音×喧嘩のスクラッチ!
そういう噂を流されると私としてもちょっと気分は悪かった。
私は誰かに八つ当たりしようと適当なモンスターを探す。すると、なんだかDJブースを背負ったアヒルが目の前に現れたのだった。
「なんだこいつ」
「絶対魔物ですよね……。とりあえず私の新スキルを使ってみるます。”解析”」
手でカメラのふちのようなものをつくり覗き込むワグマ。解析という意味だったっか。解析スキルというのがあるんだな。
ワグマはなるほど……といい、説明を始める。
「あの鳥は中ボス級の魔物、DJダックっていうらしいです。あのアヒルのメインの攻撃方法は音。うるさい音で私たちに攻撃したり、仲間を呼び寄せて戦うみたいです……。今は呼び出し行動の最中みたいですね。あ、あそこからやってきました」
と、たくさんの小さいアヒルがやってきた。手には扇などを持ち、ヘッドフォンなどの装備をしたアヒル。ただ、黄色いアヒルの中に白いやつがいる。みにくいアヒルの子か?
だがしかし、お仲間が増えるのはこちらとしてもめんどくせえ。
「あのアヒルたちはダンサーダックという魔物です。DJダックが統率を率いてる魔物で、連携して襲ってくるのでご注意を!」
「わあってるよ! とりあえず一発くらっとけや!」
私はDJダックに回し蹴り。DJダックは吹っ飛んでいく。が、すぐに戻ってきて、スクラッチを始めた。
うるせえ音が響き渡る。私は思わず耳をふさいだ。
「うるっせえっ……!」
「グワーッ!」
と、DJダックがなにか私を指さした時だった。
周りのダンサーダックが私を襲い掛かってくる。私はうるさい音を我慢しながらも、ダンサーダックを一人ずつ蹴散らしていく。
戦うのが私しかいない分、この数は相当厄介だ。だがしかし、やれないわけはない。ダンサーダックは体力がそこまでないようだ。この連携が苦戦するポイントで、その連携を崩してしまえば簡単だな。
「てめえもそこで見てねえで参加しろや! アヒルがよ!」
私はアヒルの胸ぐらをつかみ、地面にたたきつける。うるさい音が止む。
私はアヒルをぶんぶん振り回し、ダンサーダックを薙ぎ払う。そして、振り回してる最中に手を放し、ダンサーダックを巻き込んでDJダックはそのまま吹き飛んでいく。
わずか数分で、ダンサーダックは壊滅。そして、親玉のDJダックはふらふらと目を回しながら立ち上がって、再びDJブースのもとへと向かってきた。
もちろんそうはいかない。
私はDJブースを蹴ってぶっ壊す。
「グワッ!?」
「てめえ、これがなきゃ無力だろ」
「グワッ……」
DJダックは恨むような眼を私に向けてきた。
すると、懐から何かを取り出す。取り出したのはでかいミラーボールだった。よくクラブとかにはあるよなそれ。
そのミラーボールを私めがけて投げてきた。すると、ぴかっ!とまばゆい光が私を包み込む。
目くらまし、か。たしかに有効かもしれない。
だがしかし、それは私じゃなかったら。
私は目をつむる。そして、気配を察知してみると、右手の方向から敵の気配。
私はそのまま右方向めがけて思い切り拳を振り下ろすと、当たった感触があった。
「グワーーーーッ!」
「よし、当たり!」
そのまま、DJダックは体力がなくなったらしく消えていくのだった。