フレッツェン侯爵家内
フレッツェン侯爵領の領都にやっとついた。
私はとりあえず、侯爵様の屋敷を目指すことにした。
「……連れてったらあんたらを私を誘拐した犯人って言いふらしてやる」
「……おい。それは卑怯だろ」
「権力もってんだもん! ふはははは、私を連れてったら暴君に私はなるぞー!」
と、最終手段を持ち出してきやがった。
くそ、さすがに捕まったらゲームをプレイできるかどうか怪しいな。私は降ろそうとすると。ワグマが突然、そのリリスの頭をチョップしていた。
「いたっ!」
「馬鹿なこと言うんじゃありません。そういう自己中心的な考えはいずれ身を滅ぼしますよ。暴君は、みな総じてろくでもない死に方をしますから」
「……信じないもん」
「では、ファラリスについてお話ししましょうか」
と、ワグマは話し始める。
ファラリスの牡牛と呼ばれる処刑器具と、そのファラリスという男の最期を話すと、姫様は動きを止めて嘘とつぶやく。
「皮肉なことに、ファラリスの牡牛の最期の犠牲者はファラリス自身なんです。あなたはこうなりたいんですか? あなたの暴挙で一番最後に被害を被るのはあなたになるということもあります」
「なりたくないっ! ならないもん!」
「ではそんなことせず、素直に行きましょう。ね?」
「うん……」
姫様はおとなしくなった。
そして、侯爵家前につくと、馬車が出てきた。私たちの前で馬車が止まる。
「君たち、危ないだろう」
「フレッツェン侯爵様はいますか?」
「いるが……。ここは通せないぞ」
「……この国のプリンセスがここにいるといっても?」
「プリンセス……? って、姫様!? フレッツェン様!」
と、馬を操る騎士がいうと、馬車から身なりのいい男が下りてくる。その男は目を見開き、私たちのところに近づいてきた。
姫様はおびえている。
「リリス様!」
「ごめんなさいっ、ごめんなさいぃ!」
「心配しました! 臣下総出で探しても見つからず、王都では大ニュースとなっていて……あるものは死んだんじゃないかという話を聞き……1年の間どこにいたんですか!」
「……1年?」
お前……。
「まさか、その者たちに誘拐されて……」
「ちが、違うの! そのー、勉強が嫌で逃げだして……川に落ちたら魔物のお猿さんたちに介抱されて……しばらくそこで過ごしてたっていうか」
「…………」
そういうと、男は頭を抱えていた。
「我々が血眼になって探してる間、姫様と言ったら……」
「ごめんなさいぃ!」
「まぁ、いい。説教は後にしましょう。とりあえず……そちらのお方もまずはお入りください。姫様を見つけていただいた礼をさせていただきます」
私たちは、屋敷の中に入っていく。
姫様は自分で歩くといって、私の背中から降りた。そして、男とともに私たちは屋敷の中に入る。屋敷の中は、まぁ、豪邸という感じで、装飾品が飾られており、隅々まで清掃がなされている。
「まるで私の家みたいですね」
「そうだな……。ってか、今まで気にしてなかったけどオイリたちは?」
「……あ、私も忘れてました。多分まだレナント村かと」
「あいつらログインする前に来ちゃったか……。一応メッセだけは送っておくよ」
私はログインしているオイリたちにメッセージを送った。するとオイリから。
「なんで待ってくれないのー! だってさ」
「忘れてましたと返しておいてください」
「これは後で埋め合わせか?」
「……まぁ、仕方ないでしょう」