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いんそむにあ!

作者: 瀬海


「じゃあ、彼女と一緒に寝てください」

 ――開口一番、そんなことを言われた。しかも、ものすごく不本意そうに。

 その男子生徒が指を差す先には、窓際の席に座って身長ほどはあるナマズの抱き枕を抱えている、いかにも眠そうな可愛い女の子の姿があった。ぼくは慌てて反論する。

「ちょ、ちょっと待ってください! その、会ってからまだ十分も経ってないのに、できるわけないじゃないですか! そもそも、なんでそんなことを」

 もっともな疑問だと思っていたのに、青年はさも当たり前のように返す。

「悩みを解決したいんでしょう?」

 い、いや、確かにそれはそうだけど……。「あたしが全て忘れさせてあげるわ」とか、そんな解決方法は望んでないし、高校生でそれはあまりにも乱れているんじゃないだろうか。まぁ、あんな可愛い子と寝れるなんて夢のような話だけど……。

 そんな風にぼくが混乱していると、青年は不純な考えを読み取ったのか、やはり不本意そうな顔で続ける。

「……行為とかそういうことじゃなくて。文字通り、彼女と寝てください。つまり、まぁ、添い寝してくださいと言ってるんです」

 あ、あぁ……なるほど。

 添い寝、か。びっくりした。勘違いした自分が恥ずかしい。

 …………。

 いやいや、どっちみち意味が分からない。



 ぼくがその掲示物を見たのは、つい二十分前のことだった。

 下校時に、ぼくが教室から昇降口に向かうまでに歩いていた廊下の壁に貼り付けられていたそれには、否が応でも興味を惹かされるような文言が踊っていて、ぼくは思わずこんな言葉を漏らしてしまったのである。

「えぇえ……何これ……」


『あなたのお悩み、解決します!』


 そんな風にでかでかと書かれたポスターは手作り感満載で、俗に言うヘタウマな絵が文字の周りを囲んでいるという、およそ悩みを真剣に考えてくれそうにもない感に溢れている素晴らしい出来だった。右下に小さく『睡眠研究会 活動場所 4A教室』と記されているのもまた謎である。

 睡眠研究会?

 悩みを解決?

 名称と活動内容がどうにも噛み合わない。

 しかし、ぼくはもしかしたら、と考えた。考えてしまった。――睡眠の質を改善することで、抱えている悩みをどうにか和らげるという主旨なのだろうか? 一風変わったアプローチだが、もしかしたら、ぼくの抱えている悩みが少しは減ってくれるかも知れない。試してみる価値はあるんじゃないか。

 こんな怪しいポスターを掲示するような部活だ。さすがに抵抗はある。しかし、駄目で元々だ。

「……話を聞くだけ聞いてみようか」

 そして十分後、ぼくはまんまとその教室を訪れてしまったのである。



「あ、お仕事? やったー……お客様第一号だね。むにゃむにゃ……」

 その「お客様」の目の前で、あからさまに眠そうな様子をして女の子は呟いた。「園浦由芽です……よろしくー」

 背丈は普通くらいだろうか。でも、寝癖のごとく跳ねている茶色がかった長い髪の毛と、うとうとしているその様子のせいで、なんだか妙に幼く見える。目がほとんど開いていないので断定することはできないが、かなり可愛い方に入るのではないだろうか。

 ぼくは我に返って青年に注意を引き戻した。

「あの……確かに癒やされるとは思うんですけど……やっぱり見ず知らずの女の子の隣で寝るって言うのは抵抗があるというか……」

「俺だって嫌です」

「え?」

「あ、いや、何でもないです」

 聞き間違いだろうか? この人、自分で言っておきながら今「嫌」って言った?

 話を聞いていたらしい園浦さんが再び口を開く。

「駄目だよ真倉くん……せっかくのカモを逃がすようなこと言っちゃ」

「今、あの子『カモ』って言いましたよ!?」

「気のせいです。たぶんあれは寝言でしょう」

「いや、起きてると思いますけど!」

「寝言じゃないよー。カモがネギ背負ってやってきたの」

「……頼むからお前は黙ってろ!」

 目の前で失礼な応酬が交わされる。

 あぁ、なんだろう、これは……。やっぱりぼくは失敗したのだろうか。あのポスターの通り、悩みを解決する気なんてさらさらなさそうなんだけど。

 でも。

「……? どうしたのー?」

 女の子と視線が合ってしまい、ぼくは慌てて目をそらす。ええと……はい、こんな子に添い寝してもらいたくないと言えば、嘘になりますごめんなさい。

 でも、やっぱり、そんなのはいけないんじゃないかと……。あいつだって、そんなことを知ったら良くは思わないだろうし。

 ぼくが頭を抱えて煩悶していると、そのうち、しびれを切らしたように青年は言った。

「悩みを解決したいんですか。したくないんですか」

 あまり、相談をしに来た学生に向かって掛ける言葉としては適切ではないだろう。

 でも、その台詞に、ぼくは背中を押されたような気持ちになった。

 そ、そうだ――これは決して不純な動機から添い寝するのではなくて、悩みを解決するために致し方なくすることなんだ。うん、これはつまり一種のカウンセリングなんだ! だから後ろめたい気持ちを抱く必要なんてどこにもない。向こうから提案したことなんだし、むしろそれに乗らないのは失礼というものだ。きっと、許してくれるだろう。うん、きっとそうに違いない。

