1話
吉田正嗣冴えないサラリーマンの俺は、バスで女性に絡むオッサンを注意し殴り倒され頭を強打し35年の人生に幕を閉じたはずだった
俺は戦国時代の貧しい村の農家の五男坊として転生していた
村は50人ぐらいが住む農村で年貢を納めても何とかやって行ける程度で10歳の俺も朝から晩まで家業の手伝いをして居た
「オイ、正【マサ】町まで行って野菜を売って来てくれ」
マサ、それが俺の名前だ数えて五番目の子だから正の字からマサと名付けられ上に兄が2人、姉が2人居る
「分かったよ、父ちゃん」
「隣の村で野盗が出たらしいから気をつけて行けよ」
この時代では命が軽い野盗や流行り病で人はすぐに命を落とす
「分かったよ、気をつけて行って来る」
子供の足でも町までは昼には着く野菜を売って町の何処かで夜を明かし昼には村に着くいつも通りの簡単な仕事だ
予定通り町から村への帰路についた俺に馬に乗った男が話し掛けて来た
「オイ、坊主ちょっと良いか?」
「は、はい何でしょう?」
野盗の話しを聞いて居た俺は怯えていたが身なりも良く威圧感を感じる男が何処かの御武家様である事に気づいた
「尾張までの道は此処で合っているか?」
「はい、幾つか分岐が有りますがウチの村からは道なりに行って貰えば大丈夫です」
「そうか村まで案内を頼めるか?」
「はい、御武家様!案内致します」
「オイ、御武家様はよせ!そうだなぁ私の事はノブとでも呼べ」
「分かりました。ノブ様ですね?」
尾張、ノブ、元現代人の俺には聞き馴染みのあるワードだったがまさかあの人がこんな所に1人で居るはずが無いと思いそれ以上考え無かった
「坊主、村までは後どれぐらいで着く?」
「昼ぐらいには村に着きますよノブ様」
村の様子や自分の事を話しながらノブ様と村を目指して歩いて居ると村の方から煙が上がっていた
「マサ、あの煙はお前の村からか?」
「はい!でもおかしいです」
その時、隣村に野盗が出た事を思い出し嫌な予感がした
「まさか隣村に出た野盗?」
そう呟くと乗れと手を引かれて馬の背に乗せられた
「急ぐぞ!捕まっていろ!」
「はい!」
急いで村まで行くと燃やされた家々と殺された村の人達、惨憺たる有り様だった
「父ちゃん!母ちゃん!姉ちゃん!兄ちゃん!」
馬から飛び降り叫びながら自分の家に向かう幸い家は焼けていなかったが家の中には家族の遺体が転がっていた
「うあぁぁぁ〜〜〜何でぇ〜〜〜」
と俺の絶叫が周囲に広がって行くのだった




