ゲームの始まり:チュートリアル②
『では最後に、アイテムアイコンをタップしてください。
アイテムは大きく分けて【バトル】【日常】【素材】、この三つのボックスに分類されます。
【バトル】には武器、防具、アクセサリーと言った戦闘に関係のあるアイテムが収容されております。
【バトル】内のアイテムは戦闘中以外では使用できず、その効果も戦闘中に限ります。
【日常】には日常的に使えるアイテム、衣類や小物、食べ物等が収容されております。
【日常】内のアイテムはいつでも使う事ができます。また、その効果も戦闘中の有無に関わらず発動されます。
【素材】にはガチャを回す為に必要なクリスタルや武器や防具、衣類と言った他のアイテムを製作精製するのに必要な素材が入っております』
これは便利だ。
某ゲームみたいに一々着替えに戻ったり大きなリュックサックを背負ったりしなくていい訳だな。
スタイリッシュに身一つで動ける訳だ。
このゲームは本当にシンプルさに力を入れてる様に思えてくるな。
『では、初回は特別に日常ボックスへ運営からのプレゼントが届いていると思いますので、そちらをタップしてみてください。
何がプレゼントされるかは完全ランダムなので、運が良ければとてもレアなアイテムが手に入る事もございます』
うおぉぉぉぉぉぉ!
キタキタキター!
ここでいきなり超絶レアアイテムを引いてうさ耳ちゃんに「キングすごい♪ ちゅちゅ♪」ってなる展開ですね分かります!!
では、行かせて頂きます。
金木、いっきまーーす!! ぽちっ
\タラララララ ッポーン♪/
『おめでとうございます。【沢庵】(星一)を初ゲットしました』
ん?
沢庵? 沢庵ってあの黄色の?
ポンッ、と音ともに俺の目の前に沢庵が現れた。
「何それキング? 武器? 綺麗な黄色だねぇ〜♪」
『沢庵は日本伝統の食べ物でございます。食べるとHPが三回復します』
…………。
ショッッッボ!!!!
絶対はずれじゃん!!
絶対これはずれじゃん!!
なんでアイテムの中に沢庵なんて項目があるんだよ!
怖ぇーよ。
このゲーム怖ぇーよ俺……
「でもこれ美味しいし当たりだよ! キングの国は美味国家だねぇ〜♪」
「あっ! 無い! 俺の沢庵が! え?? どうやって食ってんの!?」
うさ耳にとってここはゲームの中、ゲームの中の物をゲームをしている人間が食べれる訳がない。
まぁ、うさ耳が人間なのかは知らないんだけど。
「何かね、ボクがそれ食べたいって呟いたら、運営さんが【還元ポイント】で自宅に送る事ができますよって。
だからその沢庵? っての送って貰ったの♪」
な、何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何が起こったかわからなかった……
沢庵が出た、と思っていたら、沢庵が食われていたんだ……
催眠術だとか超スピードとかそんなちゃちなもんじゃぁ断じてねぇ。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……
パニックになり過ぎて大好きな漫画のキャラになっちまったぜ。
やれやれだぜ。
それにしても、このソシャゲはゲームの中のものを現実世界に還元してくれるのか?
なんて素晴らしいシステムなんだ。
うまくやればゲームだけで食べていく事も可能だな。
さらにやる気が出てきたぜ!
「先生、還元ポイントってのはなんでも送って貰えるのでしょうか?」
『ものによって必要ポイント数が違いますが、基本的になんでも還元する事が可能でございます。
ただし、付属スキル等は現実世界では発動できませんので付属致しません』
あっ……そうでしたね。
ここがゲームでうさ耳のいる世界が現実なのか。
[そっちにとって]は。
まぁ、俺にとってはここが現実だし、スキルも付属してるし、俺の勝ちだなw
はぁ、今だに信じられないな本当に。
「ごめんごめんキング。そんな悲しい顔しないでよ。もう勝手に食べたりしないからさ。キング、沢庵大好きだったんだね……ごめんね」
そんな本当に申し訳なさそうな悲しい顔して、的外れな謝罪はやめてくれよ、うさ耳。
これは困惑って表情さ。悪かったよ。
自分のキャラクターがこんな顔してたら楽しめないよな、楽しいソシャゲが。
「そうだぞ! 俺の大好きな沢庵食いやがってー! 悪い子にはこうだっ! 秘儀、耳ピンピン!」
「ひゃぁーひゃぁ〜、取れちゃうよぉ〜大事なお耳さんがぁ。ごめんよーあはははー」
案外悪くないなこの現実も。ふへへ
『以上が《チュートリアル:キャラクターの特性と各種アイテムの特徴を知ろう》になります。
またこれより、私の部下、Benign Rampant Observer(慈悲深い自由奔放な観測者)、通称BROがうさ耳様とそのキャラクターに割り振られます。
何か質問や要望があれば「hey, BRO」と呼びかけて頂ければ即座に返答致します。
BRO、挨拶をお願いします』
『どうrつyん(どうもでございます)。 ふぁうhpwさBRO(BROと申します)。
tご(あれ)? んごwtんppm(何か変じゃないすかこれ)! ゔぁgh、かるkjふぁお(バグ、バグってるっす)!』
な、なんだこれは!?
何語だ!? うさ耳の世界の言語? ーーではなさそうだ。
うさ耳もかなり困惑した顔をしている。
『も、申し訳ございません。パッチを当てるのを忘れてバグってしまっておりました。
まさか一人目の登録者様から人界のキャラクターを選ばれるプレイヤーがいるとは思わず……
言い訳でございましたね。申し訳ございません。
もう、パッチを当てておりますので大丈夫かと』
『どうもでございます。 BROと申します。
うわっ可愛い! うさ耳様、いや、ご主人様、このBROに何なりと』
な、なんだ、まだバグっているのか?
敬語なのかどうなのかよく分からない喋り方だし、うさ耳を可愛いって……
確かに可愛いな。うん。
てかホント可愛いなっ!
フードを深く被ってるせいでよく見てなかったけど、冷静になってよく見たらすごく可愛いぞ。
フードから生えているぴょんとした耳。
ボクっ娘なのに眠そうなおっとりした目。
ちょこんとした鼻。
とろけそうな唇。
首筋から流れる様に見える純白の髪。
おっぱ……こらこら。女性の魅力はそこじゃないだろ金木裳嗣。
こいつが俺のプレイヤー……いや、ご主人様っか……
「このキング、ご主人様の為に邁進致します」
「ふへへへ、何かもう女王様になった気分♪ よかろー二人とも頑張るのだぞ。あはははー⤴」
『うさ耳様。
さっそく部屋に戻って、レアガチャと(一応)こいつのオリジナルスキル確認しましょうよ!』
こいつだと!?
いやそれよりも、
つ い に き た か !
ガチャだー♪♪ ソシャゲの醍醐味、キタねこれ!!!!
うさ耳ルームに戻りましょぉー♪
パンッ スー ポチッ
ーー俺の神引き、見してやるぜ
次はガチャメインですが、キングのオリジナルスキルも!できたら書ききりたいです