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いじめられっ子へのアドバイス

 私は現在、一人をキルしてしまったことにより、教会で奉仕作業をするようにとワグマに言われた。奉仕作業をするとカルマ値が少し減らせるらしい。

 一人しかキルしていないのでカルマ値は少ないが、失くしておくことに越したことはないのだとか。


「ちっ……。なんで私がこんな草むしりしなきゃいけねんだよ……」


 私はぶちっ、と草を毟っていく。

 地味で、なんの面白みもない作業。もうちょい面白い作業を割り振ってくれ。


 私は草を毟っていると、どこからか視線を感じる。視線を感じたほうに目を向けると、男性が立っていたのだった。

 男性は草を毟っている私をじっと見ている。


「んだよ。何見てんだテメェ」

「あ、いや、申し訳ない」

「誰だか知らねえけど、そんなに人を不躾に見るもんじゃねえぞ」


 見られているほうは不快に感じるときもあるからな。

 私はそう言いながらも草を毟っていく。


「あまりにも綺麗で……」

「綺麗だぁ? 私がか?」

「は、はい……」

「ありがとよ」


 綺麗だなんて久しぶりに言われた気がする。


「あ、あの、手伝います」


 と、男が入ってきて、草を毟っていく。

 手伝うって……よくまぁ知らない奴を手伝う気になれるよな。


「あ、あの、よろしければ名前を教えてください」

「あー、ゼーレだ」

「あ、ありがとうございます! 僕はゴンタっていいます」

「ゴンタね」


 ゴンタは草を毟っていく。

 なんつーか、見た目とか言葉遣いとかものすごくなよなよしている奴だ。頼りないっつーかなんつーか。

 私はただただひたすら草を毟る。


「…………あの」

「んだよ」

「その、僕にイラついたりとかしてない、ですか?」

「別にしてねえけど」

「よ、よかったです」

「そんなことなぜ聞く」

「あ、いや……僕、こんななよなよしてるじゃないですか……。その、そのせいで見てるだけでイラつくとか、話すだけでイラつくとか言われてよくいじめられるんです……」


 いじめねぇ。

 本人は笑って話しているが、よく見ると目が笑っていない。いじめに耐えかねているっていうところか。

 だがしかし、こいつの学校も知らねえし、どうすることもできねえわな。いじめられるほうが悪いとは絶対言わねえし、どんな理由があろうともいじめるほうが悪いとしか言わねえ。けれど。


「笑い話に出来ねえなら笑い話みたいに話すんじゃねえよ。自分をみじめだとは思わねえのか」


 そういうところだぞといいたい。


「いじめられてんなら無理して学校行かなくてもいいだろ。今は通信制の高校とかあるしよ。笑い話にするのなら笑えるぐらい克服してから話せや」

「そ、そうです、ね」

「私もあまり説教じみたことしたくねえけど、自分の現状を変えられんのはお前だけだ。自分が動かねえ限り事態は変わんねえ」


 私は最後の草を毟り終わる。


「ゲームでは私も話し相手にはなってやれるから。学校行くんならいけ。いかないんならやめて通信制に通え。それだけしかアドバイスはできん」

「あ、ありがとうございます!」

「お礼を言われるほどじゃねえ。さて、私は行くぞ。報告もしなくちゃいけねえしな」

「あ、わ、わかりました」


 私はフレンド申請だけをしておき、報告に向かう。

 こんななよなよした男。さて、いじめられているのは本当かどうかは疑わしい面もあるが……それはまぁ、ネットには日常茶飯事のことでもあるから気にしてはいられない。


「……現実でのこと、思い出したくもねえな」


 ゲームの中くらいはせめて現実にいたくない。










誤字報告で現在が原罪って報告がきて思わずふふっと笑い声が出てしまった……。

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変態、ゲームに立つ!
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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