皇都生活
皇王との謁見を終え、案内された俺の部屋は比較的立派な客室だった。
以前住んでた部屋より随分豪華だ。
そう言う面では、俺の能力は評価されてるって事だろう。
なんせメイド付き。
大事な事なのでもう一度言います。
メイド付き。
すてき。メイドさん。
年のころは……結構行ってるなってるな。前世の俺のオカンよりも行ってるっぽい。
50は軽く超えてるだろうな。定年……過ぎてそうだなぁ。
70……までは行っていないと思いたい。
まあ、でもメイドさんであることには変わりない。
テキパキ動いてくれる。
何かと俺の事を気遣ってくれている。
時折何言ってるかよくわからんけど。
こっちの言ったことも、時折……たびたび……頻繁に……聞こえて無い様だ。
まあ良い。メイドさんが居るだけで十分だ。
それはさておき、明日から早速学校に行くらしい。
皇都では7歳から入学することになっているみたいだ。
小学校みたいなもんかな。まあ、行ってみればわかるだろう。
とりあえずやることないし今日は寝るか。
と、ベットに途に潜り込もうとすると専属メイドに止められた。
なに?なんか用?
もごもごとしか聞こえないんだが、何やら俺に命令してるようだ。
メイドなのに?
俺ご主人様じゃないの?
どうやら、皇王から毎日金銀財宝を手桶一杯分出すように指示されているらしい。
さっきそんなこと言ってたっけ?
なんだかよくわからんが、メイドは必死の形相で金銀財宝を要求してくる。
なんだか守銭奴老婆って感じで嫌だなぁ……
まあ、確かにただ飯喰らいのごく潰しと思われるのも癪なので、この程度でよければ出してやりますか。
……そう思うと、さっき過小申告しといてよかったな。
手桶に向かって小粒の金塊・銀塊をジャラジャラと生成する。
カっと目を見開き、その場で硬直する守銭奴老婆……あ、失礼。専属メイド。驚いてるの?表情怖いんだけど。
手桶一杯に金銀が溜まると、メイドの婆さんは元の表情に戻る。
やおら動き出すと、その手桶を重そうに部屋から運び出し、外にいる使用人へと手渡した。
どうやらこれで俺の仕事は終わりらしい。
楽なんだか面倒なんだかよくわからん仕事だが、まあ、労働するって素敵よね。
などと、明日の学園生活に想いを馳せながら床に就いた。
……
翌朝。
目を開くと、目の前に守銭奴老婆の顔がある。
ホラーかよ。
起床早々、心臓止まって永眠するところだったよ。
どうやら寝坊したらしい。
って起こしてよ。
え?起こしてたって?しらんがな。
なんだかなぁ。まあいいや。
で、急いで支度しないと学校に間に合わないらしい。
なんだよ。初日からトースト加えてダッシュで登校しないといけないの?
訳も分からないまま起こされ、服を脱がされ、身支度させられ……
と、されるがままにしていると。あら不思議。結構良い所の坊ちゃんみたいになってるじゃない。
この人中々できるメイドなんじゃなかろうか。
卓越した技能者って奴?
守銭奴老婆って言ってごめんなさい。
食事も豪華ってわけではないが、それなりのものが用意されていた。ちょっと硬いパンにゆで卵。よくわからんスープ。
味も悪くない。
のんびり食ってると、やはりせかして来るメイド。
せっかち老婆なのかな。
食事を終えてると追い立てられるように学校へと向かう。
案内役としてこれまた使用人風の爺さんが俺の前を意気揚々と歩いている。
何だかこっぱずかしいなぁ。
エッチらほっちらと歩いていると目の前に大きな建物が見える。
雰囲気的に学校なんだろうなぁ。周囲は高い塀で囲われており、道に面した正面には大きな門が開いた状態で、その先に校舎らしきものが見えている。
石造りの校舎は立派と言うより古びた印象だ。歴史を感じる?とも違う、メンテナンスが行き届いていないと言うのが正しいのかもしれない。
使用人の爺さんに連れられて後者の中へと入って行く。
中は意外にきれいだな。
外見とは違い、メンテもされている様だ。石造りの廊下を進むと職員室らしき部屋があり、爺さんがそこに入るように促す。
中には数人の教師らしき男たちが立っていた。
どいつもこいつも厳つい感じだ。
そのうちの一人が俺の手を乱暴に引っ張り、また廊下へと連れ出された。
なんだか随分乱暴に引っ張るなぁ。待遇悪くない?
廊下を奥へと進むと、大きな講堂らしきところに入って行く。
そこには100人ほどの子供たちが席に座っていた。
先生らしき男と俺は、その子供たちの前、教団のようなところに歩み出る。
あ、転入生の紹介的な奴?
なんだか俺の事紹介してるっぽい。
辺境伯の息子がどうの……と言ってた。
流石にこの大人数の前に立たされると、教職についていたとはいえ久々だから少し緊張する。
横から小突かれた。
挨拶しろって事ね。
こんにちは。よろしく。
ってな、簡単な挨拶をすると、前の方のあいてる席に座らされた。
そこからは歴史やら、文字やら、計算やら……と、授業がいきなり始まった。
あれよあれよという間に昼休み。
なんだか子供たちみんなが俺の周りによって来た。
転校生ってこうなるよね。懐かしい記憶が蘇る。
すると、ちょっと年上っぽい少年が俺の肩を叩きながら、何やら周囲に向かって得意げに話している。
なになに?
こいつ、皇王の孫なの?
え?息子?
歳離れすぎじゃない?
それに王子って事だよね。
こんなとこで勉強すんの?町の子供達と一緒に?
なんだか随分フランクな国だなぁ……
などと考えていると、
こいつスゲーんだぜ。金銀財宝出せるんだぜ的な事を自慢げに話している。
いやいや。お前じゃねぇし。まあ、知り合いを自慢したい気持ちはわかるけどさぁ。邪魔くさいなぁ。
と、思ってたら、その王子っぽい奴に小突かれた。
なに?
再度小突かれる。
痛いなぁ。ちょっと強いよ。小突き方。
え?なに?ああ、出せって事?
金銀財宝。
なんだよ。めんどくせぇな。
とはいえ。王子ともなれば逆らうわけにもいかんだろう。
昨日のノルマよりは少なめに、ちょろちょろっと金塊、銀塊を出してみた。
どよめく教室。
なに?やだ。気持ちいい。
すごい気分いいんですけど。
女の子なんか。羨望の眼差しで、なんか出してって言ってくる。
出しちゃうよ。俺。いろんなものを。
いや。セクハラじゃないですよ。
アクセサリーもちょろっと出してみた。
今度は黄色い歓声。
あら。ちょっと楽しいかも。
パパン・ママン。俺。やっていけるかもしれない。




