濡れ髪の真実
同居生活の夜。
外回りで疲れて帰宅した葵が目にしたのは――
濡れ髪、白シャツ、美人すぎる優の姿。
夢か現実か。
理性はもう、ギリギリ。
そして翌朝。
ついに「正体」が口にされることに……!?
これって……夢だよな。
外回りでヘトヘトになって帰宅した俺。
玄関を開けた瞬間――視界に飛び込んできた光景に、足が止まった。
リビングのソファ。
そこにいたのは、シャワー上がりの優。
白シャツをゆるく羽織り、
濡れた長い髪をタオルで拭いている。
テーブルには可愛い皿とフォーク。
イヤホンから爆音を流しながら、
新作スイーツを幸せそうに頬張っていた。
……美人すぎる。
会社で見る“イケメン同僚”じゃなく、
完全に“女”だった。
「……あっ。おかえり。早かったな」
無防備な笑顔。
その一瞬で、俺の心臓は限界突破。
――耐えられねぇ。
俺は逃げるように風呂場へ飛び込み、
シャワーを頭から浴びた。
「冷静になれ……俺」
湯気の中で何度もつぶやく。
けど、まぶたの裏に焼き付いて離れない。
白シャツ越しにのぞく鎖骨。
濡れた髪。
甘い香り。
「……夢だよな? 頼むから夢であってくれ……」
でも。
心臓のバクバクは、
夢じゃごまかせなかった。
俺の理性は――もう崩れかけていた。
翌朝。
ぼんやりした頭を抱えながらリビングに出ると、
テーブルには優が座っていた。
カップにコーヒーを注ぎ、
いつものクールな顔で口をつけている。
(……嘘みたいだ。昨夜のあの美女モードが、
同じ人間とは思えねぇ)
沈黙に耐えられず、思わず口を開いた。
「……なぁ」
「ん?」
優がちらりと目を上げる。
「おまえ……女なのか?」
一瞬の静寂。
心臓の鼓動が、やけにうるさく響いた。
優はカップを置き、
ゆっくりと俺を見つめる。
そして、口角をほんの少しだけ上げた。
「……バレた?」
優の小悪魔みたいな笑み。
俺の理性は、そこで完全に崩れかけていた。
沈黙を破るように、優がふと口を開く。
「なぁ、葵」
「……ん?」
「社員旅行って……お前、行くの?」
「は? 旅行? いや、そんなのまだ考えてねぇけど……」
優はコーヒーをひと口飲んで、
何気ない調子で続けた。
「俺さー、今年は社員旅行……絶対参加って言われたんだよな」
「へぇ……そうなのか」
俺は軽く返事をした。
けど――頭の中は、旅行どころじゃなかった。
昨夜の光景。
そして、目の前の“女の顔をした優”。
(……俺の理性、ほんとに持つのか……?)
このときの俺は、まだ知らなかった。
社員旅行で巻き起こる“部屋割り事件”で、
優の小悪魔っぷりを思い知らされることになるなんて――。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
ついに優の“正体”が明かされ、
葵の理性は崩壊寸前になりました。
でも、事件はまだ始まりにすぎません。
次回――社員旅行。
部屋割りをめぐって、
優の小悪魔っぷりを思い知らされることに……。
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