ギルドに行こう
職業。それはどのVRMMOにもあるステータスの一つ。
ステータスは伸びないが、ステータスの伸び率が変わる。例えば剣士なら攻撃と体力が、とか。
「とりあえず私は武闘家だ」
「私はまあ、魔法使いですね。ファンタジー=魔法!」
「えーとえーと、私は私は……」
「早く決めろよ」
「待ってますから」
「急かさないでよぉ!」
オイリは職業リストを見て悩んでいるようだ。
初期職業の数はたかが知れてるのになにを悩む必要があるのか。
「オイリはまず何がしたいんだよ。どんな武器を使いたいとか、どんな戦い方をしたいとかよ」
「もちろん剣! なんだけどねぇ。剣士と戦士で悩むんだよぉ」
戦士はタンクと呼ばれる役回りなので体力、防御力が伸びやすい傾向にある。
私が選んだ武闘家は攻撃と素早さが伸びやすい。
ワグマが選んだ魔法使いは魔法攻撃力とMPが伸びやすい傾向にある。
「オイリは素早い身のこなしとか出来ないから剣士で回避タンクとかできないよな」
「戦士の方がいいんじゃないですか?」
「…………そーする」
「不満げだな」
「自分で決めれてないし……」
「いや、私たちのはあくまで一意見だし参考にすればいいだけだろうが」
オイリは戦士でと伝えると、戦士の証をもらっていた。これで全員職業についた。
そして、まだやることはある。
「今度は冒険者ライセンスだな。ダンジョン攻略には必要になるらしいし」
「そうですね。これならオイリは悩まないので比較的早く済みそうです」
「むぅ。ご迷惑おかけしました」
私たちは今度は冒険者ライセンスをとりに向かう。
冒険者ライセンスはファンタジーよろしく、冒険者ギルドと呼ばれる場所で発行される。
危険なダンジョンに入るために必要で、説明によるとダンジョンにもランクがあり、適正ランク以上でないと挑めないという。なのでランクを上げるしかない。
で、冒険者ランクを上げるには、依頼掲示板に貼ってある依頼をこなしていく必要があるということ。
依頼も最初は簡単なものばかりで、討伐系でいうと私が戦ったあの犬の討伐というのもある。
「じゃ、早速依頼受けようぜ。戦う系がいい。戦う」
「最初は薬草採取でいいんじゃなぁい?」
「私はどちらでも……」
「……じゃあ戦う系は私やるからお前ら二人で薬草採取してろよ」
「そうですね」
「えー」
不満げかよまた。
「何が悪いんだよ」
「こういうのは一緒にやるのが面白いんじゃないの……」
「それも一理あるが、私は戦いたいからな」
「不良の血が騒ぐってやつ?」
「それもある。今の世の中は殴り合いの喧嘩なんて出来ねえしな」
だからこそ、不良をやめたというのもある。
ダサいし、喧嘩したら警察呼ばれるから迂闊に出来ない。フラストレーションがたまりに溜まっている。
「不良をやめたというのはやっぱ見せかけですねぇ」
「やめただろ。遅刻も今そんなしてねーし」
「遅刻しないのは当たり前じゃない?」
「……ま、細けえことはいんだよ。私はこれ受けるからな」
私は討伐系の依頼の紙を剥がし、受付に持っていった。