「解決、したいです」

 ぼくは意を決して言う。実際、悩みを解決するのは第一事項だ。

 すると、園浦さんは唐突にナマズを放り投げる。

「決まりだね! よし、真倉くん。オフトゥン持ってこい! 夜伽の時間だ!」

 よ、よとぎ……? いや、さっき添い寝だって……。

「……相談の時間な」

 彼が溜息をつくと同時に、その頭へナマズが落下してきた。



 ぼくの悩みというのは、こうだ。

 たとえば、新しく何かのクラブに入ったとしよう。その際、最初に行うのはもちろん自己紹介なわけで、ぼくは敬語や丁寧語を使ってつつがなく自分のことをいくつか話す。

 そうすると、同じようにして新しく入った幾人に、後ほど話しかけたり話しかけられたりして交流を深めることになるだろう。自分の出身地に関するエピソードや趣味の話をいくつかして、ある程度相手のことを理解したりする。そこまではいい。問題なのは、そこから先の段階――具体的にいうと、敬語や丁寧語を取り除いて話せるほどの、親密な関係まで踏み込むことができないのである。

 タメ口で話せる友人がいないわけではない。しかし、その大半は幼い頃から付き合いがあった人たちばかりで、そもそもどうやって敬語から移行したのか思い出すこともできないほどの古い知り合いたちだ。その最たる例は幼馴染みの空乃そらのであり、彼女はぼくの悩みを知った上で色々と世話を焼いてくれたりもしているが、未だに改善される傾向は見られていない。敬語を捨てて話そうとしてみても、自分の意思に関わらず「ですます」口調になってしまい、酷いときには体調が悪くなりさえするのだ。――そんな風にして、ぼくはここまで来てしまっている。原因は何も分かっていない。

 とまぁ、恥を忍んでそんな話をしようと思ったのだが、目の前の二人は話を聞こうとするどころか、黙々と床に畳を敷いて添い寝の準備を始めた。いや、園浦さんは気怠そうな応援をしているだけで、実質は彼の方しか動いていなかったけども。

 準備が終わると、待ってましたとばかりに園浦さんは畳に座り込んだ。

「うーん、やっとスヤァできる……。真倉くん、となりおいで」

「俺が添い寝してどうする。お待たせしました。どうぞ」

 ……どうぞと言われても……。

 自分が先に横になったのならともかく、後から隣に転がるのはやたらと勇気が要る。

 そもそも考えてもみれば、人との距離を近づけられないのが悩みなのに、ほとんど体が触れあうところまで近寄っていくなんてできるはずがない。考えただけで頭がくらくらして気持ちが悪くなる。そうだ、こんなのは無理だ……ぼくは一体何を承諾したんだろう? とうてい添い寝なんてすることはできない。

「すみません、やっぱりぼくは、」

 ぼくは目眩にふらついた体をなんとか支えながら「できません」と謝ろうとした。

 しかし、次の瞬間、


「――おいで」


 園浦さんは、座り込んだままぼくに微笑みかけた。

 その妖しく光る青い瞳に魅入られて、ぼくの体が意思とは関係なしに動き出す。

 え?

 これは、何なんだ?

「うん。良い子良い子」

 吸い込まれるように近寄ってしまったぼくは、園浦さんに「えいっ」と背中を一押しされて、畳へうつぶせに倒れ込む。

 体の自由がきかない。でも――悪い気分ではない。

 まるで、夢の世界に片足を突っ込んだような。

「ぼくの話は……しなくていいんですか……?」

 すでに朦朧とし始めた意識のまま、ぼくは彼らに訊ねた。園浦さんは「ん?」と首を傾げたが、やがて納得したように手を打ってからおもむろに横になり始める。

「いいのいいの……どうせすぐに分かるんだから」

 髪の甘い香りが鼻に近づく。ぼんやりと、園浦さんと顔を向かい合わせにしているのが分かった。

 そのまま、さらに園浦さんはぼくの方に人形のような顔を近づけてきて――

「――こつん」

 額が触れあった瞬間、ぼくの意識のヒューズが飛んだ。



 ……。

 …………。

 ここは一体どこだろう?

