1-3 ギルドって統一されてるのね
石畳にカツカツと音を立て石造りの街並みを後のものにしつつあると一際大きな建物に辿りついた。
日の落ちかけている状態じゃ読みにくいが、掲げられている看板には統一ギルド協会と書かれている。
「着いたよ、ここがギルドさ」
「立派な建物だね」
大きな木の門をくぐるとごろつきの様な見た目の者がこちらを威圧的に睨んでくる...なんてことはなく時間帯もあるのか中の人間はまばらで、その殆どが小奇麗な服を着た職員かと思われる人たちであった。
赤い絨毯で彩られた道を歩きカウンターまで行くと受付のお姉さんが話しかけてくる。
ギルド制服らしき緑のスーツに身を包んだ麗人というに足る立ち振る舞いだ。
「あら、おかえりなさいボブ。そちらの方は?」
「ただいま、こちらはミクリーさん。モブを助けてくれた命の恩人だよ」
「それはそれはどうもありがとうね」
「いえいえ、大したことはしてませんよ」
それはそれとしてとモブは何やら紐で縛られた草束をカウンターの上に置く。
「ヒバリ草の納品依頼はこれで足りるかな」
「十分な量よ、バッグに隠している分は自分たちで使うのかしら?」
「テヘ、ばれちゃったか。隠すようなことでもないんだけど最近懐がカツカツでさ、ポーションを買うより作った方が安く済むからね」
「まぁ依頼分は納品してもらってるしギルドとしては問題ないわ」
ランプで照らされているボブの装備をよく見ると使い古された跡があり、逆にモブちゃんの装備は傷らしき傷が無い、どうやらモブちゃんの装備に優先的に金銭を注いだ結果なのだろう。
自分を犠牲にしてでも妹思いな人柄は信用に値する。
「そちらのミクリーさんはギルドに何か御用かしら」
「えっと私は...」
機密文書を読みたいので見せて下さい!なんて言っても見せてもらえるわけないしここは段階的に冒険者になってAランクを目指すしかないか。
「冒険者登録をしたくて」
「残念、今日は受付は終わってるわ」
「そんなぁ」
「見たところ泊まる宿もなさそうね」
「はい...」
「仕方ないわね、ギルドの2階を使うといいわ、本当は冒険者登録をしないと使ってはいけないのだけど」
「ありがとうございます!」
「試験に受かることを願っているわ」
「えっ試験?」
「実戦式の試験になるわ、落ちたら明日から寝泊まりする場所がなくなるから頑張ってね」
Ooh、落ちたら金なし職なし宿なしになってしまうのか。
いや待てよ、正に今の僕じゃないか。
「僕たちは宿に戻るからまたねー」
「今日はありがとうございました、それでは!」
そう言うとボブとモブちゃんは自分たちの帰るべき宿に去っていった。
残された私はというと二回の雑魚寝部屋に案内された。
「今日は珍しくあなたしか使う人がいないけれど、普段はここで数人宿に泊まるほど金銭に余裕がないほかの冒険者も一緒に寝ることになるわ、水浴びでもしたかったらギルドの裏の馬小屋を使うといいわ」
「ありがとうございます」
言い終わると職員のお姉さんは一階に戻っていった。
ふふふ、馬小屋か。
僕はギルドの裏手側にあるという馬小屋に行った。
やることは1つ!
風呂だ!
まずは「クリエイトソイル!」
地面を枠状に隆起させ
からの「クリエイトウォーター!」
隆起させた地面に水をため
そして「ファイアアロー!」
水を温め湯にする。
ふふふ、簡易式湯船の完成だぜ。
指をちょいとつけ湯加減をはかる。
「完璧」
服を脱ぎそれじゃいっちょ。
ざぼーーん。
あーいい湯加減だ
明日は試験らしいしどうしようか。
戦略を煉ろう。
まずはフラッシュからのファイアアローのコンボは外せないな。
もし避けられたときは必殺技を出すとするか。
ふぅー。
いい湯だ。
明日に備えてあがったらさっさと寝るとしよ...
Zzz...
.....
「さむっ」
冷え切った水が私に最悪の目覚めを提供する。
日は既に昇っており水に浸かっていない上半身を冷たい風がいじめてくる。
ふぃー寒い寒い。
「あのーすみませんが試験の時間になりましたよ、早く準備なさるか辞退するかお選びくださいな」
そこに現れたのは昨日の受付のお姉さん。
これが男の人だったら乙女の柔肌をさらすことになってたぜ。
「ちょちょちょちょっと待ってくださいね、すぐ体乾かすんで!ファイアボール!からのブリーズ!」
空中に浮いた火の玉から私に向かうように風を発生させる。
暖炉からの熱気に近い暑さだが焦っている私には暑さを感じるより早く乾かすことの方が重大であった。
急いで体を乾かし終わると受付のお姉さんについていきギルドの地下空間についた。
途中1階を通るとき周囲の人間からの目線が冷たかった気がしたが気のせいだろう、気のせいに違いないうんうん。
「ここが修練場兼試験会場になります、今回は模擬戦闘の試験を行っていただきます。試験官は私が務めさせていただきます」
「よ、よろしくお願いします」
「木剣の貸し出しもありますがいかがなさいますか?」
「大丈夫です」
「わかりました、私に木剣で叩かれたら試験終了です。それでは始めます、スタート」
開始の合図とともに閃光の呪文を唱える。
「フラッシュ!」からの「ファイアアロー!」
これで並大抵の人間なら躱すことはできま...
くるん。
ファイアアローを身の捻りで完全に躱しきったお姉さんはこちらに向かって突進してくる。
そんな馬鹿な!?フラッシュを放った瞬間目をとじて避けたの!?
となれば奥の手だ
「ウォーターボール!」
お姉さんの進行上に水の玉を設置する。
そんなものは躱されてしまうに決まっている。
お姉さんが身を翻そうとした瞬間。
「ファイアアロー!」
火の矢を3つ連続で水の玉に向かって放つ。
直後水の玉は爆発する。
喰らえ水蒸気爆発じゃい!
背から爆発を受けたお姉さんはこちらに吹っ飛んでくる。
よし、やったな。
吹っ飛んできたお姉さんは空中で姿勢を取り直しむしろ勢いづいた状態のまま一瞬で私の首元に剣を突き付ける。
唖然としている私はそれを躱すことなどできず勝敗が決まる。
「ぐぇ」
「試験は終了となります」
「中々面白い魔法の使い方ですね、ですが一歩及ばなかったようで」
「ぐぬぬぅ」
「しかしながらその発想力は良しとしましょう、あなたの結果は」
「結果は...?」
「合格です、ただしEランクです、これから精進するように」
やっ...
やったぁああああああ。




