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篭絡

 皇王のお手紙の翌日。お迎えの一団がやってきた。

 結構豪華な馬車と御者達。

 なかなかの待遇ではなかろうか。


 パパンママンはあいも変わらず心配顔だが、俺は満面の笑みで出発する。

 より一層立派な男になって帰って来るからね!

 待ってて!パパママン。


 希望に胸を膨らませながら皇都へと向かう。



 が、


 暇である。


 結構かかるのね。まあ最大速度で馬車を走らされると乗り心地悪そうだから、こんなもんなんだろうけど。

 のんびりした歩みとはいうものの、昼夜を問わず馬車は走り続け3日かかってようやく皇都に到着した。


 ん?


 って事は、手紙がいくら早馬とは言え、断る選択肢は与えられてなかったって事?

 なるほど、皇王の権力恐るべしって事ですな。



 さて、到着した皇都は、それなりの町だった。

 大都会!って程ではないし、皇都……と名乗るのもおこがましい感じではあるが、都会と言えば都会。

 町の中央を貫く大通り?というか、中通り……小通りくらいかな。その通りは一応石畳が敷かれている。

 が、ガタガタだ。

 俺が敷きなおしましょうか?

 くらいの出来である。

 まあ、この世界の技術力ではこのくらいが限界なんだろうな。

 

 人口もそこそこいるようで、前世の日本で言うところの……人口4万人くらいの地方都市。市か町か、ギリギリのラインかな。


 でもまあ、この世界では大都会なんだろうな。なんせ「皇都」と名乗るくらいだし。

 俺なら恥ずかしくて名乗れないけど。


 いや。考えようによっちゃぁ丁度良い。

 俺が無双できるんじゃない!?

 キタコレ。夢のハーレムエンド有るかもしれませんよ。


 と、心躍らせながら、ガタガタと揺れる馬車で町の中央を突っ切って行く。


 眼前にはそれなりの屋敷。

 城……と言うにはずいぶん小さいが、

 パパママンの屋敷に比べれば、10倍はデカい。


 むしろ、ウチの家を屋敷と呼ぶことが間違えていたんだろうか。


 まあ、でも、なんやかんやで20部屋くらいあったしなぁ。



 さて。


 それはさておき、皇王とやらに会ってみましょうか。


 馬車を降りると、そこには使用人らしきおねぇちゃんたちが俺を迎えてくれた。

 キレイなお姉ちゃんたちをはべらせているところを見ると、この皇王とやらは中々センスが良いらしい。


 やっぱり来たかな。ハーレムエンド。


 使用人たちに案内されて屋敷の奥へと入って行く。

 ちょっと成金趣味が鼻につくが、なかなか立派な屋敷だ。


 案内された部屋でしばし待たされる。

 ほほう。流石皇王とやらはじらすもんだ。


 などと考えていると、ぞろぞろといかついおっさん達が入ってきた。

 

 貴族……と言うにはゴロツキ感が否めないな。


 野盗からの成り上がり……って感じかな。


 その中でも、一際強そうなオーラを出している男が居た。


 たぶんこいつだろうな。皇王



 って思ってたら、そいつは中央の椅子を避けて、横に跪く。

 ありゃ。違うの?


 そして、ずいぶん着飾ったおっさんがにやけた顔で中央の椅子にどっかと座った。


 なんだよ。成金風のおっさんじゃねぇか。とは思ったが、流石に皇王を名乗る奴を前に無礼な態度を取るわけにもいかず、

 俺は椅子から立ち上がり周囲の者たちと同様に跪いた。


 皇王らしき人物は

「苦しゅうない」とばかりに手をひらひらさせて、俺にもう一度席に座るよう促す。

 そして、横に跪いている召使風の男に何やら耳打ちする。


 召使風の男は大きく頷くと、俺の方に歩み寄って来ていろいろ尋ねてきた。


「能力は?」

「どんなものが作れる?」

「どのくらい作れる?」

「作り続けることは可能か?」


 など、前回使節団に話したようなことをもう一遍聞いてきた。


 健忘症か?


 それとも、部下の報告漏れ?

 なんだよ。無能集団か?

 と思いつつも、あまり手の内を見せるのもどうかと思い、ちょっと過小評価されるように伝えてみた。

 ほら。こういうのって、過小評価されて、馬鹿にされた後で、実力を見せて無双するのが楽しいじゃん?


 すると、俺の話を聞いた召使風の男が、再度皇王の元へと駆け寄り皇王へ耳打ちする。


 それを聞いた皇王は、

 ふん、

 と、鼻を鳴らしたかと思うと、少しニヤけた表情で俺を見る。

 お、明らかにバカにしてるよね。良い感じじゃね?


 あれ?良い感じなんだっけ。

 俺の能力を高く売りつけないといけないんだっけ?

 どっち?

 なんだかよくわかんなくなってきた。

 教えて、パパン!ママン!!


 すると、再度の耳打ちと伝令。

 いや。めんどくせえ。直接話せや!!



 召使風の男が俺に向かって金銀財宝を出してみろと居丈高に命令する。

 なんだよ。鬱陶しいな。でもまあ、出さないとまずいだろうからなぁ。

 と言う訳で、言われた通り、金・銀とアクセサリー系を少々出現させた。


 すると、皆一堂に驚きの声を上げる。

 あら、やだ。気持ちいい。この感じ。癖になるね。


 その後も、指示されたものを作り出すと周囲からは驚きと畏敬の声が上がる。

 あ~。すてき。承認欲求が満たされるこの感じ堪らんね。



 と、しばし快感を味わっていると、皇王も納得したのか満足げな表情で部屋から出て行った。



 なんだよ。俺の能力確認したかっただけかよ。


 その後、召使風のおっさんが、俺のこれからについて説明してくれた。


 まあ、やっぱり居丈高だったけどさ。


 なんでも、


 皇王の許可が出たから、この屋敷に住まわせてやる。

 学校にも行かせてやる。

 だからせいぜい役に立て。


 とのこと。



 なんだよ。もっとチヤホヤしろよ。やっぱり初手で間違えたかなぁ。もっと売り込むべきだったろうか。



 まあいいや。

 とりあえずは、衣食住について保証してくれるようだ。まずは良しとしよう。

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