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おせっかい令嬢は悪役回避してハッピーエンドを目指します!~転生先は現代に似た財閥異世界!?~  作者: 星降る夜
第1章

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45 遊園地


 「お食事はお済みですかな」


 お祖父様が虎太郎君のお父様に聞いている。


 虎太郎君は期待するようにキラキラした瞳でお父様を見つめていた。


 「いや、しかし……」

 「僕もお腹空いた」


 虎太郎君がすかさず口を挟む。あれ?虎太郎君はまだお夕飯食べてなかったのか。もう大分遅い時間みたいだけど、不思議に思っていると


 「ん?お前は食べただろう」


 虎太郎君のお父様はあきれたように虎太郎君の頭に手を置いた。


 そうだよね。もう食べたよね。


 「もし良ければ御一緒にいかがかな?御心配をおかけしましたからな」


 お祖父様が笑いながら言う。


 「愛梨花ちゃん一緒にご飯食べよう」


 虎太郎君はデザートだけでも食べるつもりなのかな?


 「えっ?うん」


 思わず頷くと、嬉しそうに虎太郎君が私の手を握った。


 「仲が良いな、ご相伴させて頂こうか」


 虎太郎君の頭を撫でる。


 「やったあ!」


 虎太郎君が破顔した。


 虎太郎君の笑顔がすごく嬉しそうで、もしかしたら虎太郎君にもすごく心配かけたのかな?


 さっきは泣きそうだったし。ごめんね。本を読んでいただけなんだけど。


 いつもの懐石料理屋さんで高島も一緒に席についた。今日は掘りごたつ式のテーブルがある個室だ。


 お祖父様と虎太郎君のお父様は一緒にまずはビールからの熱燗だ。


 お祖父様はすっかり安心したみたいで虎太郎君のお父様とお仕事の話まで始めた。


 私達幼稚園児の相手は高島に任せたみたいだ。虎太郎君も高島に懐いているしね。


 「いつまでたってもお嬢様のGPSが幼稚園から移動しないので心配で寺森様に電話したんですよ」

 「GPS?」

 「幼稚園バッグに付いているじゃないですか、防犯ブザーが」


 高島が料理を口に運びながら話す。


 確かに付いていた。幼稚園のエンブレムが付いた銀色のキーホルダーが、あれにGPSが付いていたのか。


 「そこにGPSも付いているの?」


 高島が頷いた。それから寺森に電話して私がまだ帰っていないことを知り、幼稚園バッグがまだ幼稚園にある事を伝えたんだそう。


 それから心配でいてもたってもいられずに休暇を返上して幼稚園に向かったそうだ。


 何でも毎日GPSで私の居場所を確認するのが日課だと恐ろしいことを言ってのけた。


 いるいる、前世でも会社の同僚に息子の行動を、毎日チェックしているママがいた。息子が高校生になってもやっていたからかなり引いた覚えがある。


 高島お前は母親か!ストーカーと紙一重だし。


 休暇中にチェックするなんて……


 仕事は忘れなさい。


 「僕も愛梨花ちゃんのGPS欲しい」


 隣で焼き鳥にかぶりついている虎太郎君が言う。


 「ぶっ!!!」


 思わずお茶をふいた。


 高島、なんて事を、とがめるように高島をみた。


 虎太郎君の将来が不安でしょ!心の中で叫んだ。


 私の視線を受け止めた高島が、慌てたように虎太郎君の頭を撫でた。


 「子供は使えないんですよ」

 「ふ~ん、ならいいや」


 虎太郎君は直ぐに意識を切り替えてデザートに向けた。単細胞な奴め。


 あっと言う間にデザートも完食していた。


 おいおい、夕飯食べてきたんじゃなかったのか、お腹大丈夫か?


 肝心の虎太郎君はケロッとしている。


 「お腹大丈夫?きつくない?」


 虎太郎君はパンパンになったお腹をポンと叩いた。


 「まだ食べれるよ」

 「もうダメだからね。それ以上食べたら」

 「母様みたいだな」


 そう言って虎太郎君が笑った。やっぱり皆心配するんだよ。


 お祖父様は幼稚園の対応に不満があるみたいで明日はお休みして良いって。


 ラッキー!


 せっかくだから休暇中の高島を、遊園地でも連れて行ってあげよう。


 行ってみたかったんだ!