 ぼくは歩いている、道の上を。ここは――そうだ、思い出した。小学生の頃、学校帰りによく歩いた河原沿いの通学路だ。当時、人見知りだったぼくは、子供らしく落ち着きのない様子で走り回っている、お面を顔につけた他の子供たちを羨ましそうに見つめている。この道は大通りへの近道として車がたまに通るから、気をつけなさいと先生に言われたっけ。

 くだらないことで騒ぐのがとても面白そうだった。まだ、敬語なんてそれほど覚えていない頃のことだったけど。

 ふと足を止めて横を見ると、見覚えのある姿が目に入った。あぁ、ぼくらはこの頃からもう仲が良かった。ぼくと同じようにおとなしい性格ではあったが、別に人見知りというわけではなかったから、その仲介のおかげで友達ができたりもした。

 ぼくは嬉しくなって駆け寄ろうとする。

 しかし、途中で躓いて転んでしまった。

 ぼくは痛みに耐えながら、なんとか立ち上がろうとする。

 すると、そんなぼくに手が差し伸べられた。母さんだった。

 そう、何度もたしなめられたのにも関わらず、スーパーマーケットのおもちゃ売り場で走っていたぼくは、足を滑らせて転んでしまったのだ。ほら、だから言ったでしょう? という呆れたような声が聞こえる。涙を浮かべながら立ち上がると、母さんは、次に走り出したらもう何も買わないからね、とぼくに念を押した。ごめんなさい、とぼくは俯く。

 怒られたぼくをあざけるように、商品棚に並べられているおもちゃたちがくすくすと笑い始めた。

 当時人気だったぬいぐるみやプラモデル、電車の模型までもがぼくを指さして笑っている。そのうちに笑いはくすくすからけらけらに変わり、大声でぼくをあざけり始めた。むっとしたぼくが思わず汚い言葉を口にすると、母さんが後ろからまたぼくを叱った。そんな言葉使っちゃ駄目よ。

 母さんは優しくて静かな性格だったが、こと言葉遣いに関してはよくぼくを注意した覚えがある。ぼくが敬語をよく使うようになったのは、母さんの影響だったんだろうな、と今更ながらに思った。でも、別に同年代の子供たちと話す分には敬語を使えなんて言われなかったはずだ。注意されたぼくは恥ずかしくなって、だってあいつらが、と抗議をしながら振り返る。

 そこには、ひょっとこのお面を被った中学時代の友人たちがいた。

 ぼくも同じように中学生になっていて、もう、敬語を使って話している。

 だって、あいつらがぼくを馬鹿にしたんです。

 そう口にすると、彼らは一様に複雑そうな表情をした。ねぇ、どうしてタメ口で話してくれないの? わたしたちのことが嫌いなの? 違います、とぼくは答える。そうしようと思っているんですけど、どうしてもできないんです。すると、彼らのうちの幾人かはぼくの元を去って行った。仕方ないじゃないか、と心の中で呟くが、口に出せば、仕方ないじゃないですか、に変わってしまうことは分かっていた。

 どうすればいいんだろう。

 ぼくは学校の帰り道で毒づいた。

 隣から柔らかな声の返事が聞こえる。そのままじゃ駄目なの? わたしはあなたの丁寧な言葉遣い、好きだけど。でも、どうにかしたいんだよ。そうぼくが返すと、困ったように少し笑った。今まで通り、何かあるときはわたしがついていてあげるから。その言葉に、ぼくは妙な安心感を覚えた。

 場面が変わる。林間学校でキャンプに行ったときのことだ。敬語を使わないで話せる友人もいたが、彼女の仲介のおかげでぼくは上手くみんなに溶け込んでいた。

 文化祭の場面だ。同じ仕事をしよう、と彼女に言ってもらえて、そうしてぼくは積極的に動くことができた。

 図書館で受験勉強をしている。みんなで一緒に勉強しよう、という彼女の提案のおかげで、苦しい一年間をなんとかやり遂げた。

 課外実習。彼女がいる

 クラスの打ち上げ。彼女がいる

 合格発表。彼女がいる

 さまざまな場面が入り乱れてはぼくの脳裏を過ぎっていく。いや、実際に体験しているのだからその言い方は正しくないのかも知れないけれど、とにかくぼくは彼女にそばで助けてもらったおかげで孤立しないですんだし、楽しい生活を送っていた。でも、心の奥底では分かっていた。この性格をなんとかしないと。なんとか敬語を捨てられるようにならないと、と。そう、ぼくは変わらないといけない――


「ねぇ、あの子は誰なの?」


 不意に隣で声が聞こえ、ぼくはびくっとして振り向いた。

 そこには、人形のような顔立ちに悪戯っぽい笑みを浮かべる、ほとんど妖艶と言ってもいいほど綺麗な女の子が立っていた。いや、美しい、という表現の方がしっくりくるかもしれない。二重の青い目はぱっちりと開かれていて、栗色の長い髪はハネ一つない緩やかなカーブを描いて腰まで伸びていた。

