武力の皇帝
カイザーレオの場所にやってきた。
カイザーレオはのそのそと歩いており、こちらに気づいていない。私は飛び出てとりあえず一撃ぶん殴った。
「ガアアアアア!」
「やっぱ効かねえか」
カイザーレオは大きく吠える。そして、私めがけてパンチを放ってきたのだった。私は避ける。パンチの風圧が、私を弾き飛ばしたのだった。
素早いパンチ、躱すと風圧。なるほど。これは苦戦するな。
「っしゃ、ま、いけんだろ」
私は起き上がり、竜変化で手を竜に変化させた。そして、鬼神スキルを使用する。
最初から本気で行かないと削り切れなさそうだ。私は距離を詰め、腹部に一撃加えたのだった。カイザーレオはそのまま吹っ飛んでいくが、くるっと体を反転させ、木を足でけり、こちらめがけて再びそのでかい拳で殴ろうとしてきたのだった。
あの拳をもろに食らったら今の私は死ぬだろう。一撃も攻撃を受けてはならぬ。
「おもしれえ。やってやるよ」
私は躱し、カウンターを食らわせた。
「ガアアアアア!」
カイザーレオは地面に着地すると、大きく地団太を踏んだ。
そして、手を思いきり大地に振り下ろし、拳を地面に埋める。すると、カイザーレオは地面をえぐり、大地を持ち上げた。
その大地を、私めがけて投げつけてくる。これは躱せない。となると、破壊するしかないか。私は投げつけられた地面を思いきり殴ると、割れて、私の隣に落ちる。
「あっぶね。これはさすがに躱せねえ」
私は再び特攻を仕掛けに向かう。
カイザーレオも、そんな絡め手は私に通じないと悟ったのか、素直に肉弾戦を選択したようだった。私は大きく拳をふるう。カイザーレオは私の攻撃を受け止める。カイザーレオも殴り掛かってきたが、私は食らうわけにはいかないので、躱す。
「うおらぁ! そんなもんかカイザーレオ!」
「グルッグルッ!」
「この喧嘩、私の勝ちだぜ!」
私は竜の手でカイザーレオの腹部を切り裂いた。
カイザーレオは大きく咆哮をあげ、そのまま地面に倒れる。私は勝利の拳を天に掲げたのだった。私の勝ちだ。カイザーレオ。
「す、すげえ……」
「これは俺でも敵わへん……。なんなんやこのバケモン……。マジで一人で勝ちよったで」
「これでいいんだろ、ゲンとモンジュ」
「あ、ああ。ありがとな。俺らが出る幕もなかった」
「でも、大ボスクラスの魔物やで? よく倒せるなぁあんた……」
「カイザーレオが強いのは多分尋常じゃない攻撃力のせいだろう。一発一発もらっただけで即死になりうるし、耐久も割かしあるはずだからな」
「だからといってだ。一度も被弾しないなんてのはむずいだろ」
「まぁ、そりゃそうだ。きつかった」
ものすごく集中力を使うからな。
敵の動きをよく見て、予測することが大事になる。さすがに攻撃を受け止められる感じの威力だったら殴られながら殴っていたがな。
「グル……」
と、カイザーレオはふらふらとした足取りで立ち上がったのだった。
そして、のそのそと私のほうに近づいてくる。手を振り上げたかと思うと、私に何かを差し出してきたのだった。
それは、カイザーレオの巻物と書かれたものだった。私は巻物を手に取り、見てみると。
《スキル:獣の直感 を取得しました》
《今ならばカイザーレオをテイムすることができます》
《テイムしますか?》
というアナウンスが響いた。
テイム、か。私はテイマーじゃないんだがテイムはできるんだな。まあ、しようか。
「テイムしよう」
そういうと、突然カイザーレオの体が光る。
傷がふさがり、元気いっぱいになったようだ。
「ガル!」
と、大きな手をこちらに向ける。握手をしたいようだ。
「おう、よろしくな」
《名前を付けてください》
名前か。
「じゃ、お前は今日からカイザーだ」
「ガル!」
カイザーが仲間になった。