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20 犯人は誰だ?


 ここから離れなきゃ。


 とにかく2人の手を取ると引っ張っていく。


 広場を後にするのと入れ違いに物々しい警備の人が入ってきて、広場に規制線を張り出した。広場が終了の為封鎖されると場内アナウンスも流れ始めた。


 2人と手をつなぎ急いでいたのもあるけどドンと人にぶつかってはじき飛ばされた。


 虎太郎君と翔君とつないでいた手が離れて倒れ込んでしまった。


 顔を上げると向こうへ行くグレーのパーカーが目に入った。


 さっきのグレーのパーカー男?道の幅取り過ぎじゃない?


 犯人は現場を見に戻ると言うけど事実だ。


 「大丈夫か?」


 虎太郎君が心配そうに手を引っ張って助け起こそうとしてくれた。


 立ち上がろうとしたところを高島が抱き起こしてくれた。


 「危ない奴がいますね」


 男が去った方を見ながら言う。


 どうする?


 ちょうど虎太郎君と翔君の護衛が戻ってきて合流した。


 龍一郎君が護衛に経緯を説明をしている。


 虎太郎君と翔君はもう大丈夫そうね。


 高島の袖を引っ張った。


 高島が屈み込んで私の顔を覗く。


 「どうしました?」

 「そのまま聞いて、いまぶつかった人、犯人だから」

 「グレーのパーカー男ですか?」


 私は頷いた。


 高島は困ったように頭に手をやる。


 警察は証拠も無いのに犯人を捕まえられない。だけど引っ立てた方が解決が早いはず。


 「雪二郎、虎太郎君と翔君と一緒に先に別荘に戻ってくれ」


 龍一郎君が向こうの護衛にそう言うと私達の横に来た。私の様子を見ていたみたいだ。


 「どうしたのかな?」


 うむを言わせない感じで目を合わせてきた。


 小学生なのにこの威圧感、32歳なのに負けそうだ。


 「お嬢様がクリスマスツリーの下に紙袋を置いた犯人を見つけたと言うのですが……」


 私の代わりに高島が答えた。龍一郎君は私の手を掴む。


 「まさか捕まえる気じゃ無いよね!」


 イヤ無理でしょ!幼稚園生だから。


 私は首を振る。そんなつもりは無い。でも黙っているのもどうかと思う。


 龍一郎君は、携帯電話を取り出すと何処かへ電話をかけた。何か話しているみたいだ。


 「父だから、犯人の特徴を言ってくれる?」


 そう言って携帯電話をこちらに差し出した。


 えっ!お父さん?東郷寺様ってこと?話しにくいなぁ。


 「大丈夫だよ、怒ってないから」


 龍一郎君が笑いながら言う。


 イヤだ私、嫌そうな顔してた?覚悟を決めて電話を受け取った。


 「お電話代わりました。愛梨花です」

 ”愛梨花ちゃん?龍一郎から聞いたよ。知っている事を教えてくれるかな?”


 電話の向こうから優しいバリトンボイスが響いてくる。


 「えっと、トイレで女子高校生から聞いた犯人がまだその辺をうろうろしているので怖くて」

 ”どんな人だか教えてくれるかな?”


 龍一郎君と同じ落ち着いた話し方に安心して、私は小説で知っている事も含めて東郷寺様にお伝えした。


 明日には軽井沢の方に行くから待っていてねと言っていた。


 携帯電話を龍一郎君に返す。おとなしくしてなさいと言う事かな?


 「後は大人に任せようね」


 ニッコリ笑う顔が怖い。


 龍一郎君は小説の中でも正義感の強い真っ直ぐな性格。


 それは変わらない


 小説のようなトラウマがないぶんリーダーシップまでありそうだ。


 これは逆らえないよね。


 後から聞いた話だと誘拐事件も含めて東郷寺様が警察と協力して捜査しているんだって。ここの所色々続いているから。


 高島の視線が痛い。私のせいじゃないよ!


 「今は情報提供しか出来ません。お嬢様行きますよ」


 そう言うと私を抱き上げた。幼稚園児は回収ね。


 ウロチョロさせないつもりだ。仕方ないか……


 速やかに避難します。


 考えて見れば、危なかった。下手したら虎太郎君と翔君が巻き込まれていた。


 ところで虎太郎君と翔君と何しよう?


 隣を歩いている龍一郎君をみる。


 幼稚園児は龍一郎君に任せよう。共犯者だよね?一応……



 いつも読んで頂いてありがとうございます。楽しんで頂けると嬉しいです。

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