや、もう、死んでしまった……かと」

 あ、まあそうなるか。

 うーん、ますます使い方に気を付けないとな。周りに変な心配をさせないためにも。


「ごめんね、もう大丈夫」

「そ……そう、ですか」

 はあ、女子に二回も気絶したところを見られるなんて、いまだかつてない体験だ。

 もっとも僕に女子の友達なんていないが。って、あぁもう、暗いことばっか考えてんじゃねえ!自分!


「よしっ、町へ行こうっ!」

「ひゃっ!?」

 いきなり立ち上がった僕にネアさん驚く。どんだけビビりなんですか、あなたは。


「ネアさん、大きい街ってどっち?」

「え、えっと……アンドルの町より、断然王都の方が大きいですから……ここから見て右側、です」

 そういや、この道王都に繋がってるんだっけ。運がいいな。王都ってことは多分この国で一番大きい街に行けるってことだ。

 この世界がどんな感じか早く見てみたい。

「じゃあ、今すぐ行こう」

「あ、は、はい」

 ん?


「ネアさんは別についてこなくても良いんだよ?」

「いえ、その……私も王都に行く途中だったので……。

 お邪魔でしょうか……?」

 あー、その上目遣いをやめろ。目をウルウルさせるな。苛めてるような気持になるだろ。


「じゃ、じゃあ、一緒に行こうか」

「はい!」

 ネアさんは目を輝かせて答える。小動物みたいだな。

「そういや、ネアさんは王都に何をしに行くの?」

「あ、ギルドの依頼の完了報告、です」

 え、なに、ギルドとかあるの?

 というか、この子依頼とかできるの?いや、完了報告ってぐらいだからできるんだろうけど……。

 何はともあれ、ギルドにちょっと行ってみたいな。


「あー、一緒に行っていい?」

「はい!喜んで!」

 なにが嬉しいのだろうか。ただ僕と一緒にギルド行くだけだぞ。

「よし、じゃ行こうか、ネアさん」

「あ、その……ネアでいい、です」

「え?」

「だから、その……ネアでいいです」

 あー呼び捨てかあ。まあ、本人が良いて言うなら良いんだろ。


「じゃ、行こうかネア」

「はいっ!」

 ネアさん、もといネアとともに、僕たちは王都に向けて出発した。

 道中、僕が『ネア』と呼ぶたびに彼女は嬉しそうに目を輝かせた。




 本当になにが嬉しいんだろうか?

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