だからこうなった
私は二人と一緒にお菓子を食べることにした。
コーラの川が流れている。飲んでみると、しゅわしゅわで甘くておいしいコーラだった。そして、対岸を見ると魔物がコーラを飲みに来ている。
「ほんっと不思議な島だな……。お菓子の島……。あの魔女たちが本当に作ったのか?」
「さぁ。魔法に関してはオカルト分野だからね。科学的には説明できないが……。科学的に言うのならばこの島は自然物としても考えづらいということだね」
「そうだな……。明らかに人の手が加わったものもある」
チョコなんかまさしくそうだ。
チョコはカカオを砕いてとかいろんな工程があるしな。それに、クッキーの花もビスケットの木もどことなくおかしい。
この島は一体だれが作って、何のために作ったんだろうか?
「キャンディが作ったんじゃねえの?」
「いや……。それだと究極のお菓子づくりに私たちを巻き込むはずがない」
「そうだね。自分が作ったのなら、探させることもしなければ戦わせることもしないはずさ。となると、キャンディは後から移住してきたと考えられ、作った本人ではない」
「じゃあ誰が?」
「運営が悪ふざけで……って言いたいけど、設定は割かし考える運営だからね。なにかしら設定があるはずさ」
誰が作ったのかとかそういうのはあるな。
私たちが話していると、どこからか声が聞こえてくる。大多数の声だった。その声を聴いた瞬間、アルテミスが少し険しい顔をしている。
「なんだ?」
「この声はきっとサンライトの奴らだろうね」
「お前がもともと所属していたあそこか」
その予想は当たり、コーラの川めがけてきたのか、サンライトのメンバーたちが続々と来たのだった。
あちらもアルテミスを見つけ、げっという顔をしている。
「やぁ、アルテミス。元気にしてるかな」
「元気にしてるとも。君らとは違って戦闘職じゃなくても入れるクランを見つけたからね」
「あ、ししょー!」
「やっぱお前も来るよね……」
もちろんサンライトのメンバーでもあるデイズはいるだろうな。
「ししょー、この島不思議ですね! 全部が全部お菓子ですよ!」
「うん、そうだね」
「もうこれでもかってくらい食べ過ぎちゃいました!」
元気よく報告してくるデイズ。私の心境はそれどころじゃねえっていうのに。
私たちがのんきに会話している横で、アルテミスとサンライトのメンバーは険悪な中になっていた。まぁ、当然だわな。
「ま、しょうがない。こんな奴らがいるところでゆっくりと食べれやしないだろう。ゼーレ、場所を移そうか」
「待てよ」
「喧嘩吹っ掛けんなよアルテミス」
「失礼。喧嘩するほどの相手でもないね」
そういうと、なにかプッツンと切れたのか剣を構えるアルテミスの人たち。
「ゼーレ。頼んだよ」
「お前な……。ま、いいけどよ」
「お前はあの時の……」
「今度は本気でかかって来いよ。今私もちょっと鬱憤とかものすごくたまってんだ。やれよ」
そういうと、少しおじけづいたように腰が引けている。
当たり前だ。このメンバーはクラン:死神を一人で蹂躙する姿を見ているのだから。敵うわけがないと理解している。
私が拳を構えると、一人、また一人と剣をしまう。
「アルテミスは今うちのメンバーだ。アルテミスをキルしたら、私が報復に行くと思っておけばいい。私はPKだって厭わないからな」
「……肝に銘じておく。敵に回すのはなるべく避けたいからね。うちとしても」
「サンライト。お前もちゃんとまとめろよ。ちゃんとまとめないし自分の意見を突きとおさねえからこんなことになったんだぞ」
「うん。理解してる……」
「ほんと、馬鹿真面目に考えすぎだから私もこうなっているわけだ。まぁ、私は君個人は恨んでいないから安心したまえ。少数派より多数派をとるのは至極真っ当さ」
「……悪かった」
と、頭を下げるサンライトだった。
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