表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

詩 彼女がアイドルになりたいって言う

作者: WAIai
掲載日:2026/06/19

「アイドルになりたいな」

「え?」


登校中、彼女が急に言い出したので、俺はびっくりする。


彼女は軽く頬を膨らませると、

「そんなに驚くことないじゃないの」

と文句を言う。


「悪い。だってお前、アイドルって…」


彼女の全身を眺め、確かになれないこともないなと納得する。

今、アイドルブームだから、彼女もなれるかもしれないと、目を輝かせる。


「応援してやるよ」

「ありがとう。実は…」


彼女はカバンを開けると、俺に雑誌を見せてくる。

そこには、「アイドル募集」と書かれており、黄色い付箋が貼ってあった。


「もう応募しちゃったんだ」

「え!? もう!?」

「駄目かな?」


窺うような上目遣いに、俺はくらりとやられる。


畜生、卑怯くさい。

それに、水くさいじゃないか。


俺に事後報告するなんて、と怒った表情を作る。


「俺に何で言わなかったんだよ?」

「だって、恥ずかしいもの。…でも、今更だけど、どう思う?」

「どうって…」


俺は顔を赤くし、早口で言う。


「お前ならなれるよ。頑張れ」

「うん!! 頑張る」


彼女は本当に嬉しいようで、俺の袖を摘んでくる。


「あのね、特技を披露するのはピアノにしようと思って」

「あ、いいかも!! お前、すごいもん」


俺が彼女の手を繋いでやると、握り返してくる。

照れくさそうにしたのだが、はっとする。


「あのさ、水着審査はあるのか?」

「さあ? 分からない。それがどうかした?」

「どうかって、お前…」


俺は彼女の頬を引っ張る。


「何? どうしたの?」

「お前が気にしないならいい」


そう言いつつ、雑誌を速読する。

とりあえず水着審査は書いてないので、良かったと安堵する。


他の人間の前で、彼女の水着姿なんか、見せてたまるか。

それだったら、俺が独占してやる。

それが、彼氏ってものだろう?


「あ、先生が立っている。隠さなきゃ」


彼女がカバンに雑誌をしまう。

とりあえず、アイドルの話は終わりだった。


あー、俺の馬鹿。

応援したいのか、やめさせたいのか、訳が分からなくなってきた。


「また後でな」

「うん。皆には内緒だよ」


唇に人差し指を立てる姿が、可愛い過ぎる。


本当に合格したらどうなるのだろうか。

ドキドキしながら、校門を通って行くのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