第60話
レオンが眠った後
「ねぇティア、レオン大丈夫かな?」
「きっと大丈夫よ。今は混乱してるだけだと思う。」
「ティア、レオンの話をまとめよう。」
「そうね」
・レオンが生まれた島はアーク島のエリン村
・島には五つの村があり、その島の中心にガイア遺跡がある。
・島に生まれた人は小さい頃からアルカナ流剣術を覚えさせられる。
・毎年、交代でガイア遺跡にある聖域を守る人を決める。
・時空魔法の魔術書は存在しているが、何が書いてあるかわからない。
・島にも海にも魔物がいない。
・沖に出ようとすると海が荒れて、それ以上は進めない。
・時空魔法を使う謎の銀髪の女性
「こんな感じ?」
「そうね、ウンディーネの情報を合わせるとアルカナ流剣術は人々が神々に教えられた神技。つまりレオン達はその末裔なんでしょうね。子供の頃から教えられるというのは後世に伝えるためだろうし」
マリーは何か違和感を感じた。
もしそれを見逃したら、大変なことになる気がした。
「ねぇティア、魔物がいないってさ、どういうことなんだろ?」
「えっ?それは聖域に何かがあって島と海を守ってるとか」
「魔物もいないのに、アルカナ流剣術を覚えさせられるわけって?」
「それはせっかく教えてもらった神技を忘れないよう後世に伝えるためじゃない?」
「ねぇ聖域を守るために選ばれる理由って」
「レオンが強いからって言ってたでしょ?」
聖域……守る……アルカナ流剣術……強い者……
聖域にいた謎の女性の詠唱
マリーの中でパズルが解けた気がした。
「ねぇ、あたしの推論なんだけど、聞いてもらっていい?」
「えぇ」
「聖域には何かが封印されてて、それの影響で島にも海にも魔物がいないんじゃないかな?で、レオン達はもし封印が解かれた時、それを倒すためにアルカナ流剣術を覚えさせられてる。」
「マリー考えすぎじゃない?」
「でもさ、いくら後世に伝えるためって、子供の頃から覚えさせる?魔物がいない平和な島で」
「それもそうね」
「ねぇティア、聖域にいた女性は何をしてたと思う?」
「何かを詠唱していたってレオンが………!?マリーの言うことが当たってたとすると」
「おそらく何かの封印を解こうとしてる」
「一体、何を」
「もしかすると、イーヴルかも」
「でも倒したって言ってたわよ」
「でもさ、ウンディーネが言ってたよね。数ヶ月前からイーヴルに似た禍々しい何かを感じるって、それってレオンが飛ばされた後なんじゃないかな?」
「じゃあ封印が解かれた?」
「その可能性はあるかも」
「でも2人だけだと確信までには至らないわね。そもそもアーク島のことがわからなすぎる。」
「ねぇ、ティア?水の大精霊なら、世界中の海とか島がどこにあるのとかもわかるんじゃない?ウンディーネに聞いてみてよ」
「我が名はティア・スカーレット 契約の元、現れよ。ウンディーネ」
ウンディーネが召喚される。
「なんでしょう?ティアさん」
「ウンディーネ、少し聞いて欲しいことがあるの」
レオンの故郷のこと、マリーの推測をウンディーネに話した。
「封印ですか……」
「それでアーク島がどこにあるか調べて欲しいんだけど」
「私達が精霊になって眠ってから、かなりの時間が経ってしまい、世界の地形がかなり変わってるみたいなんですよね。」
「えっ、じゃあわからないの?」
「ちょっと時間はかかりますが調べてみましょう」
ウンディーネは下級精霊を使い、世界中の海を調べ始めた。
「終わりました。そのような魔物がいない海がある島は見つかりませんでした。ただ1つだけ、精霊でも近づけない海域があります。おそらく、そこがレオンさんの故郷ではないかと」
「それってどこ?」
「この大陸の東にある大陸の北北東あたりにある海域です」
「そこって確か、年中、嵐で、海が荒れてて船が近づけないって言われてる『死の海』だよね?」
「そうね。」
「あと1つわかったことがあります。精霊ですら近づけない程の強力な結界がその海域に張られています。」
「結界?」
「それって魔物も入って行けないの?」
「無理ですね。内側から結界が張られていて、外からではその結界に入ることが出来ません。」
「じゃあ、沖に出ようとすると海が荒れて進めないって言ってたのは何かを閉じ込めてるから?それとも聖域に近づけさせたくないだけ?」
「そのレオンが言ってた女性はどうやって、そこに行ったんだろう?」
「おそらく時空魔法のテレポーテーションなら可能ですね。結界でもすり抜けられますので」
「時空魔法テレポーテーションって、ウンディーネ、時空魔法のこと何か知ってるの?」
「えっ?はい知ってますが」
「ちょっと教えて」
「時空魔法とは時の神が人々に教えた神術です。ただ時空魔法には適正がないと全く使えないんですよ。あの大戦時でも使えた人間は極小数でしたね。」
「あたしには使えない?」
「どうでしょうか?私には適正があるのかわかりませんし。」
「そっか」
「ウンディーネ、ありがとう。戻って」
「それではまた」
そうしてウンディーネはティアの指輪へと戻って行った。
「ねぇ、ティア」
「うん?」
「レオンって故郷に帰れないのかな?」
「それは…」
「帰り方ないよね」
「そうね」
「だいたいウンディーネがいなきゃ、アーク島がどこにあるのかすらわからなかったし」
「そうね、まるで………」
急にティアが黙る。
「ティア?」
「ねぇ、マリー」
「うん?」
「私達の夢ってなんだっけ?」
「それは伝説の島へ行くことでしょ?それがどうし……!?」
「気付いた?」
「ちょっと待って、じゃあ、あの絵本は御伽話とかではなくって」
「間違いなく、アーク島のことだと思う。」
「なるほど、楽園って、そう言うことか、今みたいに魔物の対策がされてない昔の人からすれば、魔物がいない島なんて楽園だろうし」
「あの絵本にはこうも書かれてたわ。『光に乗り、空を飛んで島を目指した』って」
「じゃあ、それを探せば、レオンは故郷に帰れる。」
「おそらくね。それに私達の夢も叶う。」
「探そう。ティア」
「えぇ、レオンだって、きっと帰りたいって思ってるわ。」
「じゃあレオンが起きたら伝えよう」




