第85話
エミリーが庭掃除をしているとレオン達の屋敷の前に馬車が止まった。
「お客様かな?」
そう言って、エミリーは門の前まで歩いて行った。
門まで来ると馬車から1人の女の子が降りてきた。
「こんにちは。マリー先生いますか?」
「こんにちは、マリーさんならお屋敷の中ですよ。」
そう言うと屋敷へと走って行ってしまった。
「ミレーナ様、走ると危ないですよ。」
馬車から男性が降りて来て、そう呟いた。
「ん?ミレーナ様?」
「こんにちは。騒がしくしてしまい申し訳ございません。わたくし、セバスチャンと申します。ミレーナ様がマリー様のお屋敷に行きたいと駄々をこねまして」
「あの、ミレーナ様ってマリーさんの教え子で国王陛下のお孫さんのミレーナ様?」
「はい、そうでございます。今はお忍びで来ていますので、ご内密に」
「はい。それはもちろん」
危なかった。ミレーナ様の話は伺ってたけど、ミレーナ様の顔は知らなかったのよね。
レオンさん達のことがあってから気をつけるようにしていて良かった。
エミリーは2人を客間へと案内した。
「では、少々お待ち下さい。マリーさんをお呼びしてきます。」
そう言いエミリーは2階にいるマリーを呼びに行った。
「ミレーナちゃん、いらっしゃい」
「マリー先生、こんにちは」
「エミリー、お茶の用意お願いね」
「かしこまりました。」
エミリーは部屋を出て行った。
「マリー先生、エミリーさんって?」
「あたし達だけじゃ、このお屋敷の管理が出来なくて、エミリーに住み込みで働いてもらってるの。凄く優秀で家事全般得意で大助かりしてるんだよね。」
「そうなんだ。」
ドアがノックされる。
「マリーさん、お茶をお持ちしました。」
「ありがとう。エミリー」
「どうぞ。ミレーナ様、お熱いかもしれませんので火傷には注意して下さい。」
ミレーナの前にカップを置く。
「マリーさんもどうぞ」
マリーの前にカップを置いた。
エミリーはミレーナの後ろにいるセバスチャンに声をかけた。
「セバスチャンさんもいかがです?」
「エミリーの入れるお茶は格別だよ」
マリーが一言入れた。
「では一杯いただけますかな?」
「はい、どうぞ」
エミリーからカップを受け取り、香りを嗅ぎ、一口飲む。
「なるほど、これは格別ですね。」
マリーはあることを思い出し、エミリーにお願いする。
「エミリー、あたしの部屋からアレ持って来てくれる?」
マリーの言いたいことを察したエミリー
「少々お待ちください。」
そう言い部屋を出て行った。
「マリー先生、アレってなに?」
「もう少ししたらわかるよ。」
そうしてエミリーが大きな袋を両手で抱えながら、戻ってきた。
「マリーさん、お持ちしました。」
マリーはエミリーからそれを受け取り、ミレーナへと渡す。
「これミレーナちゃんにプレゼント、開けてみて」
ミレーナが袋を開けるとそこには
「わぁー、お菓子がたくさん」
「あたしが出した宿題をクリアしたご褒美」
「ありがとう。マリー先生」
「ミレーナ様、甘い物は食べすぎると虫歯になります。注意して下さい。」
セバスチャンがミレーナに注意する。
「そうですよ、ミレーナ様。この前、マリーさんが歯が痛いと言い出して、魔法使って治していましたから。ミレーナ様も虫歯には気をつけて下さいね。」
「ちょっとエミリー、余計なこと言わないでよ」
「マリーさんはミレーナ様の先生なんでしょ?」
痛いところをつかれたマリー
「エミリー、最近ティアに似て来てない?」
「ティアさんにはマリーさんのダメなところを聞いていますので」
「ティアめ、余計なことを」
「ティアさんが帰ってきたらご報告しますね。」
「エミリー、それだけはやめて、またティアに怒られるから」
マリーは焦る
「わかりました。報告はしません。でも、ミレーナ様の前ではしっかりして下さいね。」
「わかったよ。あたしはミレーナちゃんの先生だからね。」
そんなマリーを見て、エミリーは思わず笑みが溢れた。
「エミリーさん」
「なんですか?ミレーナ様」
「エミリーさんのこと、エミリーお姉ちゃんって言ってもいい?」
「はい。お好きに呼んでください。」
「じゃあ、エミリーお姉ちゃんも一緒にお菓子食べよ」
「喜んで」
「ミレーナちゃん、虫歯になってもマリー先生が治してあげるからね。」
「マリーさん、今言ったばかりですよね?そこは虫歯にならないようにでしょうが」
「エミリー、ごめんって」
そうしてエミリーはマリー、ミレーナと楽しい時間を過ごしたのであった。




