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序列最下位と次期黒鬼  作者: うじまっちゃん
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第1話 誠二とクロ

 区切り方や短くまとめる方法がまだまだです。さぐりさぐりなので、広い心で読んでいただけると幸いです。

『霊導師』

 その歴史は古く、室町時代頃から存在は確立されている。

 霊導師とは読んで字のごとく、霊を冥界からこの世に導く力を持つ者のことである。

 彼らの仕事はこの世に未練を残して怨霊となり、人々に危害を加える『不霊』といわれる存在を成仏することである。


『不霊』は放っておくとどんどん恨み、つらみ、妬み、嫉みをためていき、長期間放置すると『悪鬼』として手に追えない存在となってしまう。そうならないために霊導師たちは早めの処理をしているのである。


 霊導師たちにとって最大の驚異は四十九年に一度訪れる大災害、『冥道崩壊』である。

 これは現世と冥界を繋ぐ魂の通り道、冥道という場所が崩壊することによって生まれるものである。

 崩壊することにより冥界の死者の魂が現世に行くだけでなく、冥界に封印されている悪霊までも現世に訪れてしまう。

 ちなみに霊感のない人間からしたら、未曾有の大災害という形で現世に被害を与える。歴史にある大災害が、この『冥道崩壊』が原因と言われている。


 ここまでが霊導師が何かというのと、彼らの大まかな目的である。


 続いて霊導師の一人、久々利誠二が行っていたことについて説明しなければならないだろう。

 彼は来年に迫った『冥道崩壊』に備えるため、八神鬼と呼ばれる鬼の一体、黒鬼と契約を交わすための儀式をしていた。

 八神鬼とは冥界の秩序を守る存在であり、黒鬼を含めて含めて八体存在する。


 契約するために黒鬼を冥界から現世に呼び出すことは成功した誠二だが、しかし黒鬼そのものとの契約はできなかった。

 その代わり黒鬼は自分の後継者である黒と契約をさせてもらえた。黒鬼は誠二の願いに近いものを叶えるためと、クロの成長のための提案であった。


 さて、話は誠二とクロたちのあの後に戻る。

 二人は儀式を行った建物の横にある、誠二の家に場所を移動している。

 

「・・・・・・・・・・・・」


 リビングのソファーの上にて、クロは不機嫌そうに頬を膨らませて体育座りをしてる。


「え、えーと、どういう食べ物が好みですか? なるべくリクエストに答えますが」

 誠二はなんとかクロのご機嫌をとろうと、そう問いかける。加えて、鬼であるクロが何を食べるのかわからないため気になっていたのもある。


「なんでもいいです。豆がだめとかないから、安心してとっとと作れです」


 クロは誠二の方を見ず適当な様子で返す。それでも、誠二はその答えで作れる物の幅が広いことで安心する。


(でも、お腹すきすぎて余計に機嫌が悪いんだろうな。だったら、先に何かお菓子でも食べてもらった方がいいかもしれないな)

 誠二はそう判断すると、キッチンに移動して冷蔵庫の中から白い箱を取り出す。それはあるお客様のために出す予定の物だったが、クロにあげることにした。


「な、なあ。よかったら先にこれでも食べていてくれないか? 作るのに少し時間かかるから」

 そう言いながら、クロの前にエクレアを二個乗せたお皿を置く。


「これは、なんですか? こんな奇妙な黒い物、食べられるんです?」

 エクレアを初めて見たらしく、クロは眉をひそめて確認する。


「エクレアといって外側はチョコレート、中身にクリームが詰まっていて、その二つの一緒に含むとそれぞれの甘さが合わさって至福の一品となるはずです」

 誠二は少し大袈裟な表現でエクレアを紹介する。興味をもってもらうために必要だと思ったからだ。


「ふーん。美味しそうには見えませんが、甘いと言うのなら食べないわけにはいきませんね。甘味はとても貴重なものでしたし」


 クロはそう言うときちんと座り直し、目の前に置かれたエクレアに手を伸ばす。興味深そうに一周眺めてから、恐る恐る一口目を食べる。


「もぐもぐ・・・・・・こ、これは」

 飲み込むと、クロはわなわなと体を震わせる。

 その様子に誠二は口に合わなくて失敗したと不安になったが、


「お、美味しいです! なんですかこの美味しい食べ物は! こんなに美味しい食べ物が現世にはあるのですか! これほど美味しいものは初めて食べましたです!」


 どうやらとても気に入ったらしい。子供のように目を輝かせて美味しそうに頬張る姿を見て、誠二は心の底から安心する。

 クロはあっという間にエクレアを二つとも食べ終える。


「気に入っていただけたようで何よりです。また買っておきますね」

「ふ、ふん! このえくれあとやらは気に入りましたが、お前のことは大嫌いですから、勘違いしないでくださいです!」

 そっぽを向いて向いて答えるクロだが、彼女の口の周りにはたくさんのクリームとチョコがついている。


「わかってますよ。それより口の周りにクリームがついているので、これで拭き取った方が方がいいですよ」

 誠二はティッシュを何枚か重ねてクロに渡す。


「う、うるさいです!」

 クロは奪うと乱暴に自分の口を拭き、テーブルの上に置く。


「なあ。お腹も少し落ち着いたことだし、お互いに自己紹介でもしないか?」

「嫌です! クーはお前に興味ないし、お前にクーのことなんて知られたくないです!」

 誠二の提案にクロは拒絶すると、背中を向けて再び体育座りしてしまう。


「・・・・・・はあ。わかりました。俺はこれからご飯を作りますので、何かあったら呼んでください」

 聞いているかわからないが、誠二はそう言い残してキッチンへと向かおうとする。


 ピンポーン


 だが、それを遮るように玄関のチャイムが鳴り響く。時計を見るとちょうど午後七時であった。

 誠二は玄関に移動し、ドアを開けるとそこには一人の女性が立っていた。




 

 

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