 最初は誰だか分からなかったが、よく見ると覚えがあることに気付く。

「園浦……さん?」

「そうだよー。いい夢見てる?」

 にひひ、と園浦さんは笑った。容姿はまるで別人だが、中身は先程と比べてほとんど変わっていないようだ。眠たそうでないことを除けば。

「なんで、あなたが」

 そう訊ねるが、一蹴される。

「うーん、説明するのは面倒くさいなぁ。それよりも、質問に答えて?」

 園浦さんは記憶の一場面を指さすと、再びぼくに問いかけた。

「いつもいつでもきみと一緒にいる、あの女の子は一体誰なの?」

「誰って」

 ぼくは困惑しながらも答えた。「幼馴染みの、空乃です」

「そう、空乃ちゃんね」

 んー、と園浦さんは顎の下に親指を当て、その辺を歩き回りながら、何かを思案しているようだった。その辺、と言ってもここがどこなのかは判然としないけれども。

「空乃が、どうかしたんですか」

 ぼくは気になって訊ね返す。

 園浦さんは立ち止まった。

「いやね、記憶の主要な場面に大事な人が登場するのは、まぁ、不思議じゃないんだけど。なんか……あまりにも多すぎない? きみの彼女」

「か、彼女じゃありません! あいつはただの幼馴染みです!」

「そうとも言うね」

「そうとしか言いません!」

 じゃあなおさら不思議だなぁ、と園浦さんは呟いて、いくつか場面に目をやっては首を傾げる。長い髪がふわりと揺れると不思議な甘い香りが漂ってきて、下手をすると正気を失ってしまいそうだった。

 やがて、彼女は「あぁ、なるほどね」と納得したように頷いた。

「あのさ」

「……なんですか?」

 園浦さんはぼくの目を見据え、にかっと満面の笑みを浮かべる。

「あの子が、きみの悩みの原因なんだね」


 ――唐突な言葉に、思考のカセットテープが突然動きを止める。

 空乃が、ぼくの、悩みの原因?

 なんで――どうして、そんな風になるんだ。

 あいつはぼくが普通に話せる数少ない人間の一人で、原因になるどころか、今まで助けてもらってきているというのに。

「どういう、ことですか」

 絞り出す言葉は途切れ途切れになる。

「だって、おかしいじゃない」

 園浦さんは「あのときも」「このときも」と、次々に場面を指さしていく。その都度ぼくは指の方向に目をやった。

「……いくらなんでも多すぎるよ。いくら幼馴染みで仲が良いって言っても、彼女でもないのにここまで一緒にいるなんて、もう仲が良いを通り越して異常だよ」

「べつに、おかしくなんて」

「おかしいよ」

 園浦さんは言い切る。

「見る限り、きみから空乃ちゃんに助けを請うたことは少ないみたいだね? それなのに、彼女は色んな場面で色々ときみに世話を焼いているし、きみはそのことを疑問に思ってすらいない。それが当たり前になっているから。でも、これはあたしから見たらあまり当たり前じゃないな。なんて言うか……そう、過保護だ」

「過、保護?」

「うん。過保護。ほら、これとかさ――」

 園浦さんの手の動きと共に、場面が切り替わる。

「ぼく」の目の前を空乃が小走りに通っていった。

 中学校の廊下だ。空乃の向かう先にはぼくがいる。

「ぼくたち」は二言三言、言葉を交わしてから連れたって歩いて行く。

「ほら、尾行するよ」

 何故か園浦さんは楽しそうに言い、二人の後をつけていく。つられてぼくも後に続いた。

 誰もいない廊下。二人しかいない廊下。

 延々と窓が続いている。外の景色は垣間見ることができず、ただただ黒い闇が広がっているばかりだ。時折、廊下の隅に壊れた胸像が転がっているが、「ぼくたち」は気にする素振りもなく真っ直ぐ廊下を歩いて行く。

「ぼく」はとある教室の扉に手を掛けた。

 少し逡巡した様子を見せた後、「ぼく」は扉を開いて中に入っていく。こんにちは、という緊張の混じった声を張りながら。思い出した。これは入学当初の――

 扉の向こうには開けた空間が広がっていた。板張りの床や人工芝や砂地でモザイク模様になった足下が続いていて、見上げると天井もまた照明器具や晴天でつぎはぎされている。いくつかの場面を混在させたかのようだ。

「――部活見学の時だ」

「みたいね」

 さまざまな足場にはさまざまな人々が立っていて、みんなお面を被っている。女子の制服を着たお面。男子の制服を着たお面。華奢なお面。屈強なお面――かぶっていないのは「ぼくたち」だけだった。「ぼく」はお面の人々の話を聞いたり、たまに体験入部の形で体を動かしたりしていた。どの部活に入ろうか決めかねているのだろう。

