あはっ
犬型の魔物はウォルフルという魔物らしい。
その魔物五匹の討伐は楽だった。所詮雑魚敵なので、苦戦する要素は全くない。すべて倒すと、ちょっとだけレベルは上がった。が、これだけじゃやっぱり満足できない。
私はそのまま平原を進み、ウォルフルではない違う魔物を探しに向かう。
すると、今度は狼のような魔物が現れたのだった。
片方の目がなく、私を見てよだれを垂らしている狼。私は瞬時に拳を構えた。
「うぉふっ!」
狼はとびかかってくる。
私はそのまま一撃ぶんなぐる。狼は殴られて墜落したが、まだまだ元気そうだった。私はそのまま距離を詰め、狼の頭を腕で固定し、何度も頭をぶんなぐる。
何度も、何度も殴っているとさすがに狼も削れていき、最後には塵となり消えてゆく。
一匹を倒し終わり、私は立ち上がり周りを見てみると。
さっき倒した狼が、複数体私を囲むように立っていた。一匹オオカミというわけではなく、群れで行動していたようで、その群れが私を殺そうとばかりの目で見ている。
面白い。逃げるなんて選択肢はとるものか。
「かかってこい狼共! 私が相手してやるぜ!」
狼は集団で襲い掛かってくる。
さすがにこの数ともなると、自分の体力なども考えて動かなければならない。とりあえず狼一匹の足を持ち、そのままぐるぐる回転して、狼を武器に薙ぎ払う。
ぐるぐると目を回している狼。
私はその狼をぶん投げた。
「ほら、殺してみろ!」
私はそのまま狼たちに近寄る。
狼は私の気力に押されているのか後ずさり。だがしかし、まだ闘志はあるようで、唸っている。グルルという低い唸り声が私に向けられている。
威嚇のようなものだろう。戦いたくないから威嚇して引かせようという魂胆かもしれないな。だがしかし、この私に威嚇行為なんぞ無意味だ。
「ほら、戦えよ狼共」
私は一匹今度は蹴り飛ばす。
私自身、武術の心得があるわけじゃない。割と独学の喧嘩だ。伊達に中学時代、最強と呼ばれてはいない。
「ガルッ!」
と、牙をむき出しにしてとびかかってくる。
私の足に一匹がかみついた。ダメージを割と受けてしまう。私はそのまま飛び上がり、その噛みついている狼を地面と私で圧迫するように着地。狼は顔が歪み、消えていく。
「ちっ、あと二回くらい食らったら死ぬかもしれねえな」
私の防具は初期装備だから少しばかり防御に不安がある。
そして、この狼。割とレベルが高く、一撃一撃がちょっと痛い。まぁ、痛いっていうだけだから攻撃に当たらなかったらいいだけの話だが。
「私が死ぬまでお前らを何体殺せるかな」
私は少しばかり集中することにした。
狼は群れで襲ってくる。私はそれを迎え撃つ。昔は、挑んでくるやつが少なかった。私が最強と呼ばれていた男を討ち取った瞬間、誰もが私を見て恐怖にさいなまれていた。
だからつまんないとも思っていた。喧嘩もろくにできず、出来てもやる相手がいない。つまらない。
だけど、このゲームはいい。好きなだけ喧嘩ができそうだ。
「あはっ!」
私は、いつのまにか笑みがこぼれていた。