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立ち止まる私と

 私は恐る恐るワグマのところに帰った。

 ワグマはなにやらお菓子をほおばって食べている。お帰りと優しく告げてくる彼女に、私はそのことを言えずじまいだった。


「デイズ? どうしたんですか?」

「加入。いいだろ?」

「はぁ。デイズは見知った顔ですし構いませんけど……。なぜそういう経緯に?」

「うっ」


 それを聞くか。

 私は、しょうがないので素直にさっきのことを話した。デイズを助けるためとはいえたくさんキルしてしまったことを告げる。

 すると。


「ゼーレ? あなた、まだ反省してないんですか?」

「してるっての! あれは悪かったよ。私だってこういう生き方しか知らねえんだよ! 今更平和的解決なんてできるか! それに、逆切れして襲い掛かってくる連中だぞ! 平和的に解決なんて無理なんだよ!」


 そういうと、ワグマが怒って殴ろうとしていた手を止める。


「そうですか……。なるほど。あなたのそれが一番の問題ですか」

「……問題?」

「あなたはそういう解決法しか知らない、むしろそういう解決法しか出せなかった……。幼少期からその解決法でしか解決できない環境だった……。本当にあなた見かけによらず闇が深いですよね」

「うるせえ! いいんだよ。それで解決できるんなら」

「だめですよ。人のためとはいえ、あなたが汚名を被ることはないんですから。まぁ、キルしてしまったものは仕方ないでしょう。今すぐ本土に帰って、見つからないうちに教会にいって奉仕作業でもしましょうか」


 そういうと、お菓子を食べていた手を止め、立ち上がる。

 別に汚名を被ってもいいんだけどな。どうせ私は結局のところ一人だし。


「まぁまぁ。ゼーレ。私もワグマにどーいするよ。ゼーレが汚名を背負うことはない。むしろやめて。自分からそういうことするのは。私たちはいつだってゼーレの味方だからさ。私たちまで悲しくなっちゃう」

「……知るかよ。勝手に同情してるだけだろ」

「勝手に同情してるからこそやめてほしいんだよ。ね? ゼーレ。ほかの人が傷つくよりかっていうけど、私たちは傷ついていいの?」

「……よくねえけど」

「でしょ?」


 そういってニヒヒと笑う。

 

「……オイリに諭される日が来るとは思わなかった」

「ちょっと、どういうこと!! 私だってやるときゃやるもん!」

「ありがとよ」

「ちょ、そんな純粋にまっすぐ感謝をぶつけないで! 照れちゃう」


 と、照れたしぐさをするオイリ。


「なにしてるんですか。行きますよ」

「わかった! ほら、みんなもいこ?」


 オイリがワグマに続く。

 ほかのクランのメンバーも後に続いていったのだった。いつの間にか集合してる……。っていうか集合令かけてたのかよ。

 私以外の歩く速さはとても速い。


 私はその様子を立ち止まって見ていた。ワグマは、多分気づいて声をかけてくれる。オイリも。

 立ち止まってしまった私を引き上げてくれるのはいつもその二人だ。


「ほら、ゼーレ。ぼーっとしてないで行きますよ」

「ゼーレ! ほらほらはやくー! っていうか、早く帰らないといけないのゼーレのせいだよ!」

「……帰りたくねえなぁ」


 私がそうこぼすと、二人が近づいてきた。


「なんで帰りたくないの? お菓子が気に入った?」

「出会ったら戦わなくちゃいけねえだろ。めんどくせえ……」

「……嫌なことは逃げ出すタイプなんだねぇ。ワグマに報告するのも戸惑っていたほどだから相当か」

「……変わりました?」

「戦いをめんどくせえっていうなんて……。明日雨降るんじゃないの……?」

「うるせえてめえら。さっさと行くぞボケ」


 そこまで珍しいかよ。






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変態、ゲームに立つ!
新作です。VRMMOものです。
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