 だが、やがて「ぼく」は一人のお面の前で立ち止まる。

 すると、その足下にあった板張りの床が他のモザイク模様をことごとく侵食して波のように広がっていった。床が足下まで押し寄せてきたとき、ぼくと園浦さんは思わず「うわっ」という声を上げてしまう。

「びっくりした。……これは、天体観測部かな? ここに入ったんだね、きみたちは」

 そこは、ぼくと空乃が中学時代に所属していた天体観測部の部室だった。望遠鏡や天体模型、そのほか、およそ活動内容とは関係なさそうな人生ゲームなどの遊び道具も棚に完備されている。記憶は鮮明だった。

「……うん。気持ちよく寝られそうな部室だ。オフトゥンがあれば文句のつけようがない」

「いえ、毛布はありませんでしたけど」

「じゃあ0点だ」

 判断基準が極端すぎる。

 寝ることしか頭にないのだろうか。

 ところで、と園浦さんはお面の先輩たちと談笑している「ぼくたち」に歩み寄っていってその様子を背にすると、手を後ろで組んだ、上体を乗り出すような姿勢でぼくに訊ねる。

「何か、違和感は覚えないかな?」

「違和感、と言われましても……」

 制服の胸元から下着が見えそうになって、ぼくは慌てて目をそらす。

「ん……じゃあ、もうちょっと再生しようか」

 すると、部室の中で「ぼくたち」はめまぐるしい早さで動き始めた。まるで場面を早送りしているようで気持ち悪くなりそうになったが、何の動きをしているかは不思議とはっきり確認できる。

「ぼく」は時折模型を覗き込んだり、望遠鏡の仕組みが記された本を読んだり、先輩と少し難解な話題で盛り上がったりしている。空乃はほとんどの場面でぼくのそばにいるが、たまに一人でいるときは持ち込んだ文庫本を読んだり、部室の棚に置かれている漫画を読んだりしていた。

 これがどうしたというのだろう。ただ、中学時代の風景をリピートしてみせているだけだ。

 だが、見ている内にふと頭を何かが過ぎる。

 部室で宿題をする空乃。窓から校庭を覗き込んでいる空乃。寝ている空乃――。

 違和感は徐々に大きくなっていって、そこに焦点を当てながら過ぎ去っていく場面を見ていると、違和感は確信に変わっていく。

 そのうちにぼくは思い出した。中学時代、同じように抱いた一つの疑問を。

「空乃は、活動にはほとんど興味がなかった……?」

 彼女が自分から器具や星図に触れている場面が、一つもない。

 ぼくといるとき以外は、天体に関わってすらいないだろう。

「そう見えるね」

 園浦さんが動いている「ぼくたち」に向かって手を振ると、たちまち全ての人物が動きを止めた。「彼女はたぶん、天体観測部になんか興味がなかったんだろう」

 そうだ、当時、自分もそう感じたことがあった。

 でもそんなはずがないと思い、流していたのだ。興味もない部活に入るはずがなかろう、と。どこかで空乃なりに興味を抱いているのだろう、と。

 今にして思えば、何かが引っかかる。

「なんで、空乃はそんなことを」

 ぼくがそう呟くと、そこで初めて園浦さんは不満そうな表情を浮かべた。まるで、「まだ分からないのか?」と出来の悪い生徒に手を焼く教師のような顔を。そこに椅子はないはずなのに、足を組んで腰掛けるような体勢をとっている。宙に浮かんでいるように見えた。

 しばらくそうしていてもぼくが分からない様子なのを見てか、園浦さんは盛大な溜息をついてから口を開く。

「……彼女は、きみのためだけに部活に入ったんだよ」

「え?」

 ぼくは思わず、静止している空乃を見つめる。

「体験入部の時からずっときみについて回ってる。たまに、緊張しているきみの背中を押したり、代わりに話を聞いたりしながら、ね。で、きみがついに入部を決めてからも甲斐甲斐しいサポートだ。きみがある程度円滑に部活に参加できるように表から裏から動いているよ。嬉しそうにね。……自分は天体なんかに興味なさそうなのに」

 自分以外の人と仲良くさせる手伝いだけはしていないけど、と園浦さんは付け加えて、またあの言葉を繰り返す。「ね? 過保護だよ」

 園浦さんは足を組み替えた。

 部室は消え失せて、またぼくと園浦さんだけが向かい合う形になる。

「この様子だと、彼女はきみの世話を焼くことが苦じゃなくて、むしろそのことを喜んでるみたい。だからいちいちきみに手を貸す。小さい頃からそうだったみたいだから、きみは彼女の保護に無意識のうちに依存しちゃってるんだよ。そんで、彼女もきみに依存してる。『この人はわたしがいなくちゃ駄目なんだ』ってね」

