クランの設定
「北海道来てまでゲームかよ……」
「しょうがないじゃないですか。外は吹雪で外出もままならないんですから」
私はゲームでぼやく。
北海道来てまでゲーム。確かに持ってきてはいるけれど、外で体動かして遊ぶもんだと思っていた。外は吹雪で、この天気でさすがに外出るのは危険ということで、おとなしく屋内。
私はハンモックに揺られながらゲームにログインして、ぼやいた。
「北海道どう? 楽しい?」
「今のところ全然。昨日は喧嘩売られるしよォ」
「蒼眼の死神はどこでも有名だからな」
まじで全国的に名前が知られてそうで困る。そのうち全国から私を倒そうと不良どもが集まるんじゃねえの? 天下一武道会でもやるつもりかよ。
「それより、伝えたいことがあるんだ」
「伝えたいこと?」
「さっき王の使者って人から連絡が来て、クランの拠点を建てたっていうこと。場所も一応聞いたから案内はできるけど……。さすがに君たちが一緒の時がいいと思ってね。内装とかは見てないよ」
「ということでいこうぜ」
どうやらクランの本拠地になるであろう拠点が完成したという。
私たちはその拠点の場所に向かった。石の壁でできたいたってシンプルそうな拠点。私は扉を開けて中に入ると、結構すごい。
調度品とかもものすごく高そうで、カーペットが敷かれている。赤いカーペット。そして、掲示板のようなものもあり、倉庫と呼ばれる場所やクランの受付も完備。施設としての性能はよく個室も十二分にあるので、少しくらい増えても問題はなさそうだ。
「おお、すごいですね。広いし、使いやすそうです。ここを早速拠点として登録しましょうか」
「登録することで依頼したい人がこの掲示板に依頼を張ってくれるんだったかな?」
「そうですね。受けるか破棄するかは私たち次第です。クランに直接来た依頼はクラン依頼として受理され、クリアしたらクランのランクが上がるみたいですね」
「ふぅん」
「私たちのクランのジャンルは……生産系ではないので、討伐・採取系として登録しておきますね。あと受付NPCをどうするかですが……」
「今はなくていいでしょ。掲示板に貼ってくださいっていうことで」
「そういうわけにもいかないんですね。私たちが不在や、破棄する場合、伝えに行ってもらえるみたいです。なので雇う必要がありますが……。そこまで金銭的に余裕があるかといえばない。うーん。安い金額で雇うと結構ろくでもないのが来ますからね」
金持ちだから賃金を高く払って能力が高い人を雇うという考えなんだな。それは実に正しいとは思う。きちんと評価して正当な報酬を払うことは現代日本には足りないものだからな。
「あと基本依頼料の設定です。安すぎず、高すぎずのラインを設定しないと客が来ませんね」
「クランとしてもしかして報酬が基本依頼料だったりする?」
「よく気が付きましたね。その通りです。基本依頼料+依頼達成報酬ですね。クランの利点は基本依頼料というものがあることです」
「へぇ……」
なるほど。報酬が稼ぎやすいということもあるのか。
「貴族も顧客として狙ってはいますからね……。安すぎたらなめられますし、かといって庶民の人も相手しますから……。基本依頼料は2万グランくらいでしょうか。いいですか? みなさん」
「私は別に構わねえよ。ワグマが決めたんならそれでいけ」
「俺も数字のことはよくわからん」
「私も」
「いいんじゃない? 顧客として貴族も狙うならそれぐらいが最低ラインじゃないかな」
「わかりました」
いろいろの設定をリーダーであるワグマがしていた。
「よし、じゃ、これでいいでしょう。ただ、今の私たちは戦力が不安ですね。どうしましょうか……」
「それなら適任がいるだろ。鍛えてもらえよ。お前ら」
と、みんな私のほうを見る。
「そうですね。貴族も狙う以上、大物を狙うということもありますし、戦闘に関してはゼーレがとびぬけてますから。ゼーレ。私たちに戦闘の指南を」
「……めんどくせえ」
「おねがーい!」
「頼むよ」
「俺からも頼む」
と、全員から頭を下げられた。
「チッ……。断れねえ雰囲気作んなよ。まあいいよ。ただ、強くなるのは一朝一夕でやるんだったら相当スパルタにいかなきゃならねえし、結局は実戦でやるほうがいいんだ。だからまぁ、トライ&エラーみたいな感じでジャイアントキリング狙うしかねえ。それでもついてこいよ」
「わかりました。では、まずなにを?」
「そりゃ決まってんだろ。一人でボスモンスターを倒せるようになることだよ」
そういうと、全員固まっていた。