死神狩り
コーヒーを飲み干して、私は立ち上がった。
「そろそろ私は行く。王都に戻るぞ」
「あ、ああ。ありがとう」
「別に。感謝されるほどのことはしてない」
立ち上がり、アルテミスの部屋から出たときだった。
サンライトのメンバーが何やら再び武装の構えをとっている。なにがあったんだとデイズに聞くと、クランのメンバーの一人がPKにやられたらしい。
結構身勝手でぼろくそ悪口いわれたようで、復帰できないかもと相談を持ち掛けられたとか。それに怒って、全員で叩き潰そうとしているらしい。
「ふぅン……」
喧嘩のにおい。
私はデイズの頭に手を乗せる。
「喧嘩なら私も混ぜろよ」
「いいんです!?」
「構わねえ。喧嘩だろ?」
「は、はい……」
「決まりな。んじゃ、早速行こうぜ」
私はこいつらとともにそのPKが集まるクランに向かったのだった。
PKクラン、死神の目という名前らしく、PKをして楽しんでいるものが多数所属しているクランで、毎日どこかでPKをしては自慢しているらしい。
悪事を自慢するくらいじゃまだまだの悪党だな。
「死神~~!」
と、サンライトのメンバーの一人が、ドアを開け、そう叫んだ。
その瞬間、矢が飛んでくる。その矢はサンライトのメンバーの一人の首にあたり、倒れたのだった。中には弓矢を構えた男があひゃひゃと笑っている。
私は中に乗り込み、その男の首をつかみ、地面にたたきつけた。
「今のは開戦の合図として受け取ってやるぜ」
「な、なんだお前!」
「竜変化、鬼神」
私はスキルを使用。
竜の手で男を切り裂き、ぶん殴り飛ばす。私を倒そうと躍起になっている彼らだが、私に攻撃を加えられていない。
「な、なんだよてめえは! バケモンかよ!」
「ごちゃごちゃうるせえ。戦えお前は」
「ひいいいいいい!?」
私が攻撃しようとすると、男は逃げ出した。
だがしかし、油断していたデイズの頭をつかみ、剣を突き付ける。
「近づくんじゃねえ! それ以上近づいたら……」
「させるわけねえべ! デイズちゃんを傷つけんなあ!」
と、サンライトのメンバーが、皆でフルボッコにしていた。
残党は任せた。戦意喪失したとしても、このクランはお前らにとって因縁があるんだろ? ならば私がつぶしてやる。
手ごたえはないけどな。
「に、逃げ場がねえ! なんなんだよてめえらは!」
「あなたたちがキルした人のクランです」
「てめえらのクランはこんなバケモンを……! 近づくんじゃねえ! やめろ!」
「泣き言うるせえぞ」
「ひい!? お、鬼……。死神……。やめろ……。その顔で殺さないでくれ……」
「デイズちゃん。本当にあいつと同じ学校なの? 俺もちょっと怖えよ」
「さっきぼろぼろにやられたしね……」
「だって……めちゃくちゃ強い不良だもん」
私は男を竜の手で胸を貫いた。
クラン:死神は私ん手によって壊滅。大多数のプレイヤーをキルしてしまったな。これはワグマに怒られる。
「ふぅ。これでいいだろ」
「ありがとうございますです!」
「構わねえよ。私はもう王都に戻るからな」
「はい! また遊びに来てくださいねー!」
頼まれたら行ってやるよ。