「そん、な。それじゃあ、まるで――」

 ぼくの考えていることを読み取ったように、園浦さんは頷いた。

「きみが思っているので合ってるんじゃないかなぁ」

 ――そんなはずはない。

 声には出せなかったが、ぼくは心の中で園浦さんに反論した。

 そんなはずはない。あいつはただの幼馴染みで、確かにぼくが助けることよりも助けてもらうことが多いけども、そんな関係なんかではない。ぼくは声に出して否定しようとする。

 でも、声が出ない。どうしても出てくれない。

「違う」の一言をはっきりと口に出すことができない。

 ぼくは、すでにその理由に心当たりがあった。園浦さんの放った言葉を耳にした途端、ここから見える場面が姿を変え始めたことには、はっきりと気がついていたから。

 どの場面にも彼女がいる。

 ぼくの隣にはいつでも彼女がいる。

 中学を出て、違う高校に進学してからもさまざまな場面に彼女が登場する。どこにでも。どこへでも。彼女は記憶の重要な位置でぼくの世話をずっと焼き続けている。

 そのうちに、ぼくらの姿がぐにゃりとゆがみ始めた。空乃の助けに依存する自分。ぼくに依存されることに依存する空乃。ぐにゃりと。ぐらりと。幼馴染みという言葉だけでは言い表せない奇妙な関係が浮かび上がってくる。ぼくらの間柄に本当に似つかわしい名称が、何もかもをねじ曲げる強さで叩きつけられる。

「……共依存……」

「きみは『変わりたい』と思いながらも無意識に彼女の助けを受けていたんだ。だから変われない。変われなくても空乃ちゃんがいれば、と思ってしまうから。きみにとってきみの悩みなんて、なんら深刻なことじゃなかったんだね、つまりは」

 ぼくは思い出す。本当に本気ならばカウンセラーにでも頼ればよかったのに、あんな怪しいポスターにひょいひょい導かれた楽観的な自分を。

「はは」

 自嘲が口から漏れる。

 それこそ自分自身に呆れかえった。原因は彼女に頼りすぎる自分にあったのに、そのことに気付く機会は何回もあっただろうに。

 確かな繋がりだと思っていた「幼馴染み」という関係の名称ががらがらと崩れ落ち、醜悪で互いに自分勝手な名称がそれに成り代わる。合わせて、目の前の場面が姿を変えていった。

 すうっ、と、足場が音もなく消えた。

 よりどころを失ったぼくは、為す術もなく落ちていく。

 数え切れない場面の数え切れない人々が、ぼくを見ている。全ての視線が、馬鹿な男を捉えている。ぼくは落下する。園浦さんは足を組んだ姿勢のまま、まるで浮遊感を楽しむかのように悠々と闇の中で静かな笑みを浮かべていた。学校帰りの通学路。スーパーのおもちゃ売り場。おもちゃたちがぼくのことを笑っている。そんなことに今更気付いたのか? と。

 走馬燈のようにあらゆる場面が駆け巡る。そして、ぼくは闇の底に体を打ち付けられた。体の痛みはない。起き上がると、ぼくたちは記憶の中の人々に包囲されていることに気付く。

 人々はお面を取り始めた。そして、その人々の一番奥に立っている「ぼくたち」も自分たちの顔に手をやった。ミリッ、と「ぼくたち」の顔の皮膚に亀裂が走る。そして、ベリベリベリ、と嫌な音を立てながら、被っていたお面をはぎ取っていって――。

 そこにあったのは、二つの暗い空洞だった。

「やめろ!」

 ぼくは耐えきれずに叫んだ。「もう、やめてくれ!」

 幼馴染みのままで良かった。そんな真実は必要がなかった。今まで通り、互いに互いを支え合って蝕み合って生きていければ、充分に楽だったのに!

 頭を抱えてうずくまる。二つの空洞が今にも近寄ってきそうで、ただただ怖かった。見たくなかった。

 ぼくは。空乃は。

 近くまで空洞が歩み寄ってきているのを気配で感じた。

 もう幼馴染みでも、なんでもなくて。

 空洞がぼくの頭に手を置く。

 戻れない。戻ることができない。

 何気なく笑ったりお喋りをする、あの普通の間柄には、もう二度と。

「――でもさ」

 ととん、と優雅に着地する音が聞こえた。

 園浦さんは何気なく口にする。


「きみは、空乃ちゃんのことが好きなんだね、きっと」


 ぼくは顔を上げて、立ち上がった園浦さんを見る。

 真実を突きつけておきながら、そんな言葉を口にした女の子を。

 だって、そうじゃない、と園浦さんは当たり前のように言う。

「好きでもない人間と、こんなに長い時間一緒にはいられないよ。いくら過保護を受けてるって言ってもね。そんでそれは、空乃ちゃんも同じでしょ」

 相思相愛だね、羨ましい。

 深刻さの欠片もなく夢見心地でそう呟く園浦さんは、本気でそう思っているようだった。

 空乃が、ぼくのことを?

