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おせっかい令嬢はハッピーエンドを目指します!~転生先は現代に似た異世界!?~  作者: 星降る夜
第1章

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52 卒園式


 明日は卒園式。保護者としてお祖父様が出席するみたいだ。


 お父様は海外と日本を行ったり来たりしていて日程が合わなくて、お母様は海外に行ったきり。


 両親からはお誕生日にバースデーカードが海外から送られては来たの。


 お母様は多分私の子育てはもう卒業したと思っている節がある。


 お父様はお祖父様から遠ざけられている節がある。


 あれからお父様は日本に帰って来られない。


 お父様からのバースデーカードには泣き言ばかりだった。


 お父様は身から出たさびだと思う。この間見ちゃったからね、浮気現場。


 子供に見せたことが、殊の外お祖父様を怒らせている。


 私は大体そんな物だと知っていたからどうって事はないんだけど……


 お祖父様がお父様をお仕置き中です。


 卒園式の今日は、季節はずれの暖かさでさくらの花が満開。


 風が吹けばさくら吹雪になった。


 きれい、ゆっくりと幼稚園に向かう車の窓からぼんやりと外を眺めていた。


 前世でもお花見なんてわざわざしたことがなかった。


 高校へ行く途中の公園が有名なお花見スポットだった。


 学校が始まる頃には、いつも散ってしまい、さくら色の絨毯だった。


 それも綺麗だったなぁ……


 まだ時々前世の記憶が鮮明によみがえる時があって、自分でもこんがらがってしまう。


 ”私は誰?”って言う感じになるんだ。そんな時はお布団かぶって寝るに限る。


 今日は千鶴がお誕生日にプレゼントしてくれたさくらの花の髪飾りを付けている。


 千鶴が髪を編み込んでくれた。


 千鶴の気合いが入っているんだ。後ろにおさげにしてその先にさくらの髪飾りを付けた。


 それを高島に見せたら”お嬢様私からのプレゼントも付けて下さい”と悲しそうに言われた。


 高島からは水色のリボンの髪飾りをもらったけれど両方付けるのは変でしょう。


 明日に取ってあるのと言っておいた。面倒くさい奴だ。


 幼稚園の正門には次々と黒塗りの車が着いてビッシとスーツで決めたお父様とお母様が子供達と降りてきた。


 私は久しぶりの着物姿のお祖父様と登園した。


 ネクタイを買ってから、お祖父様はお洋服をお召しになることが多くなった。


 どちらも似合うけどお祖父様の着物姿は袴をはいていて武道家みたいでカッコイイ。


 近寄りがたい雰囲気がするから小さい私は少し気後れしてしまう。


 おずおずとお祖父様を見上げると頭を撫でてくれた。


 周りは皆ご両親と一緒だから1人じゃなくて良かった。


 「愛梨花ちゃ~ん」


 向こうからご両親をおいて虎太郎君が走ってくる。


 飛びつくようにハグをしてきた。すっかり懐かれたしまったんだな。


 「虎太郎君、危ないよ」


 勢いが良くて後ろのお祖父様が支えてくれた。大きな犬に飛びつかれた気分。


 「ごめん、ごめん。愛梨花ちゃん。さくらの花可愛いね」


 私のおさげを手に取ると花の香りを嗅いでいる。


 「造花だから匂わないの」


 おさげを奪い返した。ほんと犬だ!匂い嗅ぐのやめて。頬が膨らむ。


 「一緒に行こう」


 虎太郎君は笑いながら私の手を取ると引っ張っていく。


 お祖父様に手を振ってお教室に向かった。


 お教室には朝の光が窓から差し込んでいた。


 見慣れた光景なんだけど、最後の教室だと思うと何だかジーンと胸に来る物がある。


 中身大人だからかな?


