強敵との闘い
飯を食べ終えて再びログインしたのだった。
ゲーム内の時間も夜で、あたりが暗く、街灯がともっている。今はオイリもワグマもハーレーもミナヅキも全員ログアウトしているようだ。多分夕飯だろう。
親も今はいない状況なので、私みたいなカップ麺が夕飯だったらこうして早くログインできる。
「さて、と。拠点のほうで何か依頼とかきてねえかみてみっか」
拠点に戻ると、なにやらモンジュとゲンが拠点の前に立っていた。
「うちになんかようかよ」
「蒼眼の死神。待ってたでぇ」
「……私か?」
「ああ。君にぜひとも協力を頼みたいことがあってね」
そういうことなので、私は中に通した。
モンジュとゲンにお茶を差し出すNPC。私も紅茶を飲む。
「んだよ。頼みたいことって」
「とあるモンスターを倒したい」
「モンスターを?」
「ああ。ゲン一人じゃ厳しくてな……。実力があるゼーレに頼めればと思っている。どうだ?」
「そのモンスターをまず教えろ。話はそれからだ」
「ああ、そうだな。このモンスターだ」
と見せてきたのはライオンのモンスター。
カイザーレオとかいうボスもボス。ものすごく強い魔物らしい。それに挑むというのは正直レベルが足りてないお前ら馬鹿じゃねえのとは思うが。
「肉弾戦しかしてこないんだな。赤髪の大王様喧嘩得意じゃねえのかよ」
「うるさいわ。俺一人でもなんとかなるんならしとるわ」
「ふーん。ま、いいだろ。素材はもちろん山分けだよな? 倒して裏切ったりとかしたら容赦しねえぞ」
「もちろん。俺としても阿久津家は敵に回したくない」
「俺もや。蒼眼の死神を敵に回すなんてそんなバカげたことせんで」
「っし、じゃ、いくか。いまから」
カイザーレオ討伐に。
私たちはそのままカイザーレオがいるという場所に向かったのだった。
カイザーレオはゴリラとライオンを合せたような感じのモンスターで、ぶっとい丸太のような腕と足、そして圧倒的な戦闘センス。
これは喧嘩といえども、人間が敵うような相手ではない。
運営もそういうキャラを配置しているということだ。
運営曰く、高難易度討伐モンスターというのがいるらしく、レベルが高くても、討伐が困難を極める魔物がいるのだとか。
もちろん難しいだけあり、倒した際に得られる経験値はすさまじいらしい。そして、倒すとスキルが確定でもらえるみたいだとか。
「喧嘩相手としては不足がねえな」
「阿久津から聞いていた通りお前やべえ戦闘狂だな……」
「俺より血の気多いで?」
「皇帝として君臨しているカイザーレオを引っ張り下ろしてやるさ。はっはっは」
まぁ、そう簡単にいくわけがないんだろうがな。
肉弾戦しかしてこないでこんなに難しいのだから、戦闘センスがずば抜けて高いんだろう。それに最強の私を合せる。実に素晴らしい考えだ。
私も強敵との喧嘩に血がわき踊る。昂ぶる。