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 私は一人で自分の家に向かう。

 月能が人に頼ってくること。多分十中八九頼ってくるだろうから衣織は安心すべきなんだが……。と思いながら歩いていると。家の前に黒塗りの高級車が停まっていた。


「……おい、早速じゃねえかよ」

「あ、花音。やっと帰ってきたんですね」

「お前……。家のごたごたの最中だろうが」

「その様子だと菅原さんから聞いたんですね。話が早くて済みそうです」


 家の前で、もこもこのコートを着た月能がメイド一人を連れて待機していた。


「……初めに言っておく。絶対嫌だぞ」

「今日からよろしくお願いしますね」

「おい、お前会話ってもんを知ってるか?」


 お前……。


「お前って案外図太いよな……」

「ずぶとくてなんぼですから。あんのクソ父親、今にでも後悔するといいんです。くそくらえってことで。家出してきました」

「家出で避難する先が私かよ。直接的にかかわらせるんじゃねえ。こっちにも飛び火するだろうが!」

「武力の面で安心ですから」


 おい。

 ったく。断っても住み着く癖に……。まじでお前な。いや、初めから何となく想像していたけど。こいつの場合、自分で抱え込むってことはまずしない。

 人の上に立つ器があるからな。誰かに頼る、だれかを頼りにするということを普通にする奴だ。だからこそ、ごたごたっていっても気にしてなかったんだが。


「で、おつきのやつもつれてきてんのかよ……。お前、今家に私の両親がいないっていうのをしめしめって思ってねえか?」

「それもありますが……。あなたの家に泊まるのはあの父親を見返すためですよ」

「ふーん……」


 私はおつきの人に近づく。そして、首根っこをつかむ。


「何してるんですか?」

「お前危機感足りねえだろ。電話、通話中だぜ」

「あ、本当ですね。今の会話お父様に筒抜けのようです」

「お前なぁ……」


 おつきの人は苦しそうな顔をしながら、私を足で蹴っている。


「じゃ、ちょっと貸してください」


 というので、私は月能に携帯電話を差し出した。


「ばー----か! もう父さんなんて知りませんからね! 私の人付き合いを制限したいのなら武力行使で来なさいな! はっはっはっはっは」

「おい、てめえ!」

「こっちには超強い不良がいますからね! これは私なりの反抗ですよ。もし花音が負けるようであれば、私はあなたに従いますよ」


 そういって、通話を切る月能。

 こいつ、私をマジで巻き込みやがった。いや、私と付き合ってるせいというのもあるのだが、それでも私を巻き込ませるなんて……。


「よかったですね。花音が好きな喧嘩ができますよ。警察には言えないでしょうから」

「お前な……」

「武力行使できますから。油断できませんね」

「ちっ……。お前を守るために喧嘩強くなったわけじゃねえよ」

「あなたの強さはこうやって活かすべきっていうのを教えてあげているだけですよ」


 よく言うぜ。


「ただ、ここらで暴れちゃ警察もバカじゃねえし首突っ込んでくるだろうよ」

「その点は問題はありません。あの父親のことですから、きちんとおぜん立てはしてくれます。あれでも、馬鹿なんで」

「自分の父に対してひどい言い草だな」

「はい。ですが、空手の有段者であり、柔道の有段者でもありますから父は。気を付けてくださいね」

「お前な……」


 有段者相手に勝負を挑ませるな。








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変態、ゲームに立つ!
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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