デイズ
私はデイズがいるという隣の領の領都、ズルデン侯爵領領都にやってきた。
デイズはどこにいるのかは知らねえけど……。まじでめんどくせえから探さないでいいよな。と思いながらも探していると。
見知ったチビが噴水の前に座っていた。
「あー! 待ってましたよ花音さーん!」
「リアルネームで呼ぶな。ゼーレだゼーレ」
「ゼーレさん! どーもー!」
元気よく手を振る彼女。
髪型はみつあみで、チャイナ服みたいな装備をしている。お前カンフーでもやるつもりか?
「改めて、よろしくお願いします! 師匠!」
「師匠じゃねえよ……。師匠って呼ぶな。で、強くなりたいんだろ」
「はい!」
「じゃ、ひとまず実力を知りてえから……私と喧嘩しろや」
「い、いいんですかっ!?」
「ああ。ハンデとして私は何もスキル使わねえから」
ということで、まずはデイズの実力を測ることにした。
このゲームにはPvP機能があり、決闘という感じのがある。キルしてもカルマ値がたまらず、死んだらすぐに蘇生される。ただ、決闘機能は街のどこかにあるコロシアムという場所でしかできないが。
私たちはコロシアムに移動し、決闘をデイズに申し込み、デイズはそれを受け入れたのだった。
「んじゃ、どこからでもどーぞ」
「遠慮なくいきます!」
と、デイズは素早く距離を詰めてきた。
あまりの素早さに私は少し驚きを隠せてないが、すぐに防御姿勢をとる。スキル使ったか。多分今の一瞬の縮地法はスキルによるものだろう。
デイズは拳を刺すように一撃繰り出した。私は拳をつかみ、そのままぶん投げる。
「うわぁ!」
「ふーん……」
「まだまだ!」
また、縮地。
一瞬にして間合いを詰められる。今度も防御しようと思ったが、少し動きが変だ。防御することを読まれている。
またつかみに行ったら攻撃をまともに受けるか……。ならば。
私は回し蹴り。
靴の先がデイズの頭に当たり、デイズは吹っ飛んでいく。
「戦闘センスはなかなかあるじゃねえかよ」
「攻撃ができない……。でも諦めないぃ!」
また、間合いを詰めてくる。
しょうがねえ。
私はすぐに胸ぐらをつかむ。そして、地面にたたきつけた。さすがに体力もなかったのか、キル。デイズはそのまま死し、そして蘇生されたのだった。
私はデイズに手を差し伸べる。
「大丈夫かよ」
「手も足も出なかったぁ……」
「当たり前だ。一朝一夕で私に敵うようになってたまるか」
「うぅ……。でも一発も与えられないんじゃ弟子失格じゃないですかぁ!」
「そうでもねえよ」
デイズはなかなかに戦闘センスがある。強みはその素早さだろうな。
「戦闘センスだけはいっちょ前にあるよお前。自分の強みをしっかりと理解して立ち回れば……。ま、相当いい線いくんじゃねえの」
「本当ですか!?」
「ああ。まぁ、アドバイスできんのはそれだけだ」
「ありがとうございます!」
「んじゃ、私は戻るぜ……」
「あ、ま、待ってください! さ、差し出がましいのですが……」
と、引き留められた。
「私たちのクランに入ってくれませんか!」
と、誘いを受けたのだった。