デイズの所属するクラン
デイズからのクラン勧誘。もちろん答えはノーだ。
「悪い、私はもうすでにクランに入ってる」
「そ、そうですか……。つ、月能さんたちとのクランですか?」
「そうだ。悪いな。あっこから移動するつもりはねえ」
私が断ると、しゅんとなりながらもそうですかと受け入れた。
「な、なら私たちのクランだけ見ていってください! 拠点はこの町にあるんで!」
というので、まぁ、見てやるだけならいいだろうと思いついていく。
拠点は冒険者ギルドから少し離れた路地裏に合ったのだった。ただいまーと告げてきたのは結構大人数のクラン。
結構大人数のクランはまとめるのが大変だが、結構まとまっている。
「あっれー? デイズ、その人はだれだい?」
「サブリーダー、そいつは?」
「私の師匠!」
「師匠じゃねえよ」
こいつはまったく。
そう思っていると、周りから少し睨まれているのに気づく。
「俺たちのサブリーダーの……」
「殺す!」
と、一人が剣を持って突撃してきた。私はその男を地面に思い切りたたきつける。
「……やるか。いいよ。かかってこいよ」
「ひっ!?」
「喧嘩ならいつでも受け入れてやんぜ……。ほら、かかってこい」
私がそういうと、周りの奴ら全員固まっていた。
すると、奥のほうから一人の男と白衣を着た女が出てきたのだった。
「何の騒ぎだ?」
「あ、リーダー! こいつ、デイズの師匠だって……」
「師匠? あー、てめえ強くなりてえとかいってたな。それで師匠探してたのか」
「俺たちのデイズが! 独占されようと……」
「お前らのじゃねえだろ。ってか、どえれえもん連れてきたなデイズ」
「ふん。私でも彼女は知っているよ。有名人だからねェ」
と、二人は私を知っているようだ。
「戦神ゼーレ。またの名を、蒼眼の死神」
「……戦神?」
「蒼眼の死神といやぁ、現実世界で有名な腕っぷしナンバーワンの不良じゃないか。よくそんなやつを連れてきたもんだ。感心するよデイズ君には」
「おちょくってんのか?」
っていうか戦神ってなんだよ。
「こ、こいつがですか?」
「ああ。信じがたいなら全員でかかってみろ。絶対負けるぞ」
「……なら全員でかかろうぜ!」
と、喧嘩を吹っ掛けてきた。
私は一人一人蹴散らしていく。キルはしないが、全員戦意喪失くらいまでは痛めつけてやった。すると、みな信じたようで、私に向かってくる奴がいなくなったのだった。
「お前ら二人は来ないのか?」
「負ける戦いはしない主義だ」
「私は別に戦いに興味はないよ。観測者の立場でいることのほうが賢明さ」
「ふぅん」
「悪かったな。これでこいつらも実力差は理解しただろ。で、デイズの指導をしたのか?」
「リアルで頼まれたんだよ」
「私とね、同じ学校でね! めっちゃ頼んだらいやいや受けてくれた!」
「しつけえんだよお前……」
あんなしつこいと受けざるを得ないだろ。
「ふむ、執拗に頼むと受けてくれるのだな。蒼眼の死神……。不良とは聞くが、悪人ではなさそうだ」
「お前ずいぶんと上から目線だな……」
「気に障ってしまったかい?」
「いや、気にしてねえよ」
ったく。一癖も二癖もあるやつらばっかかここは。