性格も根性も
喧嘩を止められ、少し不服であった。
私はワグマに止められ、ワグマがいまにも怒りそうだったのでしょうがなくやめる。
「チッ……」
「…………」
お互いの仲は悪くなっていた。
「コチラのXが申し訳ない」
「いえ。こちらが先に手を出しましたから」
「大変だな。お互いこういうのを持つと」
「そうですね」
ひどい言われようだ。
「それにしても……Xが苦戦するのだから相当な手練れ……。いや、実力に関して言えば私たちより上か。見事なものよ」
「まあ、コレはそれしかできませんから」
「ひどい言われようだなテメェ」
「殺すぞ」
「あァ?」
「あ?」
「ダメですよ?」
「ダメだ」
と、笑顔でワグマに脅されたのでやめる。
「うちの死神が申し訳ありません」
「死神?」
「死神っていやぁ……まさかテメェ!」
「…………お前わざとだろ」
「同じ界隈ならば伝わるでしょう?」
そういうのじゃねえよ。その二つ名が恥ずかしいから言うなつってんのによ。
こいつ、それをわかってて言うからほんっとに性格悪い。
「あー、その。俺が‥‥悪かったっす」
「……私も悪かったよ。殴って悪い」
「あー、俺が悪いんで俺が謝るのが合理的っす」
「凄いですね。相手が蒼眼の死神だとわかると下手に出ました」
「なぁ、あの女……性格悪くねぇか? よくつるんでんな」
「わかるか? あれは結構性格悪いぞ。性格も根性も悪い」
「ゼーレ?」
「私はそうは思わないよ?? ワグマ優しいじゃん!」
「「優しい……??」」
オイリ。てめえは一体何を見てきているんだよ。
「……本格的にお仕置き必要ですか?」
「やめろ。マジで」
「キレーな顔してマジで怖えな……」
ワグマは私の方を向いてニッコリ笑う。
「助けていただきありがとうございました。私たちはやることがあるのでここら辺で。またお会いいたしましょう」
「あ、ああ」
「…………」
「ほら、ゼーレ。少しお話し、いたしましょうか」
「…………」
私はワグマに引っ張られるような形で連れて行かれた。そして、強制的にログアウトさせられる。
私は窓を開け飛び降りようとしたが、背後で扉が開かれる音が聞こえた。
「窓を開けて何してるんですか? 寒いので閉めましょう。衣織が風邪をひいてしまいます」
「い、いや……。東京では見慣れない雪だからはしゃいでしまってな……。今すぐ閉めよう。あと、私はコンビニに向かう」
「いえいえ。飲み物なら私の使いのものに行かせればよいですから。とりあえず、積もる話もありますし、一階へ降りてきてください」
「……はい」
本当に怒らせたら怖いんだよ。こいつ……。
私は恐る恐る、階段を降りていくのだった。