井戸の中に
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ゲームの中も、お祭り騒ぎにはなって来始めていた。というのも。
「明日、大晦日か」
「そうですね。明日は快晴の予定ですし、いろいろお祝いいたしましょうか。そして元日は初日の出と初詣に行きましょう。振袖も着て、ね?」
「振袖へ私いーや。動きづれえし。オイリとワグマだけでいーだろ」
「女っ気本当にありませんねあなた」
私の服装は基本的に動きやすさ重視だ。
「見た目はいいんですから少しはオシャレしないと」
「別にいーよ……。それより金策だろ。早く行こうぜ」
「はいはい」
私たちは王都郊外に移動しようとすると、王都の門の前に井戸があり、兵士たちが何か覗き込んでいるようだった。
私たちはその兵士たちに近づく。
「どしたんすか」
「あ、いや、この井戸……。中から変な声がするのです」
「調べに行こうとしているが……。流石に行きたくなくてな……」
「ふーん……。じゃあ報酬さえくれんなら私いくっすよ」
「……わかった。俺が報酬を払おう。井戸の中を調べてきてくれ! 調べ終わったら王都の門前の詰所にリギダーという俺の名前を出して呼べ!」
「うっす」
私は、井戸の中に飛び降りる。
しばらく井戸を降りていると、地面が見えて来た、地面に降りる。
水はほとんどなく、すでに使われてない井戸。私は辺りを見渡してみる。
「結構広え。なにかいたりしそうだな」
「よっと。結構広いですね。こんな空間が広がってたんですか……。まだ奥に続いてるみたいですし」
「明かりもなぜかあるのがまあ不気味だが……。その兵士たちが言っていた変なこ」
と、言いかけた時、奥の方から「あああああ」という声が聞こえてくる。
「誰かが泣いているようにも思えますね」
「誰か落ちたんだろ。行くしかねえな」
私たちは奥へと歩みを進めると、途中にその声の正体はあった。
わんわんと泣きじゃくってる女児。ぐすっぐすっと泣いている。子どもが変な声の正体だったようだ。
「幽霊の、正体見たり枯れ尾花ですね」
「そうだな。おい、大丈夫かよ」
「痛いぃ……」
「怪我してるみたいですね。まあ、早いとこ連れ帰っていきましょう」
ワグマが女の子に駆け寄り、背を向ける。
「怖かったでしょう。もう大丈夫ですよ」
「うん……」
女の子はワグマの背中に抱えられる。
私たちは、垂らされているロープを手にして必死に這い上がる。
地上につき、私は報告のために詰所へ向かい、報告をして任務達成となった。
「ありがとう。女の子はこちらで保護し親を見つけておく。手間をかけたな! これは約束の報酬である」
と、渡されたのは1万グラン。
まあいいんじゃないだろうか。ただの調査にこんな金出してくれる時点でありがたい。
「井戸の中はどうなっていた?」
「なんか広い空間がありましたが」
「ふむ。なにかいた形跡は?」
「それはみて……」
「なかったですね。ですが、気になるのはなぜ井戸の下にあんな広い空間があるのか……」
「……嬢ちゃん。なにか見なかったかい?」
「モグラさんがいた!」
「「モグラぁ?」」
女の子の話を聞くと、超でかいモグラが地面を掘っていたらしい。
女の子はモグラに見つからないように隠れていたけど!怪我したとこが痛かったということ。
「モグラ……。魔物である可能性は高いですね」
「王都の地下にたくさん穴掘られたらまずいですよ。今すぐ騎士団に報告して倒さねば」
「そうだな。あとは冒険者たちにもお願いをせねばなるまい。ここだけならまだいいが、他のところにも掘られてたら困る。今すぐ手配せよ!」
《緊急クエスト:王都下のモグラ帝国 を開始します》
モグラ帝国?