 虎太郎君と翔君、すみれちゃんもそんな事は気にしていない様に見える。いつもと変わらない。


 卒園式なんて子供達にとってはあってないようなもの、またいつもの日常が戻ってくると思っているんだ。


 もう2度と来ないのに、同じメンバーが揃う事なんてもうないのに。


 1人で感傷に浸っているうちに、虎太郎君に手を引かれて講堂へ。


 あれよあれよという間に、練習やリハーサルの時と変わらず卒園式は無事に終了。


 あれっ?


 いつの間にか終わってた?


 修了証書をもらうとお祖父様の所へ走って見せに行った。


 高島がすみれちゃんと虎太郎君と翔君の四人で集合写真を撮ってくれた。


 今日は運転手兼のカメラマンだ。


 朝から凄く張り切っていて、走り回って写真を撮っている。どのお父さんにも負けていない。


 流石、仕事の出来る男だね!クルーズ船も楽しみにしているみたいだ。


 我が家は高島が母親みたいな感じ。


 高島のエプロン姿を想像してみた。笑える!


 懇親会は明日からのクルーズ遠足と一緒なので今日は家族や仲の良いグループでお祝いすることとなっている。


 すみれちゃんと翔君のお家はお姉様達のママとも付き合いがあるみたいでそれぞれ別行動となった。


  どうせ明日からは一緒だからね。しばしのお別れ。


 我が家は虎太郎君のご家族と一緒にご飯を食べに行った。すっかり家族ぐるみのお付き合いになっている。


 最も我が家の両親と兄はいないけどね。


 お兄様との距離は付かず離れずと言ったところかな?


 嫌われていた頃からは大分前進はしたんだけども、いきなり妹が可愛いとはいかないみたいだ。


 そりゃあそうだ。


 どちらかというと龍一郎君が気にかけているから仕方なくと言った所なんだろう。


 しかし我が家はこれでいいのか?


 目の前の西園寺家の仲むつまじいご家族を見ているとそう思う。


 いつもの懐石料理屋さんで虎太郎君とキャッキャッと言いながらデザートのパフェを食べていると


 「本当に将来が楽しみだわ」


 虎太郎君のお母様が嬉しそうにおっしゃる。


 んっ?どう言う意味だ?


 お祖父様をみると面白くもなさそうな顔をしていた。


 「大物になるのではないか、2人とも」


 あっ、そう言うこと。


 お祖父様がつまらなそうに言うから、お祖父様には期待されていないんだな。


 将来なんてわからないけど頑張ります。


 明日は早いので早々に解散となった。


 遠足前の幼稚園児は興奮して中々寝付けないものなのだ。


 私はいま卒園旅行の準備で忙しい。目がさえちゃった。


 虎太郎君と翔君とすみれちゃんでエージェントごっこをする事にしたんだ。


 クルーズ船に敵(仮想の敵)が現れるからそれを私達で守るの!


 まずは携帯電話の電波妨害を想定して高性能なトランシーバーを用意。インカム付き。凄い。


 トランシーバーは次の日に乗船してくる予定の高島の分を含めて4つ。


 特別な周波数を使っているらしい。


 理科系は苦手なので説明されてもよくわからなかった。


 西園寺家からはクルーズ船の地図。


 これは虎太郎君がゲット。


 事前に皆で虎太郎君のお父様から自慢げなレクチャーを受けた。


 翔君はなんと乗員、乗客のリストを持ってきた。個人情報の概念がまだないのかも、この世界。


 英語と漢字で書かれている。読めるのかな君達?私は問題ないです。


 両方とも幼稚園児には難しすぎるから皆いらないって、だよね。


 私がもらっておきます。コピーを取って高島にもあげた。


 ”本格的ですね、昔を思い出します”なんて言ってたよ。


 すみれちゃんはメモ帳を持ってメモ係。


 虎太郎君と翔君は双眼鏡で敵を発見する係。


 私は指示係。


 仮想の敵を作って忍び足の練習までしたんだ。


 息はぴったりいざ出陣!


 

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