大ボスに挑むには
DJダックは50ポイントだった。
ただ、周りのダンサーダックはポイントが何もない。多分通常では出ないからだと言っていた。DJダックが呼び出す魔物で、通常では出ないし、そういうことをすると一生DJダックに魔物を呼び続けさせるプレイヤーが出るためだろうとワグマが予想する。
「3000まで気が遠くなるな……。まだそんな集めてねえぜ」
「そうだな。俺のほうもそこまでだ」
「こりゃ大ボスに挑戦するしかないですかね」
大ボスか。決まった場所に配置されているとは書いてある。が、掲示板を見てもいまだに討伐報告がない。
というか、むしろなにもできずにやられたという書き込みや、あとちょっとで死んだという書き込みもあった。
「うーむ。強さが分からねえ。どんな基準かは知らねえけど、さすがに二人じゃ厳しいんじゃねえの? タゲがワグマに向いた瞬間に厳しくなるしよ」
「そうですよね……。やはり私が戦えないというのがネックでしょうか」
「ネックもネックだ。ワグマが戦えずに戦場に立つってことは回復以外はお荷物だな」
「そんな言い方して大丈夫かよ。ワグマ気にしてるんじゃないか?」
「いや、ゼーレの言うことのほうが正しいんですから。気にしておりません。戦いに関してはゼーレのほうが一言ありますから」
「そういうこと。まぁ、サポート特化させたのは私だし、戦士でタンクになれるオイリがいるからこそ、神官にさせたんだけどな」
だがしかし。今は。
「オイリはまだ帰ってこず、タンク職がいねえ。ワグマを守るやつがいないんだよ」
「苦戦してるんですね……。オイリは」
「オイリ自身、火力も防御もそこそこあるはずだから、職業的にはオイリが一番勝ちやすいはずなんだけどな」
それでも勝てないのはオイリ自身に戦いの才能がないか、それとも、戦う相手を間違えているか。前者はまぁ、しょうがないが、オイリも戦いの才能がないわけではないので、多分後者だ。
オイリ自身、見た限りだとボスモンスターは普通に勝てる実力がある。ああみえて結構堅実なタイプだからな。ただ見る目がないってだけで。
「多分戦う相手を間違えてんだ。あいつ、何か物事を決める力に欠けてるからな。自分の実力では苦戦するような相手を選びがちだ」
「そうですね……」
「あいつ自身は受けて攻撃っていうスタンスをとるはずだから、割と火力があって、素早くないほうがあってる。多分、素早い魔物に挑んでるんだろうな……」
戦士職は足が遅いから、素早さに翻弄されがちだ。普段歩く時も私たちが速度を合せてるくらいだからな。
「今からでもオイリを呼び戻しますか?」
「それでもいいが、オイリ自身どこにいるかわかんねえんだぞ。もしかしたらすごく遠くまで行ってて戻ってくるのに時間がかかるってなったら、期間が終わるかもしれねえ」
「その点に関しては大丈夫だと思いますよ。死んでリスポーンするのはうちらのクランの拠点ですし、いまだに報告が来てない以上、多分何度か死んでますから。そこまで遠くではないでしょう」
「あー」
そうか。リスポーン地点がまだここか。
リスポーンの設定は確か、最後に訪れた街から、だったから……。王都が最後に訪れた街の場合は王都にある私たちの拠点でリスポーン。
だがしかし、それは確実じゃない。違う街に寄っている可能性もなくはないか。
「あれ?」
と、声が聞こえる。
振り返るとそこには。
「みんななにしてんのー?」
「オイリ……」
「噂をすれば影ですね」
なんかオイリが立っていた。
「あ、ゼーレ! いたー! 私も倒したよ!」
「あ、倒せたの?」
「なんとか! いやぁ、素早い魔物で苦戦したよぉ。で、何の話してるの?」
「ん? ああ、ちょうどいいや。お前もつれてくからな。話してやる」
私はボスのことについて話すのだった。