 ここに至って、そんな都合のいい話。

 園浦さんは続けた。

「きみが空乃ちゃんと一緒にいた思い出は、全部が全部助けてもらったことだけだった?」

 違う。

「きみは空乃ちゃんといて楽しくなかったの? 助けてくれるからそばにいただけなの?」

 違う。

「きみと空乃ちゃんの関係は、共依存の一言だけで片付けられてしまうものなのかなぁ?」

 ――違う。

 それだけじゃない。小さい頃からずっと一緒にいて、楽しい時間を共有してきたぼくたちの関係は、それだけのものじゃない。たとえそれが、共依存の産物だったとしても。

 ほらね、と園浦さんは笑った。

「でも、限度はあるよ。本当に好きならこんな関係を続けていちゃいけないし、きみも続けるべきじゃあない。好きなんでしょ? 空乃ちゃんのこと。だったら駄目だよ」

 園浦さんは頭の上でバイバイをするように手を振った。

 浮かんでいた場面がすっと消え失せる。お面を外した人々も、空洞のぼくらも。大切な場面たちも。彼女の助けを受けて生きてきたぼくの日々も。

 暗い闇の中に、ぼくらは二人で取り残される。

「さぁ、そろそろ夢から覚めようか。十分じゃあないけど、あたしも結構満喫したし。……あぁ、よく寝た」

 …………。

 園浦さんが何を言っているのか、よく分からない。

「もしもきみが好きだって言うなら、本当に変わりたいって言うなら、もう、やるべきことは分かるよね」

「どうしたらいいんですか」

「さぁ」

 あっさりと園浦さんは言って、ぼくにそっと近づいてきた。

 園浦さんは微笑みながらしゃがみ込む。ゆっくりと近づいてくる。妖艶で、この世ならぬもののように整った顔が。

「――それは、きみ次第なんじゃないかな? あたしはただただ眠いだけだもの」

 こつん。距離がゼロになった。

 額と額が触れあった瞬間、暗い闇が静かに反転する。深い、深い、ぼくの眠りが、終わりを迎えて消えてゆく。

 いい夢見れた? そうでもない? 遠くから聞こえた。なんて無責任な。

 見るだけ夢を見せておいて、こんなところでほっぽり出すのか。

 でも、それはなんとなく園浦さんらしい気がしたし。

 何をすべきかなんて、自分で一番分かっていた。

「さぁ。おはようの時間だよ」

 ――意識がぐんっと急浮上する。





「大成功だったね、真倉くん。悩みも解決できたし……ふわあぁあ」

 机に腰掛けて、由芽は一つあくびをした。

 依頼人は教室を出て行き、ここにいるのは俺と由芽だけだ。

「そうか、よかったな」

 俺がぶっきらぼうに言うと、由芽は「あれれ?」と机から降りて俺の顔を覗き込もうとする。視線を合わせないように避け続けていると、由芽は納得したとばかりにニヤニヤ笑い始めた。

「もしかして……真倉くん」

「なんだよ」

 ニヤニヤ笑いが気持ち悪い。あと顔が近い、顔が……こいつはいくらなんでも人との距離感を知らなさすぎだ。

「……赤くなってる」

「うるさい」

 目をそらしたまま頭にチョップをすると、えへへー、と何故か上機嫌な様子で由芽は離れていった。……くそ、遊ばれている。

 でもさ、と由芽は浜辺に打ち上げられたクラゲのように机の上へとべっちゃり上半身を投げ出した。

「ポスターに『チャーム』掛けるっていうのは名案だったねぇ。わたし一人じゃ思いつかなかったもの……さすが真倉くん」

「もう少し絵は上手く描いて欲しかったけどな」

 いくらチャームを掛けたからといっても、描かれているのがあの何とも言えない微妙な絵では効果が相殺されかねない。だいたい、何を描いたのかすら未だに俺には判断できていないほどなのだ。

 第一、由芽のチャームは不完全らしく、せいぜい人を少し引き付ける程度の効力しか持たない。

「で、あの依頼人の悩みって、何だったんだ?」

 俺が訊ねると、由芽は潰れた状態から顔だけをこっちに向けて、掻い摘まんだ内容を口にした。聞き終わって、俺はなんとも言えない気持ちになる。

「まぁ、とりあえず……お疲れ様、なのか?」

「うん、疲れたよー。結構スヤスヤすることはできたけど、慣れないことすると頭が疲れてやっぱり眠いよ。ねむねむ……真倉くん、ご褒美ちょーだい」

「ご褒美?」

「うん。もう一回寝ようよ」

「今寝たばかりだろう……」

 まだ寝るのかよ。

 俺が呆れて由芽を見ると、由芽はえへへ、と無邪気に笑って見せた。だって真倉くんの夢って、何でか分からないけど何度でも眠れるんだもの。まだまだ寝たりないの。いいでしょう? 俺は努めて冷静に答えた。

