運命というやつ
キリがいいので短いです
パーティも終わり、私たちは来賓が帰るのを見送っていた。
「じゃ、いつかまたお茶しよーね! 約束だよん!」
「ではまた〜。従姉妹同士仲良くしましょうね〜」
「おう。俺とも今度話せや」
「またな! オレも遊びにいくからな! 花音もオレんち遊びに来ていーぞ!」
西谷たちも帰っていった。
「もうお友達が出来たのですか?」
「お前……私をなんだと。子どもだと思ってねえか」
「思ってませんよ。ただ、珍しいですね。西谷さんと南国さんは自分のテリトリーに厳しいので初めて会う人には厳しくするのに……。私はまだろくに話せてもいないのですが……」
「それお前の性格の悪さが顔に出て」
そう言いかけると耳を引っ張ってくる月能。
「いててて、悪かったって」
「ま、性格悪いのは自覚してますけどね」
自覚してんなら耳引っ張んなくてもいいじゃねえか。
「花音。楽しめたか?」
「茂治、さん。はい。まぁ、楽しかったっす」
「それなら何よりだ。改めて、君に謝ろう。出会った時のことも」
と、頭を下げる。
「出会った時……?」
「君と出会ったのは、月能と引き剥がそうとしていただろう」
「あー」
思い出した。
けれど……。もう気にしてないというか、気持ちは理解できるからこそ恨んではいない。
「まぁ、引き剥がそうとしたのは良い判断とは思うんですけどね。私を調べることもなかったから……」
「…………」
「私という存在が阿久津家にとって核爆弾みたいなものだったっすよね。私が月能と付き合ってなかったら、清治さんの不倫は闇に葬り去られた。運が良いのか悪いのか……」
「いや、運なんかではないさ」
運なんかではないと言い切る茂治さん。
「きっと月能と花音は出会う運命というものだよ。出会いがどうだったかは知らないが、そういうものだろう」
「……なんかロマンチックなこといいますね」
「ああ。私はロマンチストだからね。妻を口説いたときもロマンチストでいたよ」
「親のそう言う話聞きたくないのでやめてください」
月能がばっさり会話を途切れさせた。
月能との出会いか……。ろくな出会いではなかったのは確かだな。
「花音との出会いですか。まぁ、良い出会いではなかったですね」
「アレはお前が悪いだろ」
「そうですね」
月能は肯定しながらも笑っていた。笑い話となっているのならいいんだが。
アレが運命だとすると、神様はいるのかもしれないな。
私は月能との出会いを思い出してみる。
たしか高校一年、入学した時に初めて会ったんだよな。桜舞い散る4月……。懐かしき高校一年のとき。
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