後悔先に立たず
うちのクランは変なのの寄せ集めかなにかか。
ワグマはあれでお人よしすぎるし。ちょっと不満がある。だがまぁ、私が少数派な以上、何かを唱えても無駄だろう。
「ゼーレ。いますか?」
「ああ、いる。どうしたんだよ」
私は自分の部屋で今日手に入れた素材たちをしまっていると、ワグマがノックして部屋に入ってきたのだった。
「なんだよ」
「いえ。あのラプラスのことです」
「……あー」
さしずめメンタルケアに来たってとこだろう。
そんなのいらないけどな。
「あなたが反対しているのに入れてしまい申し訳ありませんでした」
「いいよ。リーダーはてめえなんだし勝手に決めりゃ。従うだけよ私は」
「そういうのは……ダメなんです。リーダーだけの意見を通すような組織は、うまくいきません」
「そうかよ。ま、気にしてねえよ。あんなうさんくせえ奴、ちょっと苦手だってだけだ。そういう人付き合いも必要にはなんだろ。気にしなくていいぜ」
「いえ、私の気が収まらないんです」
めんどくせえやつだなお前はつくづく。
「あの。占いって信じますか?」
「基本的に信じねえな」
「ですよね」
占いなんてのは信じるわけがない。
本気にするのではなく、頭の片隅に置いておくだけっていうのもあるが、それで不幸が起きたりすると運勢が悪いからとかいう言い訳をする。
何でもかんでも運勢が悪いという言い訳はしたくねえし。
「占いを全否定するわけではないですよね?」
「そりゃまぁ、占いにだって歴史があるだろ。そこまでは否定しねえよ。今のうさんくせえ占いが好きじゃねえってだけで、昔は占いに頼っていた面もあるしな」
「その通りです。さすがですね」
「占いを全否定しないからってなんだよ。早く本題に入れ」
「わかりました。あの、たとえ苦手だったとしても……ラプラスのことを受け入れてあげてください。私も基本的に占いは信じていません。ですが……」
「信じる者は救われるし、信じないものも救われるの」
と、なぜかいきなり部屋に入ってきたラプラス。なぜか今度は左目に眼帯をつけている。
「未来予知をする目はこの左の目。封印してあげたわ」
「…………」
「これで受け入れてくれるかしら」
「いや……今度は違う意味で受け入れたくねえ」
思いっきり中二病みたいに見えるんだよな。
眼帯に中二病感がつきものというのはさすがに失礼だが、黒い眼帯にどくろのような刺しゅうを施されている。それはもう中二病。
「お前、もしかして中二病か?」
「そんなのではない。私は本物だ」
「ああ、ホンモノ、か……」
本物の中二病か。
すると、今度は後ろからゴスロリファッションのオイリが出てきたのだった。オイリは右手に包帯を巻きつけ、眼帯をして小悪魔みたいな角のカチューシャを頭につけている。
「おい、お前に関しては盛りだくさんだな」
「ふっふっふ。今までの私はすべてまやかし。悪魔オイリだよぅ。私の力に恐れるのなら……」
というので、私はオイリを一発殴った。
「恐れないのか!? この私を!?」
「恐れるタマじゃねえよ」
「くっ、怖いもの知らずのゼーレには恐怖が伝わらない! ワグマ! 怖いでしょ!?」
「いえ……。バカみたいです」
「辛辣! ワグマってたまに口悪いよね! だめじゃんラプラスぅ!」
「ふむ。この漆黒のかっこいいファッションを受け入れぬか……」
「黒=かっこいいって思ってる時点でお前ら相当バカだろ……」
「うわーん!」
「撤収だ! 痛いところを突くな!」
と、二人は泣きながら去っていった。
「ふふっ」
「なぁ、まじであれいれんの? あれいれるとオイリの悪ふざけを助長しねえか?」
「ちょっとだけ後悔してきました。ああいう悪ふざけの人はオイリだけで十分なんですが」
「お前手のひらくるっくるだな……」
ワグマ、お前が入れたんだろ。後悔すんなよお前。