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1-6 灰の絨毯1

連日薬草採取をし帰るべき宿を得るべく日銭を稼いでいた僕には唐突な出来事であった。


「緊急クエスト?」

「はい、先日バーナーキッドパーティの遺品が回収されたわ、それに大地を埋め尽くすほどの数のシャッターラットもね」

「遺品...」


冒険者という仕事には死が付き物というのは理解していたつもりだがどうにも頭が追い付かない、ついこの前まで生きていた人が話していた人が死ぬという感覚は受け入れがたい。

立ち眩みに襲われかけるが何とか膝をつくのだけは避ける。


「そ、それで緊急クエストというのは?」

「カサナガラ平原に大量発生したシャッターラットの掃討よ、Dランクより上のランクの冒険者は全員参加するわ」


良かったDランクより上の人だけか。

安堵する僕を横にボブが一言放つ。


「1体につきいくら出るんです?」

「成体一体につき銀貨1枚、幼体は銅貨3枚」

「なるほど、大盤振る舞いだね」


ままま待てまさか。


「僕たちも参加するよ、こんなチャンスそうそうないし」

「ボブゥゥやめようよぉ」

「じゃあミクリーさん抜きで僕たちは行くよ」

「待って僕も行くから置いてかないで!」

「明日の朝ギルドに集合ね」


仕方なく参戦することとなったがよくよく考えてみると一体につき銀貨1枚はかなりおいしい。

いつもの薬草集め2回分が一瞬で手に入ると考えれば悪くない。

その夜宿で僕はどうにかシャッターラットに通じる魔法はないかと考えた。


火は効果が薄いし水と雷のコンボか、まだ使っていない氷を試すか...

考え込むときりがない、気晴らしに窓を開けると夜風が髪を揺らす。

月明かりに照らされた自分の髪を見る、こんなに赤い部分が多かったっけ?

自分で言うのもなんだが変な髪色をしていると思う、赤に青、金に黒、統一感の無い髪色だ。

だが以前黒だった所も赤みが増していると思う。

気の所為かな?

気の所為だと思えば気の所為な気がする。

例え増えていても体への影響が出てるわけじゃないし別にいいか。

変なこと考えてないで寝ることにした。


翌朝。


「おはようございまーす」

「おはようミクリーさん」

「おはようございます」


ギルド内には既に準備万端といった風貌の冒険者たちが集結していた。

大剣を携えるもの、杖を装備したいかにも魔術師といったもの。

まてよ杖?

あああ私も杖があったらなぁ少しは火力が上がったのに。

宿に泊まるだけでギリギリな私にはまだまだ購入は遠い。

ええい今回のクエストで儲かったら買おう。


「みなさんお集りの様でうれしく思います、それではカサナガラ平原に向かいますがよろしいですね」

「うぉぉおお!!!」


集まった皆が各々猛り文句をあげる。


「それでは転移門を開きます」


転移門なんてあったんだと思った次の瞬間、受付のお姉さんが呪文を唱える。

光に包まれ目を開けた時には風を感じる平原が広がっていた。

一面緑の綺麗な平原...とはいかず一端が灰色に濁っていた。

シャッターラットの群れだ。


「おら始めんぞぉ!」

「うぉおおおお!」

「ゾク!」

「あいよ」


ゾクと呼ばれた人がこちらの集団の先頭に立ち何やら呪文を唱える。

直後大爆破とともに灰色が空に吹き飛ばされる。


「行くぞぉぉ!」

「おう」

「急がないと僕たちの分がなくなるよ、行こう」


ボブの掛け声とともにシャッターラットの群れに向かう。

先についた先輩冒険者たちが次々とシャッターラットを倒していく。


「ミクリー危ない!」


右からシャッターラットが襲ってくる。

しかしこれは想定の範囲内だ。


「ウォータボール!サンダーショット!」


水の球に飛びつくシャッターラットすかさず雷撃を与え動きを止める。


「ボブ!」

「前回と同じだね!」


慣れた手つきで目に剣を刺し内側をグリングリンと抉るボブ。

さらに短剣でモブちゃんが腹を思い切り突く。

たまらず倒れるシャッターラット。


「これでまず1匹!次行くよ!」

「うん」


私は向かってくるシャッターラットを同じように感電させていった。

動きが鈍ったところをボブとモブちゃんがとどめを刺す。


「はぁはぁ、これで銀貨6枚!危険はあれど儲けものだね」

「これで杖も買えるかも」


油断していたのが悪かった。

気づいた時にはモブちゃんへ飛び掛かるシャッターラット。

危ない!


モブちゃんを押し倒し庇う。


バキバキ。


「あぁぁぁぁあああああああああ」


シャッターラット。

大きな3枚の歯で口に入るものは何でも嚙み千切り、食べる。


私の腕も。







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