 「お祖父様、明日は高島借りて良い?」

 「高島は休暇だからな。本人が良ければいいが」


 お祖父様は気遣うように高島を見た。


 「大丈夫です。仕事に戻ります」


 高島はお祖父様にお辞儀をする。


 「違うの仕事じゃなくて、遊びに連れて行ってあげたいなと思って」

 「高島ではなく愛梨花が行きたいんじゃな」


 お祖父様の顔がほころんだ。


 「愛梨花ちゃん僕も行く」


 虎太郎君がまた手を握ってきた。


 「虎太郎君は幼稚園でしょう?」

 「父様、違うよね!」


 西園寺様は困ったように笑った。


 「幼稚園は休んでも良いが、高島君が困るんじゃないかな?」

 「高島先生、よろしくお願い致します」


 虎太郎君は90度に腰を曲げてお辞儀した。これにはお祖父様達も皆爆笑だ。


 「わかった、母様には言っておくから我が儘は言ってはダメだよ」

 「愛梨花ちゃん良かったね」


 違うでしょ、良かったのは虎太郎君だけだし。


 でも、まっ良いか。


            ♢      ♢      ♢


 次の日は幼稚園を休んで虎太郎君と高島を連れて遊園地へ行くことになった。


 んっ?連れられて行くのか?


 どちらでもいいんだ、楽しみ!


 大きなテーマパークはダメだよとお祖父様に言われて郊外にあるこぢんまりとした遊園地に連れてきてもらった。


 冬の平日なんて混んでないと思いきや、学生や家族連れも多く賑わっていた。


 身長制限のおかげで私は殆どの乗り物に乗れない。何てこと!


 虎太郎君は面白くなさそう。


 「虎太郎君と高島で乗ってきて良いのに」

 「お嬢様を一人には出来ません」


 硬い表情で高島に言われた。


 「僕も愛梨花ちゃんと一緒がいい」


 虎太郎君とはずっと手をつないでまわっている。幼稚園の先生が移動の時はお友達と手をつなぐように言うからだ。律儀な奴め。


 そんなこんなで、コーヒカップに、メリーゴーランド、お化け屋敷に、ゴーカート。


 ゴーカートでは虎太郎君が張り切って高島と競争してた。


 お化け屋敷では私達二人を抱えて、高島が走り回った。まるで休日のお父さんみたい。


 お昼にはフードコートでクリームソーダを虎太郎君と二人に買ってくれた。高島はブラックコーヒー。


 ご褒美にソフトクリームのてっぺん、1番良いところをスプーンですくって、高島にあげた。


 高島にスプーンを差し出すと、目を丸くして固まった。


 スプーンを近づけると仕方なしにパクッと食べた。


 面白い。ロボットみたいだ。


 虎太郎君と顔を見合わせて笑った。


 それはお手洗いに行ったときだった。


 混んでいたから後ろの方に並んでいた。


 手を洗うところに女の人が立っていて誰か待っているのかなと思ったんだけど、何だか雰囲気がおかしかった。


  ただのカン。


 何だかやたらと目が合う。物色されている感じなんだ。


 奥のトイレから私より小さい子が出てきた。


 手を洗うとハンカチを出そうとしてその女の人がハンカチを差し出した。


 最初は鼻をかんであげているのかと思った。


 突然具合が悪いのかその子が何だかグッタリとした。すると足元のカバンからズボンと上着を出すと着替えさせ始めた。

 

 周りのひとは誰も気に留めていない。


 胸がドキドキして胸騒ぎがした。


 誘拐だ。


 前世で聞いた事がある。大きなテーマパークでは子供の誘拐が多発しているけど社会問題になるから公にしていないって。


 手口はトイレで全身全く違う洋服に着替えさせるそうだ。


 子供を一人でトイレには行かせちゃいけないって、都市伝説だよね、なんて言って友達と話した事があった。


 本当にあるんだ。


 (どうしよう)


 まだ私は列の後ろだ。


 その人が子供にフードをかぶせて抱えた。脇を通るときに、お尻のポケットから携帯電話が覗いていた。


 とっさに手を伸ばした。


 上手く取れた。列から外れるとこっそりと後を追った。


 入り口に高島と虎太郎君が待っていた。




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