相思相愛
小説を書いて投稿するのが趣味のしがない会社員。
今日も投稿した小説に閲覧数があるかチェックする。
0PV。
今日も、昨日も、ずっと0。
まあ、自分の理想の夫婦なんて妄想全開なタイトルだししょうがない。
それでも自分の好きな作品を書いて、自分の好きなように投稿する。それだけで十分だった。
そんなある日、1件のPVがあった。しかも評価まで入れてくれている。それがすごく嬉しかった。読まれた時間をチェックすると、夜中の1時。そんな時間に読んで評価まで入れてくれたことがすごく嬉しかった。
翌日、また小説の閲覧数に1がついていた。一度読まれるとまた読まれることがあるからだろうか。
時間は2時。
その翌日、また閲覧数に1があった。
時間は3時。
翌日、管理画面をみるとまた閲覧数は0になっていた。そうだよな、たまたまだよ。
そう思って自身のSNSを開くと、見知らぬアカウントから作品紹介のポストに「いいね」がついていた。時間は分からないが深夜のうちだろうか。
まさか4時?
翌日はその見知らぬアカウントからリポストがされていた。
時間は5時。
もしかして、ずっとこの人がやってる?
そして翌朝6時。スマホに設定していた目覚ましの音で体を起こす。通知が1件、作品のコメントが来ているらしい。
時間は6時。
恐る恐るサイトを開く。届いているコメントを開いてみた。
「おはようございます」
それだけだった。
ピンポーン。
玄関チャイムの音が鳴った。体を強張らせながら応答ボタンを押す。
「朝早くからすみません。隣の田中です。うちの犬がそちらの敷地に入ってしまったので少し入らせてもらいますね」
隣に住む田中さんだった。変な思考になっていたせいで何でもないこともビクついてしまっただけだ。
田中さんの応対をしていると、のそのそと妻が起きてきた。
「なんかあったの?」
「いや、特に大事はなかったよ」
「そう…… ストーカーでも来ちゃったかと思ったね?」
『……?』
「さっきのチャイム、ストーカーだったと思わなかった?」
なぜ妻は、私がそう思ったと考えたのか? 目の前で、妻が薄気味悪くニヤけている。
まさか? なんだ、お前だったのか?
それなら話が早い。
メンヘラなお前を妻にしたのは、もっと俺を追い詰めてほしいからだ。
もっと俺だけ見てほしい。
もっと俺を独占してほしい。
もっと、もっと、もっともっともっともっともっともっと……
でも、この思いに気づかれてもいけない。
じゃないと、妻は俺だけを見てくれない。
最高の妻がいてくれて良かった。