「二人とも寝たら、誰も見張りができないだろ。誰かに見つかったらどうするんだ」

「そのときはそのときだよ。それに、あたし、真倉くんとならそういう噂立てられても嫌じゃないもの」

 い、いちいち素でそういうことを言うな。

 俺の返事を待たずに、由芽は立ち上がって背伸びをした。それから畳の上に座り込む。

 俺は溜息をついて、「早く早く」とばかりに畳をばんばん叩いている由芽を見る。


 ――園浦由芽は、一人だけでは眠ることができない。


 誰かが側にいないと、より正確に言えば、誰かの夢の中に入り込んでいる間だけしか、眠ることができない。

 由芽が常に眠そうにしているのはそのためで、要するに彼女は不眠症なのだ。それも、厄介極まりない、命にすら関わりかねない、超弩級の。

 数ヶ月前に彼女と出会ったとき、夢の中で事情は幾つか聞かせてもらった。――彼女には、俗に言う「夢魔」の血が少し流れていること。それに起因して少しだけ普通の人間では使えない能力が使えること。……その不完全に混じった血のせいで、普通に睡眠をとることすらままならないこと。睡眠の質すら違うであろうこと。

 彼女のその質は、俺のそれと似通っていた。

 眠るのが怖い――と言えば言い過ぎなのだろうか?

 眠ることができないわけではない。だが、悪夢を見て飛び起きてしまうことも多々あれば、悪夢を見ること自体を恐れて眠りにつけないこともあった。ずっと、ずっとだ。そんな俺の、不眠症。

 でも、彼女と寝ているときだけ、その悪夢を見ないですんだ。

 俺を少しだけ救った少女は、少しだけ俺に助けられている。――由芽と俺が眠るためだけの、睡眠研究会。

 全部夢なのかもしれない、と思ったこともあったが、現に今由芽はここにいる。

 互いに互いを利用して、眠ることができる。

 そのためだけに、俺たちは一緒にいる。

「はやくーはやくー」

 ついに言葉に出して催促し始めた。……はぁ、寝ればいいんだろう、寝れば。

 俺が渋々由芽の隣に腰を下ろすと、「えいっ」と由芽は抱きついて押し倒してきた。ごろん、と横に二人で並ぶ格好になる。胸に、背中に、腰に、由芽の柔らかな体温を感じる。吐息の微かな音が聞こえる。由芽の匂いがすぐそばにあって、頭が少しくらくらする。

 胸に頭をうずめた由芽の髪の毛を、撫でたいという衝動に駆られる。顔をそっと持ち上げて、整った顔にある唇に触れたいと鼓動が騒ぐ。位置を少しだけ入れ替えて、華奢な体を上から押さえつけたいと本能が唆す。でも――失いそうになる理性を、俺はなんとか繋ぎ止めた。

 時折聞こえるのは衣擦れの音と、他の部活が奏でる音だけだ。

 明かりのない教室の底で、静かに時が過ぎていく。

「ねぇ、真倉くん」

「ん?」

 由芽がうずめていた顔を上げて、少し寂しそうに微笑む。

「……あたしたちって、とっても『インソムニア』だね」

 インソムニア。不眠症。

 由芽はその言葉をどういう意味で使ったのだろう。本来の意味だろうか、それとも別の意味合いだったのだろうか。

 紅潮した由芽の顔が、人形のように整った由芽の顔が、徐々に近づいてくる。桜色の唇から漏れる吐息が、くすぐるように顔に掛かる。そして、

 ――こつん。

 額と額がそっと触れあい、意識がすっと遠のいていった。

 意識を完全に手放す前に、俺は考える。

 共依存に陥っていたのは、果たして依頼人だけなのだろうか。俺たちの関係もある意味で――共依存なのではないだろうか。

 でも、そんな考えもするりと手から抜け出していった。俺たちは潜っていく。静かで暗い夢の中へ。

 俺たちの関係も、醜悪なのだろうか?

 由芽はこの関係を、どう思っているのだろうか?

 おぼろげに霞む疑問を道連れにしながら、俺たちはゆっくりと眠りに落ちる。

 深くて広い夢の深淵へ――今日も、音もなく落ちていく。

「眠るのが怖い」という個人的な体験を元にして書き上げた小説です。

 続きが読みたい、という奇特な方がいればこの後の展開もあるかもしれませんが、今のところは、これで。ライトなノリのヘビーな作品です、たぶん。

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