私の出生
積もる話とは一体何なのか。
私はリビングに行くと、ソファに座っている月能。
「んで、なんだよ。説教っていう雰囲気じゃねえな」
「説教ではありませんから。あなた自身の出生についてです」
「あー……」
そういう話か。
私はしょうがないのでコーヒーをすする。
「普段、話したがらないですからね。あなた。前々から不思議に思っていたんですよ。今ここで、話してもらいますから」
「…………チッ」
「こういうところじゃないと話してもらえませんからね」
そういって、私のことを気にせずにコーヒーを飲んでいた。
私は乱暴にソファに座る。
「人様の家庭事情に首突っ込むなよ」
「そういわずに。私たちはもう他人という仲ではないでしょう? 支援をしてほしいということを前々から相談は受けておりますからね」
「あーそうかよ」
「衣織はまだゲームをしておりますから。私と花音しかこの場におりません」
「……だから話せというのかよ」
「はい」
ったく、こいつも余計なおせっかいを焼くよな。
私はコーヒーを飲む。しょうがない。別にそこまで秘密にしたいほどの内容でもないからな。
「私の今の両親はどちらも日本人ってことはわかってんだろ?」
「ええ、それが不思議なんですよ。日本人の両親を持つ親なのに、なぜあなたはドイツのハーフなのか。なんとなくは想像できますが……」
「その想像してる通りだよ。今の親は本当の親じゃねえ。里親だよ。私を引き取った」
「……やはりそうなんですか」
まぁ、ここは大方想像していただろう。
「私は物心つく頃から孤児院みたいな児童養護施設にいたんだよ。その環境もまぁ最悪でな。いじめは起きてるわ、食料もまぁ粗悪なものしか出さねえわ、大人は暴力ばかり振るうわ。まぁ、その施設にいるやつらは身よりもいないし、殴ってもばれねえんだろうよ」
「その環境があなたをぐれさせたというわけですか?」
「それもあるが、大きな一因は私の両親だ」
私の両親のことを話す。
「私は小学校の六年生ぐらいのときに調べたんだよ。自分で。自分の親のことを。戸籍とかいろいろ調べて、自分で本当の親に会いに行った。まじで時間かかったけどな。で、会いに行って、様子を見ると驚くことが分かったんだよ」
「驚くこと?」
「私自身、不倫で生まれた子供だ」
「不倫……」
「違う家庭を持つ父親が私のドイツ人の母親と一夜交わった。避妊なんてしてなかったから妊娠して、おろさせようとしたみたいなんだけどな。うちの母親はそれをよしとしなかった。で、生まれて育てようとしたところに慰謝料請求。不倫相手も子供ができたからこちらに来てくれると思っていたみたいでな。だがしかし、相手はまた再構築してしまった。私を生んだ意味なんてないと思って捨てたみたいなんだわ」
「……うわぁ」
「私自身、そこまで望まれて生まれてきてないっていう感じだったからな……。まじで心が終わってたよ。ほんとに。もうすべてがどうでもよくなって、だれかれ構わず突っぱねて、喧嘩して。暴力なら普段から受けてたし、得意だと思ってたからな」
本当にあの時のことを思い出すと嫌になる。