表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

猫になりたい

作者: 霜月希侑

 私は猫になりたい。自由に、気ままに、誰にも縛られず生きる猫に。


 朝、陽だまりの中で目を覚まし、のんびりと毛づくろいをする。人間の喧騒や、時計の針に急かされることなんて知らない。自分のペースで歩き、狭い隙間にそっと体を滑り込ませ、屋根の上に登って街を見下ろす。そこには、果てしない空と、風の匂いだけがある。


 私は、人間として生きることに、疲れてしまったのだ。期待、責任、他人との比較――そんなものに縛られ、心が重くなる日々。誰かの言葉に傷つき、自分の居場所を見失う。こんな私でも、猫になれば、きっと違うと思う。気まぐれに振る舞っても、誰も咎めない。むしろその自由さが愛される。


 飼い猫のようになりたい。温かい家で、優しい手で撫でられながら、静かに喉を鳴らす。ご飯の時間にはそっと催促し、飼い主の膝の上で丸くなる。あの無垢な瞳でじっと見つめれば、どんな心も溶けてしまうだろう。愛されるために難しい言葉はいらない。ただそこにいるだけで、誰かにとって特別な存在になれる。


 猫なら、愛情を素直に表現できるのに。しっぽを振って、そっと寄り添って、静かに「ありがとう」を伝える。人間の私は、こんな簡単なことがどうしてこんなにも難しいのだろう。


 猫になって、自由に、愛されて、生きていきたい。そんな夢を、今日も静かに抱きしめる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