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2.あいのーゆーるりめんばー

「いやいやお前実は魔法練習してただろ、なんで全部使えるんだよ天才か?天才なのかこの野郎」

「ずるーいしばく」

「痛い痛い痛い!ホントに初めてだからぁやめて痛い!」


まさか特に練習とかしたわけじゃないのに、本に載ってる全属性の初級魔法を全て使えてしまうなんて誰がわかるんだよ、当の本人も驚いとるわ。

僕天才かもしれん。


「中級の魔法も試してみるか、ということでジャスパー手頃な中級魔法を朗読してくれ給え」

「字が読めない癖に偉そうだな、まぁいいや手頃なのね、えーとえーとこれなんてどう?風の精霊たちよ、刃を纏いた嵐と化し、我に仇なす彼の者を刻み吹き荒べ、リトルサイクロン」

「...やっぱり初級が使えない僕じゃ無理か、ほらミクリーの番」


なるほど、火魔法や土魔法のように証拠が残りやすい魔法ではなく風魔法を選ぶ辺りジャスパーは優秀なようだ。

ならばその気遣いに応えようじゃないか、勝手に本を持ち出してる時点で一番見つかりたくないのは彼なのだろうが。


「じゃあいくぜ、風の精霊たちよ、刃を纏いた嵐と化し、我に仇なす彼の者を刻み吹き荒べ、リトルサイクロン!」


しーん


何も起こらない。

せめて弱弱しくても発動してくれないと詠唱が痛痛しくて恥ずかしいんだけど風の精霊さぁん!


「まぁ子供で初めてで中級なんて無理だよね、伝説の勇者様じゃあるまいし」

「風とかつまんないしさっきの火のやつで虫焼いてあそぼーよー」

「虫さん泣いちゃうからやめよ」


この後何種類か中級魔法を試してみたがどれもうんともすんともどっこらしょ、全く発動しなかった。

そこから僕たちの魔法練習会が始まった。

畑仕事の手伝いがあって毎日とはいかなかったが、3日に一回は集まるようにしてジャスパーに文字教えてもらったりジャスパーに魔法のこと教えてもらったりジャスパーに料理を教えてもらったり、ジャスパーに...ごめんジャスパーオーバーワークじゃんね。


そんなこんなをして3年、奇跡が起きた。

2人が先に中級魔法を覚えた。


なんでやねん!

しかも2人とも闇と光以外は大体初級使えるし。

僕のアイデンティティは何なんだ!あ、それと中級はまだ1つも使えませんミクリーですよろしくお願いします。


「できたー!燃えろー!」

「秘密基地を燃やすなぁあああ!」

「母なる水よ、我が命に応え給え!ウォーターボ「アクアタイド!」」


僕のウォーターボールが炸裂する前にユーリならどうせ燃やすだろう、と先読みをしていたジャスパーの魔法が一瞬で鎮火させた。


「だから何でもかんでも燃やさないでって言ったじゃないか!」

「いいじゃーん、燃えるものが大きいほど楽しいんだからー」

「これだからリリーは...」

「なんか文句あんのか?燃やすぞ」

「ナイデス」


本物の才持つ者が努力するとあーら不思議と追いつけないぜ。

あぁぁぁぁ!何故だぁぁぁ!

心の中で叫んでいたその時だった。


「これはいったい何の騒ぎだ!?」

「お父さん!?」

「こんにちわー」


消火した時の水蒸気散らすの忘れてた!

空中に上がった水蒸気によりジャスパーパパが特殊召喚されてしまったじゃないか。


「単なる火遊び...ではないな、ん?おい!その本!まさかお前たち魔法を?」

「ええっとえとえと...」

「そうだよー、私がブルートフレイム使ったの」

「ブルートフレイムって中級魔法だぞ...」


まずいまずいこれは滅茶苦茶怒られる...

最悪外出禁止令が出されて魔法の練習も出来なくなってしまう。

頭の中で言い訳を何とか作ろうとするが流石にどれもここまで証拠がそろってしまっていては無理がある。

正直に言うしかないと諦めかけたが、どうやらジャスパパの様子がおかしい。

何やらうれしいような困ったような顔をしていおり、ひとまず怒ってはなさそうだ。


「...お前たち中級魔法が使えるのか」

「僕とリリーは使える」

「僕は初級だけです」

「うーむ、3人とも魔法使えるのか、うーむ、取り敢えずリリーちゃんとミクリーちゃんの親に相談しないとな」

「それだけはご勘弁をぉぉ」

「駄目だな」


あぁー外出禁止令だされるぅ、畑仕事に駆り出されるぅ、働きたくないよぉ。

しかし僕は完全に忘れていた、ウチの親がどんな人なのか。


「本当に!?ウチのミクリーちゃんが魔法を使えるの!あなたー!やっぱりウチの子は天才よ!」

「どうぞフリンジさんウチの子を鍛えてやって下さい!!!この通りですお願いします!!!」

「わ、わかりました、ですが宜しいのですね」

「宜しいですお願いします!!!」


その日の夜はご馳走三昧であった。

えぇ...普通そこは怒られて魔法とは関わらないでとか言われるんじゃないの...?

ねぇいいの...?

えぇ...


次の日からジャスパパことフリンジさんによる魔法教室が始まった。

勿論2人も一緒だがジャスパーはともかくユーリは大丈夫だったのだろうか、ユーリの親は頑固なイメージがあるが。


「ユーリ、よくお父さんが許可出してくれたね」

「強くなってお父さんを倒せるぐらいになるって言ったら行かせてくれた」

「oh」


頑固じゃなくてただの戦闘狂だったかぁ。

ガチャと扉が開かれ水の入ったコップを片手に部屋の中へフリンジさんが入ってきた、全員に配り終えると立ったまま語りかけてくる。


「じゃあまずは魔法についてどこまで知ってるんだ」

「はいはいはい、火が最強」

「いや水でしょ」

「はーぁこれだからジャスパーは」


横で喧嘩が始まってしまったので真面目に答えよう。


「魔力を使いなんかこうすごい力を発現させるもので初級から神級までありいくつかの属性に分けられます」

「正解、残念なことに何故そのようなものが発現するかは未だわからない、一説では精霊や神の力を借りているとかあるけど精霊が見える人間がいるわけじゃないしこれだといえる説はない」


やっぱり謎パワーなのか。


「でも個人的な考えだと単純な力では対抗できない者に対抗するため大昔の人間が魔力を使って何かできないかと考え作ったのではないかと思っている」

「へぇ」

「だから火は水で消せるから水の方が強いの」

「じゃあ一瞬で蒸発させりゃいいの」

「そんなの無理でしょ」

「ジャスパーのへっぽこ魔法なら簡単だけど?」

「上等だ!」

「話を聞けぇ!!!!」


こうして僕たちはフリンジさんの下で魔法の修行をし、15になった春、魔法学校へ入学することになった。


2人だけ。


ふーーーざーーーけーーるーーーーなーーーー!




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