第11話
あと少しで200ptに届きそうだったので受験前にも関わらず、調子に乗って投稿してしまいました^^;
ストックは……ありません。ですが、受験が終わったらちゃんと書き上げるつもりです!
ゴブリンを焼き終わったあと、骨と結晶の様なものが残っていた。なんだろうか? これは?
手に取ってみると、魔力のようなものを感じた。
これは所謂魔石というものではないだろうか?
「なんか、あったんだけど」
「……魔石??」
「やっぱり優太もそう思うか?」
「綺麗……」
中野さんがポツリと呟いたのがきこえた。今のところ使い道もないし中野さんにあげようかな。
「はい、あげるよ」
「え……?」
「ほら、遠慮せずに」
中野さんの手を掴み、手に魔石を握らせる。
「あ、ありがとうっ、その、大切にする……」
顔を俯かせ魔石を抱えるように持つと、石井さんのほうに小走り気味に行ってしまった。
そんなに気に入ったのだろうか? まぁ、綺麗だとは思うけど。
「なぁ、雄輔。この残った骨はどうすればいい?」
「んんー、そうだなー、適当に土に埋めればいいんじゃないかー」
「もう肉とかもないし、腐らないし大丈夫か。そうするよ」
土魔法を使い地面に骨を埋めるために充分な穴をあける。骨を入れ、また土魔法を使って土を上から被せる。これで後始末終了っと。
「時に雄輔、なんでそんな遠い目をしているんだ?」
「あ、あぁ、気にしないでくれ。考え事していたんだ」
「そうか……でも気をつけろよ? モンスターが急に現れるかもしれないからな」
「申し訳ない、よしっ、切り替えていこうっ!」
そして僕らは歩始めた。いや、始めようとした。
「……ん? 避けろ!!」
雄輔はどうやら俺に対して言っているようだ。何も考えず全力でその場から離れる。
するとたった先程までいた場所に、茂みが伸びている金棒が振り下ろされていた。
地面にはへこみができていて、振り下ろされていた地点を中心としてひびが広がっていた。
あ、あぶねぇ……
構えをとりつつ、少しずつ距離をとっていく。この大きさの金属の棒を振ったという事実より相手の力はとても強いとわかる。そのことから近接戦は避けた方が良いと判断したからだ。
「こいつは俺一人では荷が重そうだ……というわけだから皆、頼む!」
そこから出てきたのはゴブリンと同様に人型、しかし強さが全く異なる魔物。それは角が額から生えてきていて、顔はまぁ、ごついゴブリンだ。
オーガ、受付で少し教えてもらった魔物中にその名があった。だが、それは通常のものだけの話。
こいつは少々、特殊だった。
ゾンビになっていたのだ。ゾンビ化するとゾンビ特有のスキルなどを取得するらしいが、能力値は減少するらしい。
実際、俺達がオーガを見つけたら即座に逃げなければ助かる道はない。しかしゾンビ化しているなら倒せるかもしれない。
とりあえずステータスを見て判断しよう。かいせ……きっ!?
魔力を放つが、いつも頭に浮かんできた情報が今までのスライムなどの情報量より圧倒的に少ない。
「ステータスが……見れない」
「そんなことがあるの?」
「いや、初めてだ。レベルと種族名だけは見ることが出来たんだが……」
「何レベル?」
「37……」
「それは……ちょっとどころじゃなく厳しいな……」
これは辛い戦いになりそうだ。恐らくステータスを見れないのは俺の魔力をオーガの魔力が弾いているからだと思われる。
自力の差は相当あるはずだ。
「というわけで、石井さんは危なくなったら二人を連れて逃げてね。時間を稼いだら後から逃げるから」
「うん、わかった! 取り敢えず今は雄輔くんに身体強化の魔法をかけていくね!!」
「ありがたい!」
雄輔が白い光に包まれる。石井さんって、実は本当に天使なのではないだろうか? そう疑ってしまう程に石井さんはきれいだった。
「お? ついにか……来るぞ! 構えろ!!」
雄輔が指示を飛ばす。
それと同時にオーガは前衛のタンクである優太に襲いかかる。棍棒が風を裂いて優太に接近する。
あ、てかタンクだけど、盾とかもってないじゃん!!
