第92話
「おはよう、ミレーナちゃん、エミリー」
「おはよう、マリー先生、ティアお姉ちゃん、レオンお兄ちゃん」
「みなさんおはようございます。あのレオンさんとマリーさんはお疲れのように見えるんですけど、またですか?」
「うん、そう」
「まさか空中に浮いたまま、寝続けるとは思いもしなかった。」
「私がいた頃より、悪化してますね。」
「もう少し優しく起こしてくれてもいいじゃない?」
「無理」
「無理だね」
「無理ですね」
「ティアお姉ちゃん」
「なに?ミレーナちゃん」
「自分で起きないとダメだよ」
ティアはトドメを刺されたのだった。
王国騎士一番隊隊長のサイラスがミレーナの元にやってきた。
「ミレーナ様、準備完了しました。いつでも出発出来ます。」
「あたし達もいつでも行けるよ」
「じゃあ、出発!!」
お城から出発した一行
ミレーナ、エミリー、セバスチャン
レオン、ティア、マリー
王国騎士団一番隊30人、メイド10人
合計46人になり、馬車は5台になった。
ミレーナがアングラ坑道へ行くことが噂されていたため、王都では、その出発を見送る人達で賑わっていた。
「ミレーナ様が出発なさるわ」
「アングラ坑道って昔の遺物が出てきたってところだっけ?」
「ミレーナ様は歴史にも興味がおありなのね」
「だけど大丈夫なのか?」
「そうだよな。いくら強いって言われてる王国騎士でもあの人数は」
「ふふふ、私聞いたのよね」
「何を?」
「今回のミレーナ様の護衛に冒険者パーティの『自由の風』がつくんだって」
「あぁなるほど、少数精鋭の最強の布陣ってわけか」
「流石にドラゴンを1人で討伐するやつが3人もいたら、手を出すバカはいないよなぁ」
レオン達はミレーナ、エミリーと同じ馬車に乗っていた。
「凄い人だかりね」
「また変な噂流れないよね?」
「レオンさん、大丈夫ですよ。たぶん」
「エミリー、たぶんって何?たぶんって」
「マリー先生見て、前より早く発動出来るようになったよ。」
花火の魔法を見せるミレーナ
「ミレーナちゃんの習得スピードが想像以上すぎる」
そして、馬車が街道を進み、そろそろ夕方になろうとしていた。
馬車から降り、各々、野営の準備を始める。
付き添いのメイド達が夕食の準備を始めていた。
「今日はここで野営だね。」
そしてマリーは魔法で何かを作り始めた。
「レオンさん、マリーさんは一体何を作っているんだ?」
サイラスがレオンに尋ねる。
「あれ、お風呂とトイレなんですよ。」
「風呂とトイレ?」
「えぇ、女性ですし」
「まぁ気持ちはわからないわけではないが、庶民が暮らす一軒家くらいの大きさがあるんだが」
「いつもは1人用くらいの大きさなんですけど」
「マリー先生凄い!」
「ミレーナちゃんのために、いつも以上に張り切って作ってますね。あれ」
そして、それは出来上がった。
女性陣に大好評だったというのは言うまでもない。
もちろん男性陣にも大好評だった。
そして一行は王都出て、3日後
カーラムの森に到着した。
サイラスは部下に告げる。
「これよりカーラムの森へ入る。周囲の警戒を怠るな。」
「了解しました。」
森の中を進む一行
馬車の中では
「ティア、腕が痛いんだけど」
「守ってくれるって言ったよね?」
「確かに言ったけど、そんなに強く腕にしがみつかれると痛いって」
「ダメ」
「諦めなよ、レオン」
「そもそもマリーが」
そう話していると馬車が止まった。
「何?」
レオン達は警戒する。
外から声がする。
「魔物で現れました。我々が討伐しますので、もう少しお待ちを」
フォレストウルフ10匹程の群れをものの数分で討伐した。
討伐完了の報告がされ、馬車が動き出す。
「流石は王国騎士ね」
「息のあった連携で隙がない」
「マリー先生だったらどうやって倒した?」
「サーチで場所特定して、ライトニングランスで感電死させるかな?」
「マリー、しれっと怖いこというわね。」
「少なくとも地形を変える程のアルカナ流剣術よりマシでしょ?」
「いや、あの時はティアのことがあったから、全力出しちゃっただけで、記憶戻ってからは、手加減してるし」
「あっそうだ。ミレーナちゃん」
「なに?マリー先生」
「もし開拓事業とかあるならレオンに頼んだらいいよ。アルカナ流剣術なら森でも吹っ飛ばせるし」
「マリー、何言ってんの?」
このマリーの発言によって、レオンは道を作るために森を切り拓く作業を手伝わされることになるのだが、この時のレオンはまだ知らない。
森の中を進んでいるとそろそろ夜になろうとしていた。
「ミレーナ様、今日はここで野営になります。」
馬車から全員降りたマリーは探索魔法で周囲を確認する。
「魔物や野盗もなし、森の中だし、結界魔法張っとくね。」
マリーは半径50メートルくらいの結界を張った。
「ウェストラディアまで、後3日くらいで着くわね。」
「ウェストラディアには2日程、休憩と物資の補給で滞在する予定です。」
「ウェストラディアからエミリーの故郷のシルヴァスタ村まで何日かかるの?」
「2日ですね。」
「シルヴァスタ村ってどんなところ?」
「のどかな村ですよ。あと、ワインが有名ですね。」
「ワイン?」
「シルスワインって知りません?」
「あぁ、あの美味しいワイン」
「エミリーの故郷のワインだったのね。」
「ええ、そうなんですよ。」
「じゃあシルヴァスタ村に着いたら飲める?」
「そうですね。みなさんがいなかったら、クリムゾンドラゴンの被害にあってたかもしれませんし、たぶん今頃、ミレーナ様が村に来るからと宴の準備をしてるんじゃないでしょうか?」
「それは期待」
「ティア、マリー飲みすぎないでね?」
「大丈夫。この前レオンに教えてもらった魔法があるから」
「そういう問題じゃないと思うんだけど、それにオレ達、護衛任務中だからね。」
「それはわかってるから」
そして夜が明け、一行は森の中を進み、夕方になる頃には森を抜けた。
カーラムの森を抜け、2日
一行はウェストラディアに到着した。




