レアガチャとスキル④
「ねぇねぇコーネ、マタタビってそんなに美味しいのー?」
うさ耳が踊り狂うトーキャに質問する。
うさ耳。そっちはトーキャだ。
「美味しいって訳ではないにゃ。
幸せな気分になれるにゃ。
通は砕いたマタタビを紙で巻いて、タバコみたいに吸うのにゃ。
マタタビ親方のスキルで作ったマタタビはワンヒットで昇天にゃっ♪
それから、コーネはこっちにゃ。
我はトーキャ様だにゃ」
なぜだか自慢気にうさ耳の間違いを指摘するトーキャは、
小さな身体を目一杯膨らまし胸を張って仁王立ちしている。
だが確かにうさ耳が間違えるのも無理はない。
ぱっと見どっちがどっちか分からない程似ている。
今俺が判断している基準と言うのも、
爪楊枝を持っているのがトーキャで持っていないのがコーネ。
右目が緑色、左目が赤色がトーキャ、右目が赤色、左目が緑色なのがコーネ。
上記二つで判断している状況だ。
別にどっちがどっちでも良かったのだが、
マタタビ親方のおかげ(?)で毎日顔を合わす事になりそうので、
ここは間違えない様な印か何かが一つ欲しい。
「確かに分かりずらいな二匹共。
もっと分かり易く違うところないのか?」
俺の問い掛けにコーネとトーキャは顔を見合わせ、
またぁまたぁ〜全然違うじゃないっすかーみたいな顔を見せてくる。
「キング、にーちゃと僕の違いは簡単だにゃ。
目がキリッとしていて、声が渋くて、鼻が高い方がコーネにゃ」
「キング、コーネとの違いは簡単だにゃ。
すべてにおいて勝っているのがトーキャ様だにゃ。
兄より優れた弟はいないのにゃ」
にゃにがにゃにが、ポコスコポコスコ。
お互い自分勝手な事を言い合った結果、
猫パンチの応酬が始まってしまった。
困ったなぁ。面倒くさいなぁ。
もう猫って呼ぼうかな二匹共。
「もー仲良くしなきゃダメってボクいってるでしょー。
ボク達にいい考えがあるんだっ♪
これを着ければ一目でどっちがどっちが分かるはずだよー。
はいっあげるぅ♪」
うさ耳はそう言い、二本の紐の様なものを差し出す。
一本は白色と赤色が交互に編んであり、もう一本は白色と黄色が交互に編んである。
こんなものいつ間に用意していたのだろう。
うさ耳は意外にできる女の子なのかも知れないな。
「にゃにゃっ!
こ、これはさっき出たツインミサンガ《星五》でにゃいか!
く、くれるのにゃ?
《星五》以上なんてはっきり言ってそうそうでにゃいぞ?
今回は運良く三つも出たけどにゃ……
こんな事そうそうにゃいにゃ!」
おぉぉーーっと、うさ耳さーーーーん!
さっき出た奴だったんですか!
それも何の相談も無しに飴玉でもあげるかの様に……
しかもそうそう出ないらしいですよ《星五》!
『さすがうさ耳様。
未来の女王に相応しい、心の優しさと余裕がございますね。
キングには勿体無い品でしたし、有効活用しましょうしましょう』
俺のちょっとした焦りを無視し、ミエナイが感動した様な声で賞賛する。
後半部分は嫌味ったらしく、嘲笑う声であったが。
ミ、ミエナイ!
ボク達の【達】はお前の事だったのか!
裏切ったなぁ俺をぉ!
「うさ耳殿は太っ腹にゃ。
このアイテムは切れてから好い事が起こるのにゃなく、
切れるまで幸運が続くアイテムにゃ。
だからこの御恩はガチャできっと返すにゃ♪
新しいネックレスで気分一新にゃ♪」
どうみても首輪です。有難うございます。
だが本人達には言わ無いでおこう。
どちらがどちらの色を付けるかで争っているのだ。
そこまで盛り上がっているところに油を差すのは申し訳ない。
それにしてもシャーシャーポコスコポコスコうるさくてたまらないな。
〜〜〜〜
ふぅ。
満足いく結果にガチャは終わったのだが……
ホントになんなんだ、このうるさい二匹は。
いつまでもいつまでも、ピーチクパーチク……仲良くしろよ!
ーーまぁ、喧嘩する程仲が良いって言うし、ホントは仲良しなのかな。
「まぁまぁ。
あぁやってワーワーやれるのも仲が良い証拠ですガオ。
キングさんも私と戯れて見ますガオ?
ガォハッハ、ガォハッハッハッハ!」
くそっ。
せっかく今は考えないようにしていたのに。
話しかけてきやがって……
はぁ……はははっ、まぁいっか。
喋るペットだと思えば何か笑えてくるなw
ったく、うさ耳はホントにお人好しだな。
コイツにも飴玉をあげちゃうなんてさ。