「危ない! よけろっ!!」
「いや、大丈夫だ、ほら見てろよ」
何を根拠に?? そう思ったのも束の間、俺は一瞬で目を見開くことになる。
「《鉄壁》っ!」
なんと手をクロスし生身で受け止めたのだ。人間辞めてる……この世界の上位の人たちの実力はどのくらいなのだろうか……
優太が受け止めている間に、石井さんの光魔法で身体強化された雄輔がオーガに接近する。
そして腕を大きくひいて――
「――《金剛力》!」
パンチを放った! パンチを受けたオーガは後ろに仰け反った。
「もういっちょ、《金剛力》!」
体制を崩した隙をついて再び雄輔が、今度は蹴りをいれる。3メートルほど飛んでいき、その後地面を滑っていった。
「雄輔くん、離れてっ!」
今までずっと魔法に力を注いでいた中野さんが魔力を込めるのを止め、警告する。
それは火魔法で、火災旋風を横に倒したようだった。しかし火の色は青く、少しの時間で周囲の温度を数度上げていることからも、とても熱量が大きいことを物語っていた。
それは先が太い円柱状だったのだが、次の瞬間には細く長い渦へと変わった。渦が伸びた先にはオーガがいて、魔法に飲み込まれた。
あれは焼け死んだな……
ハイタッチをして皆で喜びを共有する。
初めての、俺だけでは倒せない強敵を連携を取り、倒すに至ったのだ。
じゃあ、既に焼いたし、埋めようか……な?
そう思った瞬間、鳥肌が立った。やばいっ!
俺は全力で体中から魔力を集め、魔力の球を作り始めた。
「おい、長谷川、どうした?」
「まだだ、まだ、終わっていない!」
俺の一言で皆は警戒を強めた。
突如として、焼け死んだはずのオーガは立ち上がり、中野さんへ向けて走り出した。
「優太、あと数秒時間を稼いでくれ!」
「了解!」
優太は中野さんの前に立ち、脱いだ上着を横に張ることでオーガの突進を防ごうとした。
危ないっ!
そんな俺の心配を他所に優太は上手くいなすことに成功した。
ヒヤヒヤするだろ、さっきみたいにスキルを使えよ……
だが、優太は時間をちゃんと稼いでくれた、盾すら持っていないのに。
だから俺も期待に応えなければならない。
今からはすることは、魔力を放つだけだ。但し、全属性の、だが。
そう、前にやったみたいなことをする。あれはゾンビみたいだから一種の霊的なものだろ? だから効くはずだ。
「いくぞ! 俺の全力!!」
全属性の魔力を3倍に増幅してくれるガントレットを通して、球体状にして溜めていた魔力を放った!
七色の球体はオーガに向けて、真っ直ぐ飛んでいった。そして球体はオーガにぶつかり弾けた。
それが弾けた際に、強い光が生じた。
ど、どうなった!? やったか?? フラグじゃないぞ!!
光が収まると、倒れたオーガの姿があった。
近くに行き、つついてみたがピクリとも動かなかった。
「ふぅ、はぁはぁ、もう大丈夫だ、はぁはぁ、ろう」
「はろー? どうしたんだ、準。急に英語で挨拶なんかして」
「はぁ、いや……冗談じゃなくキツイから……それにしても皆が無事で、よかっ、た、あ?」
気づいたら後ろから手を回され、力強く抱きしめられていた。そして背中には二つの何か、柔らかな感触。
「えぇっと、石井、さん? 手を解いてもらえないでしょうか? てか、倒れそう……」
なぜか、敬語になってしまったが、石井さんはなかなか離そうとしなかった。
魔力の使いすぎでフラフラするのですが……。
「やだ……」
どうやら、初めての強敵の戦闘で精神が幼くなってしまったようだ。
落ち着かせる意味を込めて、後ろに手を伸ばし――結構無理な体制ではなあるが――頭をそっと撫でる。
サラサラした綺麗な上だ、ずっとこうしていたい……。
戦闘後で俺らは、気を使い果たし、警戒を怠っていた。
そして――地面に大きな影が映った。
嫌な予感がして俺は石井さんを残り少ない力を気合で行使し強く突き飛ばす。
そのとき、石井さんの手が俺の腰の袋に引っかかって袋の紐が腰から取れて何かが落ちてしまったが構いはしない。
強力な力で、上へ持ち上げられる。服が俺の両脇に食いこんでとても痛いが、そんなことどうでもいい。
両足が地面から瞬く間に離れていく。
上を勇気を振り絞って見上げると、白いたくさんの鱗と、凶悪な黒い鱗で覆われた下顎が見えた。
そしてまた勇気を振り絞って下を見ると、皆が、とても小さなアリのように見えた。
ここまでにかかった時間、約5秒である。
もう、魔力は残ってないし、というか意識が……。
俺は竜の後ろ足にシャツの襟を摘まれ、運ばれる中、気を失った。
お読み頂きありがとうございました!
次は受験が終わったあと……3月中に投稿する予定です。
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