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1-7 灰の絨毯2

「がぁぁぁぁ!!」


グチリと音を立て私の腕を飲み込むシャッターラット。

モブちゃんの横に倒れこむ。


「嫌ぁぁぁ!」


モブちゃんに僕の血がぽたぽたと落ちたため状況を察したのかモブちゃんも悲鳴を上げる。

焼けるように熱い痛みが肘下へとはしっていく。

嚙み千切られたのは肘から上、血が止まらない。


『ギュイイ!』


倒れこんだ私たちにシャッターラットは噛みつこうとする瞬間


「どりゃああああ!」


ボブがシャッターラットに体当たりをかまし横倒しにする。

そのまま腹部に何度も剣を突き刺しシャッターラットを葬り去った。


「ミクリーさん腕が!」

「ぅぅぅ....う?」


焼けるような痛みが続くかと覚悟していたがだんだんと慣れるように痛みが引いていく、十秒程度たったころには痛みが完全に消え血も止まっていた。

これは一体?

痛みも引き冷静な頭はボブとモブちゃんに指示を出す。


「私のことはいいから今まで通り討伐を続けて」

「でもミクリーさんが」

「よくわからないけど大丈夫、血も止まったし痛みもないの。ちょっと試したいことがあるからそれが終わったら手伝いに入るから行って」

「わかった」

「ミクリーさんも気を付けてね」


言い終わると集団からはぐれたシャッターラットを狙いに歩いて行った。

さてと。

頭の中に浮かんだこのアイデア、普通は何も起こらないはずだけど何故だか急に浮かんだそれが今の私にはそれができる気がした。

ボブが何度も刺し屍となったシャッターラットに近づいていく、そして傷穴に損傷した腕を突っ込む。

直後グチャリグチャリと音を立て何かが形成されていく。

息をのみゆっくりと引き抜いていくとそこには紛れもない私の手があった。

握り、開き、握り、開く。

違和感はない。

千切られる直前の私の手だ。

理屈などわかったものではないが私はシャッターラットの屍、もとい肉塊から腕を形成した。

ならば次はと屍の口元に近づいていき私の腕を千切った大きな歯に触る。

すると今度は歯の周辺と歯が混ざり合うようにして一本の剣が形成された。

どういうわけか今の私は死肉を自分の思うように混ぜ変形させることが出来る。


言ってしまえば一撃で倒されなければ残機無限であるようなものだ。

私は出来上がった歯の剣で腕を浅く切りつける、痛み少しで一瞬で消えていく。

痛みに対する耐性まであるらしい。


これならサポートしかできなかった私でも。

やることは決まった。

ネズミの屍はこの場にいくらでもある。

剣術の心得なし、魔法はイマイチ、覚悟、あり。


思い立ったが吉日私は剣を持ってボブ達のところへ走り出す。


「ミクリーさん!?怪我は!?」

「大したことじゃなかった!うりゃああああああ」


ボブと交戦中のシャッターラットに走った勢いのまま剣を突き立てる。


『ギュチチィ!』


刺されたネズミが声を上げるが絶命には至らない。

しかしそれは想定の範疇。

刺した傍からすぐに離れ誰かが倒したネズミの屍からまた剣を作り出し、走り、またネズミに突き刺す。

今度は急所に当たったのか倒れる。


「ミクリーさんナイス、しかし剣なんて持ってたっけ」


幾度となく返り血を浴び赤黒くなったボブが疑問を問いかけてくる。


「魔法だよ魔法」

「そんな魔法もあるんだね、僕の剣も切れ味が落ちてきたんだけどもらっていいかな」

「どうぞどうぞー」

「ありがとう」

無論そんな魔法は知らない、いや知ってはいるんだけど私には扱えないといった方が正しい。

自分の言葉に心の中で訂正を加えていると屍の腹に突き立てられた二本の剣をボブは引き抜くと上段と下段に構えた。


「怪我も大丈夫なようなら続けようか、モブもいける?」

「だ、大丈夫」


それからは簡単な作業であった。

群れは他の冒険者が抑えていてくれたので群れから離れた個体を痺れさせ二人で突き刺す、その繰り返し。

やがて絨毯とも比喩されていた群体は徐々に数を減らしていきやがて数えられる数になり、そして最後の一匹が倒された。


ふぅ、やっと終わったと息を吐く私はすっかり返り血で真っ赤になってしまっていた。

帰ったらお風呂だな...今度は人に見られないような場所で。


「おーい終わったぜ姉ちゃん」


誰かがそういうと脳内に言葉が直接再生される、声は受付のお姉さんそっくりというかそのものだ。


「ありがとうございました、では帰還の転移門を開きます。討伐の証拠品として右耳をお持ち帰りになるのをお忘れなく」


証拠品?

確かに証拠品がないと討伐の証になりえないが困ったことに倒した後はそんなする前に休憩してしまっていた。

どうしよう。


「困った顔のそこの貴女に朗報あり、耳はきっちり集めておいたよ」

「さっすがボブ!」

「それじゃ帰ろうか、僕たちの街へ!」



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