ナンパ男
翌日。
オイリとワグマはひたすら敵を狩っていた。素材集めというか、金稼ぎのために。
私はそれを側から見ていると。
「あ、彼女たち今暇かーい?」
と、三人組の男が声をかけてきた。
オイリたちは魔物を狩る手を止め、その男たちをみる。ナンパ目的で声をかけにきたようだ。
「女の子三人でレベル上げ大変でしょ? 俺らと一緒に行動しねえ?」
「いえ、おかまいなく。私たちは大丈夫です」
と、そつなく断りを入れるが、男たちは引く様子がない。俺ら強いからと言い、どうしても私たちと行動したいみたいだ。
たしかにこいつらは顔がいい。ワグマに関してはいいとこのお嬢様だし、衣織は両親が昔美少女と話題になった人だ。顔が良くないわけがない。
顔がいい分、諦められないわな。
だがしかし、そういうのがウザい。
「ウゼェよテメェら」
私は胸ぐらを掴む。
「やめるんです、ゼーレ」
「止めんなよワグマ。こんなナンパ男、一発ぶん殴りゃ……」
「ダメです。このゲーム、正当な理由がない限りPKをしたらカルマ値というものがたまります。そんなやつらのために溜める必要はありません」
「そうそう。粋がっててもダメだぞ〜」
私は一発ぶん殴った。
男はそのまま吹っ飛んでいく。
「粋がってるかどうか身体に染み込ませてやんよ……! 死ね!」
「失敗……。ま、初心者が俺らに敵うわけねーわ。お前こそ死ね!」
剣を構え振り下ろしてくる。
私は思いっきり足払いをして一人転ばせる。そしてそのまま馬乗りになり顔を殴り続けてまずは一人。
「あ、あれ?」
「あとはテメェだけだな? 粋がってるっつーんならそれ相応の実力見せろ。屁でもねーぞてめえら」
「た、退散!」
と、逃げていった。
勝てないと踏んで逃げたか。情けねえ。たかが女だと思ってたんだろうな……。
私はとりあえず息を落ち着かせる。すると。
「バカですか!」
と、後ろからワグマにぶっ叩かれた。
「なにすんだよ!」
「カルマ値溜めてどうするんです! PKしすぎたら掃除屋が来て殺されますよ!?」
「…………」
「今のは適当に流して逃げればよかっただけです。ったく。血の気本当多いんだから……」
「…………」
いんだよ。喧嘩売られてんなら買うのが当たり前だろ。少なくとも、お前らと出会う前はそうだったし。
「ほんと、伝説の不良は怖いですねえ」
「うるせえよ。私のことはどうでもいいからさっさとレベル上げしとけ。あと、お前ら金貯まったら顔隠す装備買え。今みたいに軟弱なやつがナンパしに来られてもうぜえだけだし」
「ゼーレも必要じゃね?」
「んでだよ」
「ゼーレも顔は整ってるよね? ハーフだし、その青い目と金髪は割と好みの女の子多いよ!」
「気持ち悪いだけだろ」
小学校の頃、それで揶揄われていたんだから。
私は少し嫌な気分になったのでとりあえず魔物に八つ当たりすることにした。
近くにいた昨日の犬の魔物をぶん殴る。しこたまぶん殴り、魔物は消えていった。少しスッキリした。
「でも、さっきみたいのは確かに嫌ですね」
「だろ?」
「なにか改善策のようなものがあればいいんですが……」
あんな奴らと二度と出くわさないためには何が出来るかといえば顔を隠すしかない。
私の場合は隠したくないな。視野が狭くなりそうで怖い。戦いにおいて視野というのは大事だからな。
「もーいーよ。忘れてレベル上げしようよ。たんなるお邪魔虫ってことにしてさ!」
「そうですね」
そして、時折思うがお前らも残酷よな。
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