討伐完了
魚の男は大きく吹き飛んでいったのだった。
私は地面をけり追撃。常世之闇を発動してみる。すると、魚男の周りに黒い靄がかかり、魚男は周りが見えなくなっているようで、ぶんぶんと適当に金棒を振り回している。
「なんだこれは! 見えねえ! 暗え! 照らしても照らしても見えねぇ!」
「なるほど。明かりも意味がないと」
闇は光を飲み込むようだ。
だがしかし、発動者である私はばっちり姿が見える。
「じゃ、黄泉平坂」
私が唱えると、突然目の前にゾンビが複数体出現したのだった。
ゾンビは闇に包まれる魚男に襲い掛かっていく。噛みついたり、取れた腕でぶん殴ったりとフルリンチ。
金棒で何体かはぶちのめしてこそいるが、だがしかしダメージは受けている。
「よし、んじゃ、そのまま捕まえてろよゾンビども!」
私は竜変化。
MPがちょうどなくなった。手を竜変化させ、鬼神スキルを使用。鬼神スキルはMP消費がないというのがありがたいスキルだ。
竜の手で、私は魚男を思い切りぶん殴ったのだった。鬼神スキルで力も上乗せされている分、耐えきるのは並大抵の敵じゃ無理だろう。
それに、ダメージを追っていたこともあり。
「ギャギャギャ……。つ、つええ……」
金棒を地面に落とし、倒れて消えていく魚男。
私は改めて青い結晶を回収するのだった。アイテム名はきちんとお菓子の塩結晶という名前であり、これで私のほうの頼みはクリアしたことになる。
強いといってもこの程度か。別に大した強さじゃなかったな。
私は洞窟から出ると、キャンディが砂浜で寝そべっていたのだった。
「おい魔女キャンディ。とってきたぞ」
「ずいぶん早いのぅ!?」
「別に大した強さじゃなかった。これだろ」
私は塩結晶をたくさん地面に置いた。
「これじゃこれじゃ。ふむ、予定よりちょっと早いのぅ。まあええわい。ゼーレ。この砂浜の砂、食べてみぃ」
「砂ぁ?」
私は砂浜の砂をすくってみる。
さらさらとしているが、なにかちょっととげとげしている気がする。私は少量、口に入れてみる。甘い。というか、これって。
「金平糖?」
「そうじゃ! 金平糖海岸という海岸なんじゃ。お菓子の島じゃからの。ここもお菓子じゃ」
「へぇ」
まぁ、ありえなくもない。
チョコレートエリアのところ、道がホワイトチョコだったりしたし、砂浜が金平糖というのも十分あり得ることだろう。
「それにしてもお前強いんじゃな。わしは命からがらあの魚男から逃げたというんに」
「……まぁ、それなりには強い」
「謙遜するのぅ。そうじゃ。討伐してきてくれたんなら褒美をやらんとな。それっ」
と、魔法をかけてきたのだった。
《スキル:ワルプルギスの夜 を取得しました》
スキル?
「その与えたスキルはお菓子をたくさん生み出せる。無論魔力は使うがの。お菓子を食べると体力が回復したりする。ほかのもんにも効果はあるからのぅ」
「あー」
回復魔法みたいなものか。ただ、魔法とは違い、お菓子を食べるという工程があるが。
「それじゃ、お菓子の家に戻るかのぅ!」
と、私の体が再び浮き始めたのだった。