ラプラスの少女
王都の拠点にウキウキで戻ると、また誰かが立っていた。
ゴスロリ服の女の子。ダウジングマシンを片手に私たちの拠点の前で立っており、ワグマが何やら対応をしている。
「どうしたんだよ」
「いえ……クランに入れて欲しいということでして……」
「私の占いではこのクランに入るのが吉と出たの……。ふふふ。私を入れておけばいつでも占ってあげるわ……」
と、黒髪の女の子が。
「いや、どう考えてもアレだろ。てめえのその雰囲気でどこも断られてきた感じだろ」
「……違うわ」
「その間はなんだったんだよお前……」
「……ゼーレさんの背後から不吉な気配」
「あん? んだそりゃ」
「誰かが抱きついてダメージを……」
「んなわけ」
と、その時。
「あ、ゼーレーーー!」
「勢い強……うがっ」
オイリが思いっきり抱きついて、私は扉のドアノブに頭をぶつけダメージを負う。
「当たりやがった……」
「占いなんてそんなん当たるわけないやん。あ、ワグマさんども〜」
「よう」
「こんばんは。うちのゼーレを借りてたんですか?」
「あ、ああ。まぁな。ちょっと手に負えないものがあってよ。それより……そんな変なのクランに入れるのか?」
「変なのとは失礼ね……。私は未来が視えるの。現実でもね」
「未来が視えるぅ? そんなもんあるわけないやん」
「あー、この子前テレビで未来予知少女として特集されてた子じゃん!」
と、オイリが言った。
テレビで特集を組まれるほど? 馬鹿馬鹿しい。未来予知なんて存在するわけが……。
「いや、最近の科学研究だと割と未来予知は出来るという判断になってきていてな。理論上は可能だ」
「ラプラスの悪魔っていうのは知ってるでしょ?」
「あー」
「なに? ポケ○ンの話かいな」
ラプラスの悪魔。未来を完全に視ることができる超常的な存在だっけ。
「ラプラスの悪魔の証明がされつつあるのよ。最近の科学はオカルトを科学で説明するという感じになってるのだけれど……」
「私こそがラプラスの悪魔なのよ……。あなたたちの未来も視てあげるわ」
「馬鹿馬鹿しい……。私は信じねえ。ラプラスの悪魔は証明出来るわけがない」
「まぁ……信じないというのも無理はないわ。まあ、その話はいいの。私をクランに入れてください」
と、深々と頭を下げた。
こんな危ない奴をクランに入れるのは嫌だな……と思っているが、隣のオイリは未来予知に目をキラキラとさせているし、ワグマも若干揺らいでいる。
「……ちっ、私が少数派かよ」
「うん! いれよー?」
「……まぁ、いいでしょう」
そういうことで、この女……。
「お前、名前は?」
「ラプラス。ラプラスの悪魔よ……!」
「ふーん」
未来、未来か。
「未来なんて知りたくもねえだろ。何が起きるのか分かってたらつまらねえし、幸せじゃねぇ」
「うっ」
「それもそうですね……」
「せやな」
「まあ、それは同意だ」
「ククク……。もっともなことを言うね。私もそう無闇に未来を教えるわけじゃないから安心してほしいものだね」
ならいいがな。
まあ、未来予知なんていうのは単なるまやかし。私たちだって他人の性格を元にしてとかすれば、こうなるだろうなぁという予測はできる。
「またうちのクランに変なのが入った」
「モンキッキたちもさりげなく変なの扱いされてますね」